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風浦可符香が「神様みたいないい子」ではない理由

2012.06.16 21:05|さよなら絶望先生
「私たちの知っている可符香ちゃんは天使みたいないい子でした」。

300話のタイトルです。
今日はここから色々考えてみたいと思います。

追記からご覧ください。(4000字程度)




可符香にはこのタイトルの通り、「天使」のイメージが付加されています。
300話の知恵先生の言葉、301話の最後や単行本第29集での周辺に舞う羽は象徴的です。

しかし、何故天使なのでしょうか。
この疑問は、300話を読み終えたときから、ずっと私に付きまとっていました。
言うまでもないかも知れませんが、このタイトルは太宰治の『人間失格』から取ったものです。

「私たちの知っている葉ちゃんは、とても素直で、よく気がきいて、
 あれでお酒さえ飲まなければ、いいえ、飲んでも、
 ……神様みたいないい子でした。
(太宰治『人間失格・桜桃』角川書店、2007年6月、149頁)


『人間失格』の最後の一行です(底本は手元にあったやつで申し訳ないです)。
これを見ると、可符香を原文のままの「神様みたいないい子」としないで、
何故「天使みたいないい子」としたのか、考える余地があるのではないでしょうか。
もちろん、大した理由はない言い換えなのかも知れません。
しかし、それにしては可符香が「神様」のイメージではなく、
「天使」のイメージを託されているということが強調されているように思うのです。

例えば、2話、「帰ってきた絶望先生」を見てみましょう。
ここで望は絶望的な進路を書かせる「進路絶望調査」を行います。
そのとき、可符香が第一希望(最も絶望的なもの)に書いたのが、「神」でした。
ちなみに、第二希望は「未来人」、第三希望は「ポロロッカ星人」です。
可符香が「神様」のイメージを背負っていないことが、提示されている一場面であると思います。
(ただし5話を見ると、「来世」でなら神になれる可能性はあると考えているようです)

それに対して、「天使」のイメージは可符香に託されていきます。
最終話近くになって描かれ始めた、各所での天使の羽に関しては言うまでもないでしょう。
既述した場面以外で言えば、199話でも「天使」が可符香と重ね合わされています。
望の深層心理に潜む「0.001秒の天使」ですね。
この「天使」は可符香にしか見えない姿で望の前に出現します。

こうして見てみると、「神様みたいないい子」から「天使みたいないい子」への書き換えに、
あるいは可符香に託されている「天使」というイメージ自体に、
何か意味があるのではないかと疑ってみたくなってしまいます。
単に彼女を綺麗にメイクアップする修飾語ではなく、
役割や本質を踏まえた上で、「天使」という言葉が使われたのではないでしょうか。


というわけで、理由を考えた次第です。

結論から言いましょう。

可符香は、「人間」でも「神様」でもないけれども、
その両者に関係する存在として、「天使」と表されているのではないでしょうか。


以下、詳らかに説明していきます。



①「物語の外部」の存在としての「天使」

まず、可符香は死によって「物語の外部」の存在となりました。
この辺りは前にも述べましたが、『さよなら絶望先生』は死後の存在を認めながら、
霊的な存在が直接登場することは、(ネタ以外では)基本的にはありません。
依り代である絶望少女たちを介して作中に現れています。
『さよなら絶望先生』自体は現世を描く、生きている「人間」の物語であるため、
死後の存在は生者を通してのみ「物語の内部」に顕現できるのです。
それゆえ、死後の存在は基本的には「物語の外部」の存在と言えます。

「物語の外部」の存在であることを示すために、「天使」と表されるのではないでしょうか。
「物語の内部」の存在である「人間」ではないというわけです。
しかし、「外部」に在ることを表すだけであれば、「神様みたいないい子」でもいいはずです。



②「人間」と「神様」を架橋する存在としての「天使」

というわけで次に、「信仰」というキーワードから、可符香を考えてみます。
考えてみると、可符香は「信仰」と深い関係にあるキャラクターと言えないでしょうか。
可符香は、どのようなものもポジティブに捉えるという、「赤毛のアン」的な性格です。
ゆえに、どう考えても絶望的な状況ですら、ポジティブに捉えていきます。
このとき、彼女は「超現実的な」解釈になることを厭いません。
ここから、「信仰」「電波」のイメージに繋がっていきます。
ちなみに、作中に以下のような可符香と千里の会話があります。

「ご両親に全く似てなくても大丈夫 人はみな神の子だから」
「何か、あなた最近、変な方向へ行っていない?」(8話)


可符香が宗教や信仰、あるいは電波的な方向へ進むのは、
その「赤毛のアン」的な性格から必然的なことと言えます。

以上のように「信仰」と深い関係にある可符香ですが、
その信仰に対する立ち位置は、「人間」や「神様」のものとはそれぞれ微妙に異なります。
両者の「信仰」に対する関係を言い表すのならば、
「人間」は「信仰する者」であり、「神様」は「信仰される者」と言えます。
それぞれを可符香と比較してみましょう。

第一に、可符香は上述のような、「信仰する」立場であることを示す描写がよくあります。
彼女が本当に何かを信仰しているかということは多分論争的なトピックですが、
取りあえず「信仰する」ことと結び付いた人物としては描かれていると考えられます。

「遅刻しそうな時でもお祈りはかかしません ※カフカちゃんの神様です」(63話)


第二に、可符香は単に「信仰する」立場には留まりません。
「P.N.」によって「書き手」のイメージを託されている彼女は、
神話を作り、「信仰に導く」立場でもあります。

可符香と信者たちの微笑ましいやり取りを引用してみましょう。

「神は仰いました」
「お金は不浄なものなので全て私に預けなさいと」

「はいっ」(146話)


また宗教色は薄いかも知れませんが、103話にも信仰を導いているように見える描写があります。
以上のように、「信仰への導き手」でもあるわけです。
これは「赤毛のアン」的性格と、「書き手」のイメージが出会った結果と言えるでしょう。
これらを考えると、可符香は「信仰される」神の立場とは明らかに異なる上に、
「人間」の「信仰する」だけの立場とも異なっていると言えます。
この微妙な立ち位置、「人間」と「神様」を架橋するような立ち位置を言い表すために、
敢えて「天使」という言葉が使われたのではないでしょうか。




③許す「神様」と許される可符香

これまで色々論じて参りましたが、可符香が「神様みたいないい子」ではない、
最大の理由は301話のラストシーンにあると私は考えております。

今回も久藤准の科白を参照しましょう。

「僕は死んだ子とされてたんです 輸血を受けたから」
「僕は自殺も輸血も許されない教えの家に生まれたんです」
「この島は融合に寛容なんです」
「キリシタン神社やマリア観音なんてあるくらいですから」
「元々は隠れキリシタンのカモフラージュのためにあった神道や仏教の教えが
 時を経て融合し独特の教えと変化し伝承され受け継がれてきたんです」
「隠れる必要のない現代においても原点の教えに回帰するわけでもなく」
「僕はここでは生きることを許されたんです」(301話)


このうちの、「許された」という表現に注目したいと思います。

久藤准は一体何によって、生きることを許されたのでしょうか。
最初に、上の語りを見れば、島、あるいは島の住人たちと考えることもできます。
しかし、同時に、島で融合した宗教の話を出しているところを鑑みれば、
彼はその島やそこの住民の間に根付いている宗教の「神様」に、
許されたと考えるのが妥当ではないでしょうか。

彼が身につけている「胸元の十字架」は象徴的な表現です。

つまり、最終話において「神様」は「許す」立場にあります。
ここで前回の記事の内容を踏まえるのならば、
可符香は物語中において准と極めて似通った存在であるため、
准が許されたのならば可符香も島では生きることを「許される」と考えることができます。
その結果、赤木杏である可符香本人が望の前に現れたというのが私の考えでした。

そうです、この場面では可符香が「許される」立場なのです。
ゆえに、許す側である「神様」ではありません。
そのため、「神様みたいないい子」とは表現せず、
彼女に「神様」のイメージを付加しなかったのだと考えております。

結論として、可符香は「神様」とは異なり、「人間」とも微妙に異なるけれども、
両方に関係する者として、「天使」のイメージが付加されたのではないでしょうか。

「神様」でないからこそ、彼女は許されて最後に出会いを果たしたのだと考えます。



ところで先生。
本当に「誰かの中のカフカ」であると思っていたのなら、何故すぐに逃げなかったんですか。
それは逃げ果せようとしていた絶望少女たちに先回りされたことを意味するのに。
先生は、問いかけながらある答えを期待していたんじゃないですか。

結論、出ちゃってるんじゃないですか。

テーマ:さよなら絶望先生
ジャンル:アニメ・コミック

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