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二人同じ「好き」を抱えて (大沢やよい『ストレンジベイビーズ』)

2013.07.20 09:04|百合作品
ブラックヤギーと劇薬まどれーぬ (IDコミックス 百合姫コミックス)ブラックヤギーと劇薬まどれーぬ (IDコミックス 百合姫コミックス)
(2012/05/18)
大沢 やよい

商品詳細を見る

大沢やよいさん『ストレンジベイビーズ』が先日発売されました。
この作品は、『ブラックヤギーと劇薬まどれーぬ』の表題作の続編で、
超人気ネットアイドルのまどか(HN劇薬まどれーぬ)と、
少し根暗なカリスマヘタレ、八木さん(HNブラックヤギー)が、
一層仲を深めていくストーリーになっています。
今回は、前作『ブラックヤギーと劇薬まどれーぬ』から、
今作『ストレンジベイビーズ』までの間に、
二人の関係が如何に変化したかを考えてみたいと思います。

もしよろしければ、お付き合いいただければ幸いです。



○「肩を並べる関係」への一歩:二人同じ「好き」を抱えて


まずは、『ブラックヤギーと劇薬まどれーぬ』での二人を確認しましょう。
自分が近づいたことでまどかが非難に晒されていると考えた結果、
八木さんがインターネット上での生放送を辞めようと決意した後の場面です。
まどかは生放送に乱入して彼女を止め、自身の気持ちを伝えます。

「…好きです 八木さんのことも 八木さんと作る放送も
 八木さんを好きな自分のことも 私は全部好きなんです
 だから 八木さんともっと一緒にいたいんです」

――まどちゃん あなたはそうやって
 いつだって何度だって 私を救ってしまうんだね

「…こんな 私なんか …好きでいいの?」
「はい 八木さんがいつか私と同じくらい
 世界をたくさん「好き」になるまで 私…」(65-67ページ)


ここで重要なのは、まどかが「救う立場」、八木さんが「救われる立場」にいることです。
まどかは、八木さんに自分を変えたいと思わせた、
まどれーぬとしての彼女そのままに、ここで再び八木さんを救っています。
救うまどかと救われる八木さん、まどれーぬと八木さん。
ここでは二人の間に非対称性が存在しています。

引用部では、「好き」という気持ちにも差異を見出すことができます。
既にたくさんの「好き」を持っているまどかと、これから世界を「好き」になる八木さん。
『ブラックヤギーと劇薬まどれーぬ』の時点では、二人は違う位置にいたわけです。

ストレンジベイビーズ (IDコミックス 百合姫コミックス)ストレンジベイビーズ (IDコミックス 百合姫コミックス)
(2013/07/18)
大沢 やよい

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この非対称性が解消されるのが、『ストレンジベイビーズ』です。
これは、違う位置にいた二人が「隣に並ぶ」物語であると捉えることができます。
クライマックスで、今度は八木さんがまどかの元へと駆けて行きます。

まどれーぬはつくりものなんですよ?
 八木さんが…愛してくれたまどれーぬはどこにもいなくて
 私 八木さんが思ってるよりずっと汚いし
 ぜんぜんキラキラかがやいていたりしてない
 この間のも大炎上で メーワクばっかかけてます もう私なんか…」

「…大丈夫だよ! わ 私なんてただの根暗だよ!
 誰かを助けるヤギー様なんかじゃない どんかんでバカでわからずやだよ…
 でも それでまどちゃんは私のことキライになった?
 好きって言ってくれた… だから今度は私の番なの
 まどちゃんが好き!! もっともっと好きになりたい
 …まどちゃんと同じ気持ちがいいの」(154-157ページ)


ここでは、前作で「救う立場」であり、まどれーぬであったまどかが、
こころというライバルの登場で完全に崩れてしまっています。
そして、そんな彼女を今度は八木さんが救うことになります。
八木さんは、単にまどかに救われるだけでなく、まどかを救いもするのです。
これが、『ストレンジベイビーズ』において行われた関係の転換です。

それを象徴するかのように、「好き」という気持ちにも変化があります。
前作では、まどかと八木さんの間に差異がありましたが、
今作では相手に対して二人とも「同じ好き」を抱いていることが分かります。
救い救われるという関係が、相互に救い合い、想い合う関係に変化しているのです。
二人はここから、同じ位置で肩を並べて歩いていくことになります。

そのためには、八木さんが逃げずに立ち向かう必要がありました。
特に、被り物である「ヤギー様」を手放す場面に、彼女の意志が見出せます。

――私はずっと自分のことを隠してきた それって実は
 悩んでるフリして イヤなことから逃げて
 過ぎ去るのを待ってただけだ
 だけどまどちゃんは あのとき私を受け入れてくれた
 これは私の問題だ 私がなんとかしなきゃダメなんだ (144-145ページ)


この後、八木さんはヤギー様を手放して、まどかの家へと駆けて行きます。
彼女がこうした場面で自らヤギー様を手放すのは初めてのことです。
『ブラックヤギーと劇薬まどれーぬ』では、まどかが八木さんから被り物を外しました。
描き下ろしの後日談では、八木さんはそれを被って「一緒にいたい」と言います。
これらと対照的に、ここでは八木さんがヤギー様を手放すわけです。
ここには八木さん自身の変化や決意を見出すことができるでしょう。
「助けてヤギー様」と縋って、自分の決断から逃げるのではありません。
彼女は逃げるのを止め、ただまどかに救われるだけなのも止める。

結論として、『ブラックヤギーと劇薬まどれーぬ』では「救い救われる関係」だったのが、
『ストレンジベイビーズ』では、まどかがまどれーぬとしての自分を崩し、
八木さんがヤギー様を自ら手放して、まどかに「好き」と伝え返したことで、
同じ気持ちを持つ、「肩を並べる関係」に変化したと言えるのではないでしょうか。


テーマ:百合
ジャンル:アニメ・コミック

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