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自分の想いとの邂逅、みんなの想いとの対峙 (ラブライブ!考察①)

2013.05.09 18:17|ラブライブ!
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放送から一ヶ月以上経過していますが、今回はアニメ『ラブライブ!』について考えてみます。
最終話、物語が辿り着いたのは廃校阻止でもなく、ラブライブ出場でもありませんでした。
廃校阻止は12話でさらっと達成され、ラブライブは辞退することになったのです。
物語の到達点は、ことりの留学と穂乃果の脱退を経た上での「μ'sの再出発」でした。
おそらくこれは、大方の予想や期待を裏切る展開だったのではないでしょうか。
この展開の賛否はともかく、こうした流れの中でアニメは何を描いたのか。
今回はそのことについて、13話に特に注目して改めて考えてみたいと思います。

言うまでもなく、13話で問われたのは「μ'sそのものの意味」です。
廃校を防ぐための手段として選択されたそれは、今や手段としての意味を失いました。
そのとき、九人にとってどのようなものとして、μ'sは存在し得るのか。
けだし、13話ではそれが、穂乃果の復帰とことりの復帰、この二つの側面から描かれていました。
ゆえに、まずは復帰の過程を確認し、その後で読み取れるものを提示していこうと思います。
ただ長くなりましたので、二回に分けて論じていきます。
今回は13話の内容を見ていくことで、復帰の過程を確認します。

もしよろしければ、内容を思い出しながら少しお付き合いください。



○13話で穂乃果が受け止めるもの:自分の想いと、みんなの想い


まず、12話から13話にかけての流れを確認してみましょう。
前回12話の最後で、穂乃果はメンバーの前でアイドルを辞めることを宣言します。
この前後の穂乃果の心理は複雑ですが、根本には「自責の念」があったと考えることができます。
それは、脱退を表明する場面にはっきりと示されています。

「私がもう少し周りを見ていれば、あんなことにはならなかった」
「そ、そんなに自分を責めなくても……」
「自分が何もしなければ、こんなことにはならなかった!」(中略)

「やめます」
「え?」
「私、スクールアイドル、やめます」 (12話)


ここで穂乃果は、強烈な「自己否定」に陥っています。
ことりの留学が決定し、μ'sを抜けることになったのは自分のせい。
そうした「自責の念」から、穂乃果はこれまでの自分を徹底的に否定していきます。
スクールアイドルを始めた自分、ラブライブを目指して邁進していた自分。
それらを全て過ちとして、無理矢理に処理しようとするのです。

アライズ(A-RISE)に追いつくことを無理と断じる箇所は、最も象徴的なワンシーンです。

12話時点の穂乃果にとって、ラブライブに出場してアライズに挑戦しようとしていた自分は、
暴走してことりの異変に気付けなかった、否定されるべき自分に他なりませんでした。
ゆえに穂乃果は、これまでの努力を水泡に返すような言葉を敢えて言ってのけるのです。
「アライズみたいになんて、いくら練習したってなれっこない」。

こうして自分を否定していく中で、穂乃果は自分を見失っていきます。
そして本来の自分であれば言わないようなことを、自分の意見として提示してしまうのです。
それが、スクールアイドルを辞めるということでした。
実際に海未は、13話でそれを穂乃果の「嘘」と見なしています。

「私が怒ったのは、穂乃果がことりの気持ちに気付かなかったからじゃなく、
 穂乃果が自分の気持ちに嘘を付いているのが分かったからです」 (13話)


13話は、こうして自己否定の末に自分を見失った穂乃果が、
「自分を取り戻していく物語」として考えることができます。
以下ではその奪回の過程に着目することで、物語のテーマを探っていきます。


(1)心の奥に残っていた光景


第一に、13話では穂乃果が自分の気持ちと改めて対峙します。
それはクラスメイトに連れられて向かったゲームセンターでのことでした。
穂乃果はダンスゲームの最中、とある景色を想起します。

lovelive10.png

ここで想起されたのは、みんなとの練習の風景と、μ'sのランキング画面です。
穂乃果は12話の自己否定の中で、それらを拒絶し遠ざけました。
それらが自分を夢中にさせ、暴走させたに違いないからです。
しかし、それでもなお、ここで穂乃果の心中にはそれらが浮かんできます。
穂乃果は、如何に否定しても否定しきれない本当の気持ちに改めて出会うのです。
眼前に顕現した二つの景色は、それを証明するものと考えられます。

ゲームセンターに向かう際、クラスメイトたちは穂乃果を責めませんでした。
穂乃果の意志を尊重して、むしろ彼女の決断を肯定しています。

「だって穂乃果は学校守ろうと頑張ったんだよ」
「そうだけど……」
「学校を守るためにアイドル始めて、その目的が達成できたから辞めた」
 何も気にすることないじゃない。ね?」 (13話)


穂乃果自身も12話で、手段としてのスクールアイドルの役目が終わったことを強調していました。
ゆえに、穂乃果は辞めても問題ないと結論したのです。
しかし、その論理が間違っていたことを、穂乃果はゲームセンターで悟ることになります。
彼女にとって、μ'sでの活動は手段としての意味以上のものを持っていたからです。
ダンスの最中に思い出と出会い、ダンスの楽しさに久々に触れたことで、穂乃果はそれを再確認します。

けれども、それだけでは穂乃果はμ'sに戻ることができません。
自分にとってアイドルとしての活動がかけがえのないものだったとしても、
それが自分を暴走させ、友達を傷つけたということは否定されないからです。
ゲームセンターからの帰り道、穂乃果は一人で考えます。

--今度は誰も悲しませないことをやりたいな。
 自分勝手にならずに済んで、でも楽しくて。
 たくさんの人を笑顔にするために、頑張ることができて。

「そんなもの、あるのかな?」 (13話)


「誰かを傷つけ得る」ということが否定されないため、穂乃果は戻れないのです。
ことりを傷つけたという事実が持つ重大さが、この独白には表れています。
そのため、穂乃果はこの時点で復帰を決意するには至りません。
彼女が一人ではμ'sに戻れなかったということは、けだし重要な意味を持っています。
このことについては、ことりの復帰を論じる際に改めて取り上げようと思います。


(2)にこの叱咤:目的としてのスクールアイドル


第二に、穂乃果は自分の正直な気持ちに出会った後で、練習に励むにこたちに出会います。
そしてにこに、厳しい叱咤を受けることになります。

「μ'sが休止したからって、スクールアイドルやっちゃいけないって決まりはないでしょ?」
「でも、何で?」
「好きだからよ」

「にこはアイドルが大好きなの! みんなの前で歌って、ダンスして、
 みんなと一緒に盛り上がって、また明日から頑張ろうって、
 そういう気持ちにさせることができるイドルが私は大好きなの!
 穂乃果みたいないい加減な好きとは違うの!」
「違う! 私だって!」
「どこが違うの? 自分から辞めるって言ったのよ。やってもしょうがないって」 (13話)


にこはここで、穂乃果がゲームセンターで薄々気付いていたことを明確に述べて見せています。
すなわち、スクールアイドルとしての活動は単なる学校存続のための手段ではなく、
それ自体として意味のある目的であるということを提示して見せるのです。

にこは「目標が達成できたから辞める」と言った穂乃果に対して、
自分にとってそれは手段に過ぎないものではないと言い放ちます。
これは13話冒頭での絵里の問いかけに答えるものです。

「正直、穂乃果が言い出さなくても、いずれこの問題にはぶつかっていたと思う。
 来年までだけど、学校が存続することになって、私たちは何を目標にこれから頑張るのか、
 考えなきゃいけないときが来てたのよ」 (13話)


これに対して、にこは「大好きだから」アイドルを続けると答えるわけです。
自分にとっては、そもそもスクールアイドルは「手段」ではない。
それ自体が大切な「目的」だから、学校の存続が決まっても当然続ける。
にこの提案について来たのが、当初からアイドルに興味があり、
自分からアライズの映像ライブを見に行っていた花陽と凛だったことは示唆的です。

穂乃果はにこの答えを聞いて、自分にも同様の想いがあることを明らかに自覚しています。
だからこそ、彼女の挑発的な言葉に反論しかけるのです。
にこの叱咤は、穂乃果に自身の本心を一層悟らせたと言えると思います。
しかし、穂乃果は先述の自責ゆえに、まだ復帰を選ぶことはできない。

この時点では、穂乃果の復帰のために必要な両輪のうち、一つが修復されたに過ぎないのです。


(3)絵里の告白:自己否定からの脱却


第三に、穂乃果は家で絵里と出会います。
彼女は穂乃果の部屋で、自分のことについて正直に告白します。

「私ね、すごくしっかりしてて、いつも冷静に見えるって言われるけど、
 本当は全然そんなことないの」
「絵里ちゃん……」

「いつも迷って困って泣き出しそうで、希に実際はずかしところ見られたこともあるのよ。
 でも、隠してる。自分の弱いところを……。私は穂乃果が羨ましい。
 素直に自分が想っている気持ちを、そのまま行動に起こせる姿がすごいなって」
「そんなこと……」

「ねえ、穂乃果。私には、穂乃果に何を言ってあげればいいか、正直分からない。
 私たちでさえ、ことりがいなくなってしまうことがショックなんだから、
 海未や穂乃果の気持ちを考えると辛くなる。でもね。
 私は穂乃果に、一番大切なものを教えてもらったの。
 変わることを恐れないで、突き進む勇気。
 私はあのとき、あなたの手に救われた」 (13話)


この言葉を受けて、穂乃果は復帰を決意するわけですが、
何故この言葉が穂乃果にとって有効打になったかは語られていません。
しかし穂乃果が、自責に端を発する「自己否定」から辞めるに至ったことを踏まえると、
絵里の言葉は穂乃果の否定した「これまでの穂乃果」を描き出した上で、
それを肯定して見せたから、復帰のきっかけとなったと考えることができます。

ここまで穂乃果にとって、これまでの自分は自分勝手で、周囲に迷惑をかけ、
あまつさえ親友を傷つけた、否定されるべきものでした。
それを絵里は、自分の立場から肯定してみせるのです。
彼女は、自己否定の結果として見失われた穂乃果の姿を言明した上で、
その穂乃果だったからこそ、もたらすことができたものを提示しています。

そのため穂乃果は、自分を見つめ直すことができたのではないでしょうか。
否定されるべき自分は、絵里を救った自分でもあった。
極端にマイナスに傾いた天秤は、ここで修正をかけられています。
自己否定のループは、ようやくここで終わりを告げることになります。

つまり、にこが穂乃果に自分の正直な感情を強く意識させたのに対して、
絵里は「これまでの穂乃果」を肯定することで彼女の自己否定を止めたのです。
前に進む両輪が揃って、穂乃果は復帰へと向かうことになります。


(4)みんなの想いを受け止めて


第四に、絵里が帰った後、穂乃果は復帰の決意を固めます。
部屋でのシーンには穂乃果の独白がないため、彼女が何を具体的に考えたかは分かりません。
しかし、映像上の表現が何より雄弁にそれを語っています。
いくつか重要な表現を抜き出してみたいと思います。

まず、穂乃果はパソコン上のランキング画面に向かいますが、
このとき何らかの音楽を聞いています。
耳にイヤホンがささっていることに注目してください。

lovelive08.png

これより少し前に巻き戻すと、このとき聞いていると考えられるCDのケースが確認できます。

lovelive07.png

これは色から判断するに、おそらく12話で真姫が穂乃果に送ったCDです。
ほんの数秒のカットなので証左に乏しいですが、敢えてCDケースを映していることを鑑みると、
それが作中で登場した「特別な」CDであると考えても、あながち無理ではないと思います。
真姫のCDは12話で穂乃果に送られながら、作中では一度も聞かれてこなかったものです。
以下に12話の一場面を引用します。

lovelive06.png

このように、真姫からのCDは聞かれることなく地面に落ちています。
そして、この後に穂乃果がCDを聞く描写は全くありません。
13話の先のシーンになって初めて、穂乃果はCDを聞くのです。
これにはどのような意味があるのでしょうか。

真姫のCDは11話のライブで倒れた穂乃果に送られたものです。
それは、「μ'sのメンバーからの穂乃果への気持ち」を象徴するものと捉えられます。
倒れた穂乃果を労わる温かい心、落ち込む穂乃果に差し伸べられた手。
そういったものを示す記号として、CDを考えることができます。

12話で穂乃果はその気持ちを素直に受け取り、手を掴むことができません。
なぜなら、そこには「穂乃果のせいではない」というメンバーの気遣いがあるからです。
実際に絵里は、穂乃果ではなく、メンバー全員に責任があることを強調しています。
だからこそ、穂乃果はそれを受け取ることができないのです。
ラブライブの辞退とことりの留学の決定を受けて、
穂乃果は強い自責の念を抱き、徹底的な自己否定へと向かいました。
そうした方角へと進んでいた穂乃果にとっては、
μ'sのみんなの気持ちは、自分と対立する受け入れがたいものだったはずです。

「そうやって、全部自分のせいにするのは傲慢よ」
「でも!」 (12話)


絵里の言葉に対して咄嗟に出た「でも!」。
そこにCDを聞かなかった理由を見出すことができます。

けれども、13話で絵里の言葉を受けて、穂乃果は極端な自己否定を止めにします。
彼女がμ'sのメンバーから差し伸べられた手を払う理由はもうありません。
ゆえに、ここで初めて真姫の想いが詰まったCDに手を伸ばしたのではないでしょうか。
それは自己否定でどんどんμ'sから離れて行った穂乃果が、
μ'sのメンバーの気持ちを受け取って、戻っていくのを象徴する行為です。

穂乃果はこの場面で、知覚した自分の正直な気持ちを受け入れるだけでなく、
μ'sのみんなの気持ちも受け入れているということが、CDにより示されています。

また、穂乃果はここで押入れに仕舞っていた練習着を取り出します。

lovelive12.png

現実的に考えれば、ここで練習着に着替えた意味はほとんどないと言えます。
穂乃果はこの後、一人で自主練を行うわけではないのです。
穂乃果が練習着に着替えたのは、その必要があったからではなく、そうしたかったからに他なりません。
スクールアイドルに戻る固い決意はここにも見て取れます。
これは、12話でのことりの行動に対応するものです。

lovelive11.png

ことりは穂乃果に留学のことを伝えた後、
最後まで残しておいたステージ衣装を荷物の中に仕舞います。
彼女が衣装を最後まで仕舞わずにおいたのは、まだアイドルと留学との間で揺れていたからです。
しかし、穂乃果からの謝罪のメールを受けて、ことりの考えは一先ず固まります。
「衣装を仕舞う」動作はそれを表現していると考えられます。

穂乃果の「練習着を取り出す」動作は、「衣装を仕舞う」動作の真逆に当たります。
アイドルから離れていくことりに対して、穂乃果はアイドルへと戻っていく。
二人の対照的な状況が、動作の差異により上手く表現された場面だと思います。

まとめれば、これまでに自分の想いと向き合い、自己否定を止めた穂乃果は、
この場面でみんなの気持ちを受け止めて、前に進むことを決心します。


そしてこの後、海未とことりに正直に自分の考えを伝えて、九人のμ'sを取り戻すのです。
これが大まかな13話の流れでした。
それでは、こうした流れの中においてμ'sはどのような関係として現れているのでしょうか。
それに関しては次回、改めて論じていこうと思います。

 ⇒続き: 九人のμ'sへの帰着、新しい夢への出発 (ラブライブ!感想②)


テーマ:ラブライブ!
ジャンル:アニメ・コミック

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