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主人公三人の役割と長四郎が朔夜を止める理由 (零-月蝕の仮面-)

2013.01.14 21:29|零シリーズ
あけましておめでとうございます。
今年もできる限り色々と書いていきたいと思いますので、
昨年からご覧になって下さっている方は、今年もよろしくお願いいたします。

さて、新年一発目ということで、今回はホラーゲームの中でも私が特に好いている、
『零~月蝕の仮面~』について考えて見たいと思います。
昨年は『零~眞紅の蝶~』も発売されたというのに、何故いま月蝕かというと、
ようやく自分の中で考えがまとまってきたからです。
眞紅の蝶は、まだ思考が整理されていないのでまたの機会に譲ることにしました。

もちろん、月蝕の仮面に関しても暫定的結論が得られただけで、
当然未熟な点も多いと思いますので、そのような点はどしどし突いて頂きたいと思います。
それでは、今年一発目の考察を始めて参りましょう。
続きからお願いいたします。



○『零-月蝕の仮面-』:主人公三人の役割と長四郎が朔夜を止める理由


まず、参考として月蝕の仮面のエンディングを改めて確認してみましょう。
以下に簡単に説明しますが、見たことのない方は、
是非一度やってみてご覧になることをおすすめいたします。
決定的なネタバレを含むため、未プレイの方はご注意ください。
それでは、エンディングの流れを振り返ってみましょう。

まず、流歌は月守歌で朔夜を宥めて、長四郎が月蝕の仮面で朔夜を止める。
それにより適切に儀式はやり遂げられ、還るべき魂は零域へと還っていく。
海咲も円香によって救われ、消えていく彼女を一人見送る。

大まかに要点を列挙すれば、そのようなエンディングとなっています。
眞紅の蝶のようなマルチエンド式ではなく、零無印から続く、
難易度によってエンディングが変わるという形式です。
海咲が円香に救われるシーンは、二週目以降に初めて見ることができます。

さて、このエンディングで一つ疑問として浮かび上がるのは、
「何故長四郎が朔夜を止めることになるのか」ということです。
流歌は月守歌を奏でた後で、朔夜に仮面を付けようと駆け寄っています。
彼女が仮面を被せても物語としては何の問題もないわけです。
しかし、敢えてここで長四郎がその役割を掻っ攫っていきます。
自分の死に気付き、物語からフェードアウトしていた長四郎が、です。

このことにどのような意味があるかというのは、月蝕の仮面の一つの問題と言えます。

結論から言えば、朔夜を長四郎が止めるのは、彼が最もその行動にふさわしいからです。
けだし、月蝕の仮面では主人公三人に、それぞれ別の役割が与えられています。
その「役割」に照らしてみると、長四郎こそ、朔夜を止めるべき人物なのです。

今回は最初に主人公三人の役割が何であるかを論じて、
次にそのことを踏まえて、長四郎が朔夜を止める意味を論じていこうと思います。


ちなみに円香も主人公の一人ですが、彼女は海咲との関連で語ろうと思うので、
今回の考察では流歌・海咲・長四郎の三人を基軸に考えていこうと思います。


(1)流歌:「父から受け継ぎ、母から受け継ぐもの」


第一に、流歌は一言で言って「受け継ぐもの」です。
宗悦に憑りつかれ遂に月蝕の仮面を完成させるに至った父と、
月守歌を伝える母の間に生まれた流歌は、儀式成功のために最も重要なキーパーソンです。
二人から儀式の必需品をそれぞれ受け継ぎ、持参することこそ彼女の役割と言えます。
ゆえに、物語の中で、父の月蝕の仮面を集めて再び一つの形となし、
母の月守歌の断片を記憶の中で集め一つの曲となして、
儀式の舞台に持ち込んだのは他ならぬ彼女でした。
流歌は両親から「受け継ぐもの」として物語の中に現れています。

このことと関連して、流歌と同輩たちとの関わりが異様に少ないことを指摘しておきます。
彼女は元々海咲や円香と面識があるのにも関わらず、
物語中で彼女たちと接触することはほとんどありません。
円香との関係は序盤で微妙に示唆されますが、はっきり言って微々たるものです。
「友達」という設定に反する、この不自然さはどこから生じているのでしょうか。

その答えが、物語中で彼女が担う「役割」です。
すなわち、彼女は「受け継ぐもの」であるために、父や母との関係が重視されています。
海咲や円香との関係は、その役割の上では語る必要性がありません。

ゆえに、三人が関わっていく場面はほとんどないのです。
朧月島に向かう理由も、彼女の場合、父と結び付けられたものです。

結論として、流歌は父から仮面を、母から月守歌を「受け継ぐもの」として描かれています。
それこそ月蝕の仮面という物語において、彼女が担うべき大きな役割でした。


(2)海咲:「朔夜に遺され、円香に遺されるもの」


第二に、海咲は「遺されるもの」、あるいは「守られるもの」です。
かつて朔夜は海咲に海夜を託すことで、彼女を守ろうとしました。
例えそれにより、自分が危うくなろうとも。
その結果、過去において海咲は朔夜に遺されます。
八ノ蝕の最後で海咲が思い出す、「さようなら」と告げる朔夜の優しい微笑。
あのとき、海咲は朔夜に守られ、そして遺されたと言えます。

更に海咲は、エンディングにおいて再び救われ遺されます。
他の誰でもない、円香によってです。
もはや目覚めることのなかったはずの海咲は、円香の助けで起き上がります。
そして、海咲は手元の海夜を敢えて捨て去り、円香のもとへと駆け寄っていきます。
そこで彼女が目にするのは、在りし日の朔夜と同様の、優しい微笑でした。
二人はあのとき、何を語ったのでしょうか。
円香は海咲に見送られながら、そのまま逝ってしまいます。
海咲は、円香にも守られ、遺されることになったのです。

以上から分かるように、海咲は「遺されるもの」として物語中に現れます。
けだし、これは最も零らしい役割です。
彼女の物語を改めて考えて見るとき、私たちは刺青の聲のエンディングを思い出すでしょう。
死者を見送った深紅と怜は、以下のように語ります。

生き残った……。
ずっとそう思っていました。
でも、私たち、ここに遺されたんですね。

だから、私はここにいる。
痛みとともに。


零の核心的テーマの一つである「遺される」ということ。
それを月蝕の仮面で表したのは、まさしく海咲という少女だったのだと思います。



(3)長四郎:「耀に対抗し、流歌に助力するもの」


第三に、長四郎は灰原耀に「対抗するもの」として、
また同時に流歌に「助力するもの」として物語中に登場します。
彼の物語を考える上で、耀と小夜歌を外すわけにはいきません。
そのことは三ノ蝕の冒頭から、十ノ蝕の最後まで、
二人が存在感を持ち続けることから、たやすく知ることができるでしょう。
二人との関係で、長四郎は上述の二つの役割を担うことになります。

まずは、耀との関係を確認しておきましょう。
耀は長四郎が刑事として「ずっと」追い続けることになる容疑者であり、
手記によれば、耀も長四郎のことをゲームの相手として認識していました。
長四郎が耀に「対抗するもの」であることは、このことから説明できます。
また、長四郎が突き止め、止めようとしていた耀の企みとは、
朔夜を救おうとする灰原家の試みでもあるため、
長四郎は灰原家全体に「対抗するもの」としても現れることになります。

実際に、長四郎はシナリオ上で灰原重人と戦うことになる唯一の主人公です。
長四郎は灰原家と因縁を持つ刑事であり、特に耀に「対抗するもの」として描かれると言えます。

次に、小夜歌との関係を確認します。
小夜歌は、かつて長四郎に娘の流歌のことについて頼んだ人物であり、
流歌が父親の記憶を求めて再び朧月島に行くに当たり、彼女は再び長四郎に流歌を託しました。
実際に長四郎は、小夜歌に言われた通りに月蝕の仮面の欠片を届けます。
以上の場面では、小夜歌の言に従って、流歌に「助力するもの」として現れています。

耀に対抗し、流歌に助力する。
それが月蝕の仮面において長四郎に任されている役割です。



(4)エンディング再考:受け入れた耀への「対抗」として


それではここで、最初の問いに戻ることにしましょう。
エンディングで朔夜を止めるのは、何故長四郎なのでしょうか。
既に言いたいことが見えている方もいるでしょうが、丁寧に説明していくことにします。

まず、流歌は「受け継ぐもの」として、月蝕の仮面と月守歌を持参しました。
朔夜の動きを一時的に止めて、月守歌を奏でるまでは彼女が行います。
しかし、流歌は朔夜を止めるものとしては、はっきり言って役者不足です。
彼女は朔夜、ないし灰原家との繋がりをほとんど持っていません。
ここは海咲や長四郎と対照的です。
ゆえに、「朔夜を」止めるものとしては、どうしても弱い印象を与えます。
そのため、彼女は朔夜を止められないのだと思います。

次に、海咲について考えて見ましょう。
彼女は朔夜と十分に関係を有しており、実際に八ノ蝕でも戦っています。
しかし、彼女は「守られるもの」であり「遺されるもの」です。
海咲は朔夜に助けられる立場であるために、
朔夜を救うことはできなかったとは言えないでしょうか。

事実儀式の際には、海咲は意識を失ったままで閉じ込められていました。
彼女の役割からして、彼女には朔夜を助ける役割が与えられません。

そこで長四郎が登場します。
彼は耀に「対抗するもの」であり、灰原家との因縁も浅からぬものです。
そして儀式の時点で、耀は朔夜が咲くことを受け入れています。
かつての無苦の日のときと同じく、半ば絶望し、そのときを待っていました。
だからこそ、ずっと続いていた長四郎とのゲームを終わらせる。
そのような、大いなる共鳴を受け入れた耀に「対抗するもの」として、
長四郎は朔夜の前に立つのではないでしょうか。

もちろん、朔夜を止めるために。
彼が朔夜を止める場面は、朔夜からの共鳴を受け入れた耀への「対抗の場面」と取れます。

また、長四郎のもう一つの役割も、彼が朔夜を止めることを説明します。
前述した通り、長四郎は小夜歌から依頼を受けて、流歌に「助力するもの」でした。
まさしくエンディングで、長四郎は身動きができない流歌を助けるのです。
つまり朔夜を止める場面は、長四郎が流歌を「助ける場面」でもあります。

以上から、月蝕の仮面におけるそれぞれの「役割」と照らしたときに、
朔夜に仮面を被せる演者として最もふさわしいのは、長四郎であると考えられます。

何故長四郎が朔夜を止める役目を全うするのか。
その答えは、彼がその任に最もふさわしい人物であるからに他なりません。
それぞれの主人公にそれぞれの役割があり、エンディングでもそれに従い三様に動く。
月蝕の仮面という作品は、そのように捉えることができると思います。


テーマ:零シリーズ
ジャンル:ゲーム

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