スポンサーサイト

--.--.-- --:--|スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

手を引く静香の歌としての『Precious Grain』 (門司雪『アイドルマスター ミリオンライブ!1』)

2015.05.04 08:35|アイドルマスター

今回は、門司雪さん『アイドルマスター ミリオンライブ!1』を、
紹介も踏まえつつ考えていきたいと思います。
個人的には待望の、ミリオンライブのコミカライズです。
第一巻においては、未来がアイドルになることを決意し、
静香や翼とともに活動を始めていくところまでが描かれています。
作中で印象的なのは、ミリオンライブの曲の歌詞を、
上手く物語の中に組み込んでいるということだと思います。

可憐たちが歌う『ココロがかえる場所』でもって、
未来が静香との思い出を一つ一つ辿っていく場面は胸に残ります。

この記事では、作中で印象的な場面を飾るもう一つのミリオンライブの曲、
静香の『Precious Grain』に注目していきたいと思います。
この曲については、『ココロがかえる場所』のように、
作中で歌詞が引かれているわけではありません。
そのため、静香が歌ったのが『Precious Grain』であると分かるのは、
会場前に掲げられた彼女のポスター(23ページ)と、
とっさのフォローに入った春香の次の台詞によるのです。

「みなさーん!
 1曲目、最上静香ちゃんで”Precious Grain”を聴いていただきました!
 いかがでしたか!?
 とっても盛り上がる曲ですよね!」 (38-39ページ)


静香の初ステージにおいて強調されたのは、『Precious Grain』の歌詞ではなく、
むしろこの歌を歌う静香の真剣な表情の方でした(33ページ)。
これは、限られた「私の時間」(124ページ)の中で夢を追う静香だからこその、
本気の表情であり、未来もまずここに引き込まれたと考えられます。

しかし、この作品は、未来がアイドルを目指すきっかけとして、
静香の『Precious Grain』を用いたことにより、歌詞は全く出していないのですが、
この歌を「静香が誰かの手を引く歌」として提示してもいたと思います。
「静香が誰かに手を引かれる歌」ではなく。
ここが、私個人としては極めて印象的なところでした。

詳しく歌詞と物語を確認してみましょう。
『Precious Grain』は、一番のクライマックスで次のように言葉を綴ります。

たった一粒でもかけがえのないもの
輝きに変えながら叶えていきたいの
たった一つだけのかけがえのない夢
あなたにも見えたのなら…手を差し伸べて、ガラスの外へ


この部分で歌詞の中の語り手は、ともに歩む「あなた」へと語りかけ、
ともに「ガラスの外」――ここで言うガラスの外とは、
冒頭の歌詞からして、砂時計のガラスの外と思料されるため、
「限られた時間の向こう側」と捉えられます――へと出て行こうとします。
この歌詞の中の語り手の姿は、言うまでもなく、
この歌の歌い手である静香の姿に重ねられると言えます。
静香もまた、限られた「私の時間」の中において自分の夢を叶えて、
時間の限定の鎖を取り外そうと努めるアイドルであるためです。
このことは、作中では頑張り過ぎる静香の切実さにより既に表されていました。

歌詞の中の語り手と、歌の歌い手である静香は重ね得る。
そのために、語り手が「あなた」に向けて「手を差し伸べて」と語りかけるとき、
それは第一に、静香の方が(Pのような)誰かに手を引いてもらって、
硝子の外に連れ出してもらうイメージで捉えられます。

後の歌詞で「たった独りきりじゃ叶えられないから」とあるために、
物語のヒロインのようなイメージでもって、語り手を認知しやすいのです。

しかし、この作品は、これとは正反対のイメージを物語中に描き出していました。
つまり、夢へ向かうことを既に決意している静香の方が、
誰かの手を取り、一緒に夢へと向かって行くイメージが、
『Precious Grain』の歌詞に乗せられていると考えられるのです。

これは、静香の『Precious Grain』を見て未来がアイドルになろうとする流れでもって、
その歌詞が、静香がPのような誰かに呼びかけるものでなく、
未来のような誰かに呼びかけるものとして提示されていたことによります。
まだアイドルではない未来に呼びかける歌としての『Precious Grain』のイメージは、
まさに46ページの、静香の方が未来の手を引くイメージに他なりません。

ここにおいて、歌詞の「あなたにも見えたのなら…手を差し伸べて ガラスの外へ」は、
静香がPのような誰かに、手を差し伸べて私の手を引いて、
私をガラスの外へ連れて行ってと呼びかける意味ではなく、
静香が未来のような誰かに、手を差し伸べて私の手に引かれて、
私と一緒にガラスの外に行きましょうと呼びかける意味となっているのです。
この作品では、『Precious Grain』の語り手は、静香は、
誰かに手を引かれるだけの「ヒロイン」ではなく、
同時に誰かの手を引きもする「アイドル」であるということが示されています。

結論として、『Precious Grain』を歌う静香の姿を見て、
未来がアイドルになることを決意するという流れの中に置かれたことにより、
『Precious Grain』は、Pのような誰かだけではなく、
未来のような誰かに向けられた歌でもあることが示されていたと思います。
その結果として明らかになっていることは、この歌は、
静香がPのような誰かに手を引かれるだけの歌でなく、
未来のような誰かの手を引く歌でもあるということです。


テーマ:アイドルマスター
ジャンル:アニメ・コミック

コメント

非公開コメント

プロフィール

天秤

Author:天秤
天秤と申します。
アニメや漫画など、好きなものについて考えたことを書き込みます。
よろしくお願いいたします。

カレンダー

04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

カテゴリ

最新記事

最近のつぶやき

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

アクセスカウンター

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

RSSリンクの表示

リンク

QRコード

QR

  • ページトップへ
  • ホームへ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。