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自ら輝く太陽として ――「太陽」という目標からの卒業 (アイカツ!第五十話考察)

2013.10.02 18:59|アイカツ!
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(2013/06/26)
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一年目の最終話となる、50話「思い出は未来の中に」が先日放送されました。
美月との決着も、ソレイユの三人のきずなもどちらも描いてしまう、
アイカツ!らしいまとめ方であったと思います。
いちごは美月や、あおいや蘭から沢山のことを学んだ上で自分の道を決断する――

特に印象深かった場面は、あおいたちが見送りの場でついに泣いてしまう箇所です。
自分の道を自分で考えてアメリカに出発したいちごと同様に、
あおいたちもそれぞれの道を力強く歩んでいくことを示すのなら、
彼女たちの涙は描かれる必要がなかったのかも知れません。
最後まで明るく、笑顔で送り出すというラストでも特に問題はなかったでしょう。
しかし、『アイカツ!』はあそこで泣いてこそだったと私は思うのです。

というのも、『アイカツ!』は輝くために努力するアイドルの、
個々の強さだけを主題にしているわけではないためです。
蘭がトライスターを脱退する37話が顕著ですが、「一人でも輝ける」ということとは別に、
誰かと「一緒だから輝ける」ということも作中では強調されてきました。
『Wake up my music』が「あなたと歌うわたしが いちばん綺麗」と歌うのは示唆的です。
いわば「自分の強さ」と同時に「みんなとの繋がり」も描いたのが『アイカツ!』だったと言えます。
中でもソレイユの三人の物語は、トライスターとの対比で後者に軸を置いていました。
だから、あおいや蘭は泣いてこそだったと思うのです。
あおいたちが必死に我慢した末に、最後の最後で泣いてしまったとき、
『アイカツ!』は明らかに、単に個人の強さを描くだけの作品とは決別しています。

そこで強調されたのは、一人ひとりの強さではなく三人の強い繋がりでした。


さて今回は、特にライブ前後のいちごと美月のやり取りに注目します。
プールで遊ぶ45話で、美月は改めていちごに宿題を出しました。

「あの、また一緒に何か……。 
 スターアニスでも何でもいいんですけど、私、また美月さんと――」
「またいつかね。覚えてる? 私の言ったこと」

――星宮いちご、あなたは太陽になれるかも知れない。

「私が太陽じゃないから……ですか? 太陽っていったい……?」
「いちごを見て思った、私たちは違うって。違う輝きをしてる。
 でもまだ足りない。そんな光では月に負ける。同じ空では輝けない」
「追いつきます。負けないくらい強く輝いて、太陽みたいになります!
「待ってる。それじゃあ行くよ!」 (45話)


ここで28話の、「太陽になれるかも知れない」という美月の言葉が再度確認され、
いちごは太陽になるという目標に向かって改めて進んでいくことになります。
今回は、この目標が50話でどのように回収されたかに注目し、
そこから『アイカツ!』という物語全体の帰結について論じていきます。

つまり最後に物語が提示したことは何であったのか、ということがテーマです。
もしよろしければ、最終話の内容を思い出しながら少しの間お付き合いください。



○自ら輝く太陽として:美月と「太陽」という目標からの相対的な卒業


まず、上述の45話の内容が、50話でどのように回収されたかを確認します。
いちごと美月が決戦前に短い言葉を交わし合う場面に注目してみましょう。

「美月さん……」
「ついにここまで来たね」
「美月さんのおかげです。
 美月さんが最初からずっと、私が進む先に輝くお月様みたいな、道しるべでした!
「私も、喰らいついてくるあなたを背中で感じたから、歩みに気合が入ったのかも
 今日はラブクイーンのプレミアムでいくよ! ロイヤルムーンコーデ」
「私はスターフェスティバルコーデです!」
「素敵なステージにしよう! いちご、あなたに会えてよかった」 (50話)


この場面では、28話の「美月とスッポン」というイメージが再登場しています。
いちごにとって美月は自分を導いてくれてた「お月様」であり、
美月にとっていちごは自分に喰らいついてきてくれた「スッポン」でした。
そしてそれぞれ月がいてくれたから、スッポンがいてくれたから、
自分の更なる成長に繋げることができたということが、ここでは語られています。
こうした会話を経た上で、美月はステージ後のインタビューで次のように述べます。

「応援してくださったみなさん! ありがとうございました!
 再びクイーンになることができて、毎日の努力が報われた想いです!
 そして今年私を輝かせてくれたのは、ファンのみなさんであり、星宮いちごです!」(50話)


下線部は、ファンと対戦相手に感謝を述べた、ありがちな一文に見えます。
しかし、45話で「同じ空では(まだ)輝けない」と断じたいちごと同じステージに立ち、
大接戦を演じたという流れを踏まえると、美月のこの言葉にはそれ以上の意味があります。
すなわち、その光で実際に月を輝かせている太陽のような存在として、
いちごのことを認めていると考えることができます。

いちごは負けたものの、一歩も引かずに美月とのステージをやり遂げました。
その結果を受けて、美月はいちごが太陽になったことを暗に認めたのです。
美月が「私を輝かせるもの」としていちごを挙げたのには、それだけの意味があったと思います。

45話で再確認された「太陽になる」という目標は、以上のように回収されています。
ここで気になるのは、それが非常にさり気ないやり方で回収されているということです。
つまり、美月が「自分を輝かせるもの」としていちごのことを認めるだけで、
実際に二人の間でいちごが太陽になれたということが確認されるわけではありません。

特にいちごは、50話で「太陽になる」という目標を全く持ち出しませんでした。
ゆえに45話で目標を確認したのにもかかわらず、美月から一方的に認めるだけです。
これにはどのような意味を見出すことができるのでしょうか。

私は、45話の目標に関して美月がいちごを一方的に認めるだけで、
いちごが特に語らないということは最終話において決定的に重要であると思います。
けだし、ここで示されているのは「太陽」という目標からのいちごの「卒業」です。
これまでいちごは、美月に与えられた「太陽」という目標を追いかけるばかりで、
自分はどのように輝きたいのか、どこに進みたいのかということに関して曖昧でした。
28話における、トライスターの面接の際のいちごの受け答えは顕著な例です。

「最後の質問。星宮さんが入ったらトライスターにどんな輝きが加わるのかしら」
「憧れの美月さん、パワフルなかえでちゃんと一緒のステージに立てたら――」

――このまま私に喰らいついてこられるなら、星宮いちご、あなたは……。

太陽! 私はトライスターの太陽を目指して、朝から晩まで沈まずに輝き続けます」(35話)


ここで美月が聞いているのは、いちごはトライスターでどのように輝くのかということです。
いちごは質問を「どのように輝きたいか」という目標を聞くものとして捉え、
少し考えた末に、28話で美月から言われた「太陽」という言葉を持ち出しています。
これは、自分のアイドル知識を活かしてトライスターをサポートしたいと語るあおいや、
誰と一緒でも自分の輝きで勝負していけると語る蘭と比べると、借り物の目標に見えます。
太陽はいいとしても、具体的にどのように輝くのか、どのような方向へ進んでいくのかという、
自分の歩んでいく道、向かっていく目標に関する「いちごの考え」があまり見えてきません。


このいちごの曖昧さは、美月の他に、特にかえでとの関わりの中で問題にされてきました。
アメリカの激しい競争の中で一人で頑張ってきたかえでと比べて、
いちごには自分を導いてくれる道しるべがいて、一緒に頑張ってくれる仲間がいました。
周囲に理解者がいて、その人たちに教えられて成長してきたのがいちごであったと言えます。
美月はもちろん、あおいや蘭(22話)、りんご(31話)、デザイナーであるあすか(32話)、
ジョニー(46話)など、最も誰かに教えられて、学びを得ていちごは成長してきたのです。

その中でいちごは美月を目指し、美月に示された「太陽」という目標を追いかけてきました。
自分の道に関して曖昧であったのは、そうした状況の結果であったと考えられます。
42話で、かえでが「自分を信じて」というメッセージをいちごに送るのは象徴的です。

しかし、いちごはみんなが自分の道を自分で決めて歩んでいることに次第に気付いていきます。
かえで(42話)、しおん(43話)、涼川(44話)、そして美月(45話)、マスカレード(46話)。
それぞれが自分の道を歩いていることに触れて、
単に「太陽」を掲げ、美月を追いかける姿勢は変わっていくのです。
実際に48話では、りんごやあすかが教える前に、「自分」を考える必要を認識しています。
そして49話では、あおいや蘭を初めとする仲間たちの頑張る姿をきっかけに、
自分が更に輝くためにはどうするのがいいのか、自分の道に関して考えるのです。


その結果が、「アイカツ」でした。


あおいには女優、蘭にはモデルがあるように、自分には「アイカツ」がある。
いちごはそのように考えて、アメリカに渡るという自分の道を選び取ります。
それは、美月のくれた目標だけを追いかけていたときには、絶対に現実化しないものです。
仮にいちごがこれまでのいちごのままであったら、美月が学園にいる限り、
学園を辞めてアメリカに渡るという大胆な決断はできなかったことでしょう。
これまで曖昧だったいちごが、ここでほぼ初めて「自分」を持つに至っています。
それはいちごの美月からの「相対的な卒業」であったと言うことができます。

50話で「太陽」のことが回収されながらも、いちごがこの話を出さないのはこのためです。
彼女はあの瞬間、既に「太陽」への道ではない、自分の道を歩み始めていました。
ただ美月が認めることでのみ、宿題の達成が仄めかされることは、この事実を強調しています。
二人で宿題の達成を確認して終わるのではなく、いちごが自分の道へ駆け出して行って終わる。
このことこそ『アイカツ!』という物語が最後に提示したものではないでしょうか。
そもそも、「太陽」は何かに依存して光を発しているわけではありません。
いちごは「太陽」という目標のみに拘ることを止め、美月から相対的に卒業しましたが、
そのことが彼女を、「太陽」と喩えるに足るものにしたとも言えると思います。


結論として、45話で確認された「太陽」という目標があまり前面で回収されないのは、
いちごが美月から、あるいは「太陽」という目標から相対的に卒業したことを示唆するためです。
換言すれば、この「相対的な卒業」こそ、物語が最後に提示したものだったと言えます。
いちごは誰かに喰らいつくスッポンではなく、自ら輝く太陽として外国に赴くのです。

以上のように、いちごや美月を通して、誰かに憧れる気持ちのパワーを前面に押し出しながら、
最後にそこからの脱却を描いて、『アイカツ!』という作品の一年目は幕を閉じました。
美月が学園長の下を去るのも、いちごの卒業に追随する動きであったと言えます。
そこから物語がどう動いていくのか、二年目の展開も楽しんでいきたいと思います。



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テーマ:アイカツ!
ジャンル:アニメ・コミック

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