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きんいろを描く絵本のような (きんいろモザイク:第十二話感想)

2013.09.25 17:05|きんいろモザイク
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(2013/09/27)
原 悠衣

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ついに第十二話「きんいろのとき」が放送されました。
前回、五人の進級の直前で切り上げた上での最終回です。
個人的には、素晴らしい締め方だったのではないかと思います。
とりわけミュージカルパートは楽しくて、色々と考えることを止めて見入ってましたね。

そして次回予告が不在で、エンドカードまで至ったときの確かな満足感と寂寥感。
アニメ化決定以前より好きな作品であったため、そこでの感慨もひとしおでした。

しかし、いつまでも燃え尽きたかのようにぼんやりしているわけにはまいりません。
今週はDVD一巻や、待ちに待った原作四巻が発売されます。
今月の『まんがタイムきららMAX』の表紙はアリスたち五人が飾りましたが、
そこに添えられていた「See You, AGAIN!」という言葉が示す通り、
まだまだ『きんいろモザイク』という作品自体は続いていくのです。
きちんと自分の中で一区切りをつけて、これからに備えなければなりません。

そこで、今週はいつもより力を入れて、記事を書こうと思います。
今回は大きく分けて二つのことを扱っていきます。
まずは、アニメオリジナルだったミュージカルのパートについて。
次に、最終話全体を眺めたときの、その締め方についてです。
この二つについての考えをまとめて、自分なりの一区切りにしたいと思います。

もしよろしければ、話の内容を思い出しながら、少しの間お付き合いください。



○五人で作る五人のミュージカル:これまでの日々の上に


まずは、最終話の中でも最も目を引く、忍の語りの内容に注目してみましょう。
忍がみんなに物語りをする話自体は原作二巻にありますが、
どのような話をしたかということはほとんど示されていません。
そのため、物語の中身はアニメのオリジナルであったと言えると思います。
あのミュージカル調の物語に関して私がとりわけ注目したいのは、
物語の中の五人が、きちんとそれぞれの「らしさ」を持っていたということです。
演じてはいるものの、普段の五人を思い出させるような役柄になっています。
その意味で忍の物語は確かに、「五人のミュージカル」だったと言えます。

物語の内容を確認しながら、一人ずつ見ていきましょう。
まずは、海賊船の船長として登場してきたカレンです。
忍は自分をさらったカレンに対して、率直に問いかけます。

「どうして私を? 宝物なら他を探せばいくらでも…」
「手に入りマス 何でも手に入る それはつまらないデス!」

 世界中を旅したデス 金銀財宝 どきどきの毎日
 けれど今はもう どきどきしない 我ら七つの海を 支配する海賊だ
 世界には果てがあると知ってしまった 

「果てなんてありません 世界は丸いんですよ 本で読みました」
「本の話デス!」
「確かめに行きませんか まだ見たことのない世界」

 きっとありますよ
 あなたと一緒なら見つかるかもしれない あなたとなら

「しのでいいですよ」
「シノ シノ シノシノー!」 (12話)

 
この場面は、普段のカレン、また普段のカレンと忍の関係を想起させるものです。

まず、カレンはアリスと取り合うくらいに忍には特に懐いていて、
「シノは特別な感じするデス」と発言しています(3話、1巻92ページ)。
また忍が風邪で休んだときには、「いないとつまらないデス」と述べています(4話)。
カレンはみんなのことが好きですが、忍は中でも少し特別な存在であるわけです。
物語中の船長と姫の間にも、同様の関係を見出すことができます。
当初打ち解けられなかったカレンが、忍の言葉を受けて前に進んだように(3話、1巻92ページ)、
海賊船の船長も姫の言葉を受けて、まだ見ぬ世界へと歩み出していきます。
劇中でもカレンと忍の普段の関係が描き出されていることが分かります。
また、カレンは日本の漫画が好きで、その主人公に影響されることからも分かるように、
ロマンに満ちたアドベンチャーのようなものに憧れている嫌いがあります。

猫を追って見知らぬ土地まで行ってしまうような冒険が似合うのです(10話、2巻95ページ)。
その意味で、どきどきを求めて冒険する海賊船長というのはカレンの適役と言えます。

このように、カレンに合った役で、カレンと忍の日常の関係を基にした筋書きになっているのです。


次に、陽子と綾について見てみることにしましょう。
綾が人魚として忍を助けるところから、忍の語りは再開します。

「ここは…? 足がつきません!」
「大丈夫 しっかりつかまって… あ あの船は…!」

 もう一度 一目合いたかった ずっと
 手を伸ばせばとどきそう でもいいの ここから見つめるだけでいい

「大好きなんですね」
「ちょっと気になるだけよ」
「もしかして君は遭難した私を助けてくれた人だよね?」
「違うわ!」
「ずっと思っていた もう一度会いたいって思ってたよ!」 (12話)


自分の本意を抑え込んで遠くから見守るだけでいいと述べる人魚は、
陽子がラブレターを受け取ったときの綾に重ねることができます。
あのときも綾は自分の気持ちから目を背けて、せいいっぱい陽子を見守ろうとしたのでした。
涙目での陽子への「おめでとう!」は複雑な心境を示しています(4話、1巻100ページ)。
そしてそのとき、素直に自分の気持ちを陽子に伝えられない綾に対して、
陽子は率直な好意を逆に綾に届けるのです。

「何かカン違いしてない?」
「え?」
「手紙は嬉しいけど最初から断る気でいるよ」
「どうして!?」
「相手が誰であっても綾の方が好きだからさ!」
「…と とっとと開けなさいよ!」
「何の話してるデス?」
「友達っていいなって話ー」 (4話、1巻101ページ)


ここで陽子は劇中の王子のように、綾に気持ちを伝えています。
このように、遠くから見つめることを選んだ人魚に対し、
王子がもう一度会いたかったと伝えるラブストーリーは、
陽子と綾の、ラブレター騒動のときの経験に重ね合わせることができます。

人魚と王子は、確かに綾と陽子にこそふさわしい役であったと言えるのです。


最後に、忍とアリスについて見てみることにしましょう。
二人は無二の親友として、冒頭より登場してきます。

「はい できましたよ」
「ありがと シノ お散歩いこう!」

 シノは本当に金髪が好きだね
 ええ 宝物です アリスの宝物は何?
 シノ! (12話)


ここでは忍とアリスの宝物の不均衡が提示されています。
つまり、アリスは忍が宝物なのに対し、忍はアリスが宝物とは言っていません。
これは、私が十一話の感想で述べた、作品に対して当然湧いてくる疑問に関係します。
すなわち、アリスだけでなくカレンや他の金髪少女にも好意を向ける忍は、
外国好きや金髪好きの延長で、アリスに好意を向けているのではないかという疑問です。
今回のクラス分けの話のように、アリスが忍を恋しく思うのに対し、
忍が割と平気でいるとき、この疑惑は深まることになります。

けれども忍は、単に金髪で外国人らしいから、アリスが好きというわけではありません。
「どんなに日本人らしくなっても 例え侍になっても アリスはアリスです」。
初夢騒動のときの忍のこの言葉は、そのことを明確に示しています(11話、3巻24ページ)。
忍はアリスに関しては、単に外国好きの延長で好きなわけではないと言えます。
物語もこの忍の気持ちをなぞっていくことになります。
忍が戦いを止めるために、魔女に頼みごとをする場面に注目してみましょう。

「魔女のおねえちゃん 戦いを止めたいんです!」
「いいわよ 何でも叶えてあげる ただしあなたの大事なものと引きかえ」
「私の 大事なもの… 綾ちゃん! はさみをお持ちですか?」
「ええ」
「早くしないとみんななくなるわよ」

「シノ」
「アリス…!」

「さしあげます! 戦いを 止めてください――」 (12話)


宝物の金髪を捨て去る際に、忍がアリスのことを思い出していることが重要です。
金髪よりもアリスの方が大切であることが、ここから分かります。
劇中で忍が演じる姫はアリスのことを想うと、金髪すら捨てられるのです。
初夢の話のときに示された忍の気持ちが改めて、ここで描写されています。
二人の姫の関係の中に、普段の忍とアリスの関係を見出すことができるのです。


ここまでの結論として、忍は五人に合った役をそれぞれに設定し、
普段の五人を思い出させるような話に劇を仕立て上げています。
その意味で物語は、これまで五人が過ごしてきた日々の上に築かれている、
「五人のミュージカル」であったと捉えることができるのではないでないでしょうか。
五人が役を演じ、物語が普段の五人を思い出させる、そういう五人のミュージカルです。
それは最終回らしく、これまでのことを振り返らせる物語であるとも言えます。


また、この物語を忍だけが作っているわけではないということも重要です。
忍が語っているという体裁を取っている以上、物語の作者は忍ですが、
他の四人も助言によって、製作過程に参画し協力しています。
忍が海賊船長のカレンにさらわれたとき、一度語りは中断されます。

「シノはどうなるデス? 海の藻屑と消えマスか?」
「バッドエンド過ぎるわ」 (12話)


ここで聞き手として、綾たちが展開に意見を出しています。
また、カレンと一緒に忍が行くことを決めた後にも、一度劇外へと戻ります。

「お二人は 何の役がいいですかね?」
「私たちも出るの?」
「うーん… 綾は人魚とか」
「陽子は王子様デス!」
「え?」
「うん すごく似合ってる!」
「ではそうしましょう」 (12話)


四人の意見を受けて、忍は役を決定しています。
単に忍だけが物語を作っていくわけではなく、忍を中心に五人で作っていると言えます。
語られているのは「五人でつくる五人のミュージカル」なのです。
これまでに築かれた五人の関係、これまでに過ごした五人での日々を基にした劇は、
忍が中心ではあるものの、五人の手により作られたものとして描かれていたと思います。



○きんいろを描く絵本のような:振り返られる二つの始まり


次に、特に締め方に注目して最終話全体を眺め、まとめてみたいと思います。
第十二話は、二年生になってクラス分けが行われたという話と、
忍が物語を作り語るのに才能を発揮する話を中心に構成されていました。
後半は一年生の頃の話で、敢えて時間が戻されています。
それぞれ、第一話の内容を振り返るような締め方になっているのに注目してみましょう。
まずはクラス分けで落ち込んだアリスが、忍に慰められる場面です。

「シノはあんまり寂しそうじゃないね…」
「え? だってアリスは海を越えて来たんですよ
 それに比べれば全然です! たったの教室一個分です!」
「うん うん そうだよね!」(中略)

「一年前 シノに会いたくて日本に来た あのとき思い切って海を越えたように
 教室も越えればいいんだよね!」 (12話、3巻58ページ)


アリスが忍の言葉を受けて復活したところで、早くもエンディングが流れます。
その直前で強調されたのは、「アリスが海を越えてきたこと」でした。
物語の始まりの場面を振り返りつつ、とりあえず一回締められています。
エンディングの最中には、これまでの日々を収めた写真が映し出されます。
川遊び、夏祭り、学校祭――様々な思い出を想起させつつ、
最後にアリスが「今日も楽しいことあるかなー!」でまとめるのです(12話、2巻8ページ)。
これまでを振り返りつつ、これからを示唆する最後になっています。

少し形を変えて、これと同じことが後半にも繰り返されます。
忍が作り話を終えた後、アリスは気になったことを忍に聞いてみます。

「ねえ シノ 二人のお姫さまはずっと離ればなれなの?」
「そんなことないですよ いつだって会えますし
 ずっと友達です 私たちみたいに!
 今の時代飛行機を使えばひとっ飛びです!
「えっ? 現代の話だったの!?」
「どうなんでしょう?」 (12話、2巻108ページ)


このすぐ後、海の向こうへと飛んでいく飛行機が映し出されます。
これは第一話の冒頭と同じで、「忍が海を越えていったこと」を思い出させるものです。
前半のアリスが日本に来たことを想起させる締め方と対応する形で、
今度は忍がイギリスに行ったことを想起させる締め方になっています。
浮かんでくるのは作品のもう一つの始まりである、忍のホームステイの光景です。
そこから、アリスが忍に出した思い出深いエアメールへと繋がります。

「この手紙が始まりでしたね」
「そーだねー」
「忍ー アリスちゃん」
「はーい! 行きましょう!」
「うん! 陽子たち もう待ってるかも」 (12話、1巻8ページ)


ここでもやはり、これまでを振り返りながら、これからを示唆して終わっています。
最終話は、前半と後半で二回、この形式を取ってまとめているのです。
第一話を振り返りながら終わるという形自体はあまり珍しくありません。
注目すべきは二回それを行う中で、アリスが日本に来たことと忍がイギリスに行ったこと、
物語の始まりを告げる二つの契機を描き出しているという点です。

これがあるため、とても綺麗で印象に残る終わり方になっていたと私は思います。
 

しかし、最後に忍が物語を聞かせる話を持ってきたことには、他の意味も見出すことができます。
すなわち、「五人に語られる物語」としてこれまでのことを振り返るために、
敢えて時間を遡ってまで物語の話を持ってきたとは考えられないでしょうか。
実際に忍とアリスは、時間があればエアメールを肴に色々と語り合ったことでしょう。
それこそDVD/BDに付いてくる、キャラクターコメンタリーのような会話を挟みながら。

ここで、サブタイトルが「絵本」の題名から取られていることが活きてくると思います。
「ふしぎの国の」、「ねないこだれだ」、「きんいろのとき」辺りが分かりやすいですが、
全てのサブタイトルには元となっている絵本作品が存在しています。
そういった状況の下で最後に、忍が実際に物語を聞かせる話が登場してきます。
それも、「お話ができないと夜アリスを寝かしつけられません」という言葉と、
劇の内容から分かるように、「絵本のような」作り話を聞かせる話です(12話、2巻106ページ)。
最後を飾るのがこの話であった上で、二人が今までを振り返ることにより、
思い出が本当に、絵本のように語られるものとして表れてくるように思います。


未知の国で少女が少女と出会う、「ふしぎの国の」。
コンプレックスと不安から始まる、「ちっちゃくたって」。
新しい友達が外国からやって来る、「どんなトモダチできるかな?」。
ラブレターから始まった一騒動、「あめどきどきあや」。
二人のおねえちゃんの物語、「おねえちゃんといっしょ」。
五人で過ごす日本の夏、「金のアリス、金のカレン」。
食欲の秋だから仕方がない、「はらぺこカレン」。
学校祭と大切な記念日、「今日はなんの日?」。
トラウマにはならないお泊りの話、「ねないこだれだ」。
偶然出会った休日のある日、「すてきな五人にんぐみ」。
初夢と二人の想いを描く、「どんなにきみがすきだかあててごらん」。
これまでを振り返りこれからへ向かう、「きんいろのとき」。


語られるのはどれも、時に面白おかしく、時にシュールに、時に不安にさせながら、
いつだってどこかしらいい話になっている、優しい絵本のような物語です。
そこでは五人にとってかけがえのない、きんいろな毎日が描かれて、語られます。
最後の最後で忍が物語を聞かせる話が展開され、その後で振り返りが行われることで、
これまでがこうした絵本のような物語として、再び表れてくるのです。


アニメ『きんいろモザイク』は、きんいろを描く絵本のような作品であったと私は思います。



○関連記事

   全てになり得る合言葉 (第一話感想)
   忍とアリスの友情と愛情 (第二話感想)
   二人に向けられたアリスの「スゴイ」 (第三話感想)
   恋愛に関する陽子と綾の対照性 (第四話感想)
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   仲直りの場面を「見守る」三人 (第九話感想)
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テーマ:きんいろモザイク
ジャンル:アニメ・コミック

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きんいろモザイク 第12話「きんいろのとき」

二年生となったアリスはワクワクと登校。 しかしクラス替えで、忍と別のクラスとなって絶望してしまう。 激しく落ち込んだアリスに同じクラスになった陽子も困惑…。 一方、陽子と別のクラスになった綾も嘆いていた…。 まさかの金髪な忍も登場の最終回。 ミュージカルシーンのあるアニメは良作ですね(笑)  
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