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『ゆるゆり』を百合作品として読む ――ちなつとあかりの関係から

2013.09.08 16:20|百合作品
ゆるゆり (10)巻 特装版 (IDコミックス 百合姫コミックス)ゆるゆり (10)巻 特装版 (IDコミックス 百合姫コミックス)
(2013/06/01)
なもり

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今回は『ゆるゆり』の、ちなつとあかりの関係に着目してみようと思います。
『ゆるゆり』は、他の作品と比較した場合の「ゆるさ」に目が行きやすい作品です。
しかし必ずしも作中で、人物の関係が変化せず「ゆるい」ままであるというわけではありません。
いわゆるサザエさん形式の作品とは言え、その中で関係は確実に深化しています。
ここでは「『ゆるゆり』を百合作品として読む」と題して、その側面に注目したいと思います。
とりわけ一例として、ちなつとあかりの関係の変化を明らかにしていきます。

もしよろしければ、少しの間お付き合いください。



○『ゆるゆり』を百合作品として読む ――ちなつのあかりへの感情の変化


今回は原作の中でも、ちなつとあかりが二人きりになる三つの話を考えます。
すなわち、ちなつがあかりとキスの練習をする「恋をしようよっ♪」(2巻111ページ)、
ちなつがあかりにマッサージをする「私ってテクニシャン?」(4巻153ページ)、
ちなつがあかりとデートをする「初恋シミュレーション」(9巻5ページ)の三つです。
この中で、ちなつのあかりに対する態度は明らかに変化しています。
以上の三つの話を、時系列順にそれぞれ確認していきましょう。


まずは、「恋をしようよっ♪」です。
夏休みということで、恋愛を頑張ろうと思い立ったちなつが、
自宅にあかりを呼んで、結衣のことについて色々と聞き出します。
そのうちちなつはエスカレートして、あかりにキスの練習を提案します。

「ねえ…あかりちゃん キスの練習手伝って」
「ええええええ」
「なんでもするって言ったでしょ! ほら どこいくの!」
「言ったけど! 待って待って」 (2巻118-119)


ここではちなつは終始、あかりよりも前に結衣を見ています。
そもそもこの話では、結衣と二人きりで遊ぼうと電話したところ、
京子と一緒にいることが分かったため、諦めてあかりを誘ったのです。
ちなつはあかりを自宅に招いたとは言え、彼女に結衣のことを聞いたり、
結衣との本番を想定して、彼女と練習を強行したりするのみでした。
ちなつの頭には、常にあかりより先に結衣がいたと言えます。
換言すれば、あかりといるときでもちなつは結衣のことを考えていたのです。
二巻「恋をしようよっ♪」の時点では、このような状態でした。


次に、「私ってテクニシャン?」です。
結衣と京子が修学旅行で京都に行ってしまったため、二人は部室で二人きりになります。
ちなつはしばらくその事実に落ち込んでいましたが、あかりに慰められ立ち直ります。

「ありがと あかりちゃん 少しだけ元気出たかも」
「ううん ほんとのこと言っただけだもん」
あかりちゃん優しいな 私ね 結衣先輩のことになると
 ちょっぴり周り見えなくなっちゃうけど… ずっと仲良くしてくれたら嬉しいな
「! もちろんだよーっ ちなつちゃんはあかりの大切なお友だちだよ」
「ホント? ありがとー じゃあこないだ結衣先輩のこと相談に乗ってもらったし
 今日は私があかりちゃんのお願い聞いたげる!」 (4巻158-159ページ)


先程の「恋をしようよっ♪」とは異なることがよく分かる場面だと思います。
ちなつはここで、結衣のことについて親身に相談に乗ってくれるあかりを認めています。
この時点では、あかり自体がちなつにとって大切な存在になっているのです。
ちなつが部室に入ってきてすぐに、かなり落ち込んだことを鑑みると、
彼女の中での結衣の重要性は依然群を抜いていますが、
あかりの存在も確実に大きくなり始めていると言えるでしょう。

あかりへの感謝の言葉と、その後のマッサージはそのことを一応明示しています。


そして、「初恋シミュレーション」です。
結衣と初めてデートに行くときの予行練習ということで、
ちなつはあかりを結衣役としてデートに連れ出します。
その最中に、ちなつはあかりを雑貨屋へと誘います。

「つ 次はどこ行こっか?」
「そうねぇ じゃあ適当に色々まわろっか
 雑貨屋さんとか! あかりちゃん好きでしょ?」
「えっいいの? 予行練習なのに」
「うん! そりゃ予行練習も大切だけど
 あかりちゃんとのこの時間も大切でしょ?」 (9巻11ページ)


話の展開自体はキスの練習を思い出させるものですが、
ここで二人の関係の進展、ちなつの感情の変化を見出すことができます。
上述のちなつの言葉は、彼女の中であかりと結衣が同列にあることを示しています。
もちろん、ちなつはあかりに、結衣に向けるようなあからさまな好意は向けません。
しかし、全く違う方向ではあれど、あかりも結衣と同様に大切な存在であることは、
「あかりちゃんとのこの時間も大切でしょ」という一行に表れています。

当初、あかりを目の前にしても結衣のことを第一に考えていたちなつが、
ここでは予行練習よりもあかりとの時間を優先しているのです。


このように、ちなつとあかりの関係は次第に深化しています。
特にちなつがあかりに抱く感情というのは、明らかに変化しているのです。
今回は私が好きであることもあって、特にちなつとあかりの関係に注目しましたが、
これは他の登場人物の関係であっても言えることであるように思います。

『ゆるゆり』は、その相対的な「ゆるさ」が問題にされがちな作品です。
もちろん、「ゆるさ」も『ゆるゆり』の一つの要素と言えるでしょう。
しかし、その内で描かれる登場人物の関係の深まりは、
確かに百合作品を特徴づけるものであると思うんですよね。
時系列に従って、作中のある二人の関係を改めて眺めてみることで、
その「百合」の側面は顕著に表れてくる気がします。
『ゆるゆり』を、改めて百合作品として読んでみるのも面白いのではないでしょうか。



○関連記事

   撫子の彼女についての考察 (なもり『大室家』)


テーマ:ゆるゆり
ジャンル:アニメ・コミック

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