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魔法を持続させる鍵としての「信じること」 ――第六話の未央とPの問題から (『シンデレラガールズ』:第六話考察)

2015.03.01 21:23|アイドルマスター
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今回は、アニメ『アイドルマスター シンデレラガールズ』について考えます。
第七話までの流れの中で、一つの山場となった第六話のミニライブ。
そこで提示されていた主に未央とPに係る問題を、未央とP、
それぞれの方向から読み解けていければいいと思います。
具体的には、次の二つの問いに答えることを目標とします。
すなわち、第一に未央がアイドルを辞めると述べるに至った最たる原因は何か、
第二にPが未央を決定的に追い詰める「当然」という言葉を使ったのは何故かという問いです。

これらを考えることによって、この作品において、
アイドルが前に進むためには何が必要であるかが見えてきます。
最後にそれに言及して、この記事を締めくくろうかと思います。
それは、主題歌である『Star!!』において表わされているものです。

それでは、もしよろしければ、振り返りつつお付き合いください。


(1) 未央の問題の本性:「過剰な期待」でなく「自信のなさ」


まず、第六話で未央がアイドルを辞めると述べるに至った原因を考えます。
もちろん、直接的な原因となる事象は、Pが客入りを「当然」と言ったことです。
未央はこれにより、自分の「輝き」の程度からすれば、
この程度の客入りであることは「当然」であって、
ミニライブが失敗に終わることは仕方がないと言われたと考えました。
それゆえに、第七話の言葉を借りれば、未央は「逃げ出す」に至ったのです。

ここまでは、第六話においてもほとんど明示されていた部分かと思います。
第六話で未央が抱えていた問題の中心は、「過剰な期待」を抱いていたことではありません。
仮に未央が過剰な期待を抱いていたとしても、彼女にアイドルとしての「自信」があれば、
客入りが期待より少なかったことに、ああいう形でショックは受けなかったでしょう。

未央に「自信」があれば、「お客さん全然少ないじゃん!」という言葉で済んだはずなのです。
未央がPに「不満」をぶつける範疇の問題で済んだはずでした。
クラスメイトに対して恥をかいた等とも思わなかったと思料されます。
客が少数であったのは、自分のせいではなく、他の要因のためと考えられたはずです。

未央が客が少ないことにショックを受けたのも、
クラスメイトに対して恥をかいたと思ったのも、
未央が、客が少ないのは自身に輝きがなかったためと思ったために他ならないのです。
そして、この未央の考えは、そこまでの過剰な期待から直接に導けるものではありません。
元々「自信」がなかったからこそ導かれる考え方です。
であるとすれば、客入りが少ないことに動揺してPに感情をぶつけ、
最終的にアイドルを辞めると言うに至ってしまったのは、
彼女のアイドルとしての「自信」のなさと、「不安」のためであったと言えます。

そこで、何故未央には十分な「自信」がなかったのかということが問題となります。
第六話で未央は、客が少なかったのは「私”たち”のせい」と思うことすらできていません。
未央は、卯月や凛があの客入りの原因の一端であったのではないかとは全く思いませんでした。
未央の中で「自分”だけ”のせい」なのは、ほぼ確定事項であったのです。

未央が、卯月や凛の輝きが足りなかったのではないかと少しも思わなかったのは何故か。
このことは、第六話で主につまづいていたのが卯月であったために、特に問題となるところです。
けだし、その理由は、未央が「最後に」選ばれたからに他ならないのではないでしょうか。

未央が二人の輝きが足りなかったとは夢にも思わず、
自分「だけの」輝きが足りなかったためだと考えたことは、彼女がリーダーであり、
二人とは立場が違っていたためという理由だけでは説明し切れないと思います。
リーダーであったとしても、リーダーでない二人にも、
原因があったのではないかと思うことができないわけではなかったでしょう。
三人の中で輝きが足りないとしたら自分であると思うだけの理由があったはずです。

そしてその理由とは、未央が卯月や凛よりも後に、「最後の」オーディションで、
選ばれたためということ以外にないのではないかと思います。
未央はこの立ち位置上、「自信」に関するフォローが実は最も必要であったのですが、
彼女自身の強みとしてはPに、卯月や凛と同じく「笑顔」と言われ、
またはちひろに、「運」と言われてしかこなかったのです。
未央の持つ「輝き」についての外部からのこれらの言及は、
未央が最後に加入したということに対して足りなかったと考えられます。
現に、第三話での未央の異様な緊張の背後に、
彼女の不安を見出すとするならば、この時点で既に未央は耐えられていないのです。
仮に、第二話で彼女自身が述べていたように、スポーツ万能で、
学園のアイドルだからとでも言われていれば幾分か問題は和らいだかも知れません。

結論として、未央がアイドルを辞めると言うに至ったのは、
アイドルとしての「輝き」を持っているかということについて、
元々十分な「自信」を持っておらず、「不安」になってしまったためです。

そして、未央に十分な「自信」が元々なかったのは、
彼女が最後の最後にぎりぎりで選ばれたアイドルであったためではないかと思います。
このことは、未央が少ない客入りを失敗であると感じ取ったとき、
卯月や凛に少しもその原因があるとは考えないで、
自分だけに考えるに至っている点に表れています。
未央が逃げ出す最悪の事態は、未央の「過剰な期待」と言うより、「不安」によって起こったのです。


(2) Pの誤謬の本性:「不安」と「不満」の取り違え


第二に、Pが未央にアイドルを辞めると言わせるような、言葉を使った理由を考えます。
第六話を理解するに当たっては、未央を考えるだけでは足りず、
もう一方の当事者であるPについても考えなくてはいけません。
問題として重要なのは、客入りを当初「十分」と言っていたPが、
最後の最後には、「当然」と言い換えていたことです。
未央を決定的に傷つけるこの言い換えは、何故起こったのでしょうか。

けだし、Pが「十分」と言っていたのを「当然」と言い換えたのは、
そこまでの未央の話を聞いて、未央が夢のようなステージを経験した結果、
思い上がりとも評せそうな、極度の夢見がちな状況に陥っていると判断したためです。
この浮つきを注意して落ち着かせる「当然」であったのではないでしょうか。

シンデレラプロジェクトのPは、アイドルがどこか浮ついてしまっているときに、
きちんと気を引き締めさせる言葉をかけることができるPであると言えます。
現に第二話では、卯月たち三人が346プロの雰囲気に浮ついて遅刻したとき、
「遅刻ですね」という端的な注意で三人の気を引き締めさせています。

これと同じことを、第六話でPは行おうとしたのだと思います。
これで「十分」成功であるではなくて、これが「当然」で成功であるという厳しい語感により、
「不満」をぶつけてきた未央の目を覚まさせようとしたのではないでしょうか。

現在の客入りを「十分」と言うのではなく「当然」と言うことで、
浮ついていた未央を諌めるPの厳しさは、正しい厳しさであったと思います。
本当に未央が、夢のような舞台を経験して舞い上がって、
その結果としてPに「不満」をぶつけてきているだけであったのなら、
この類の厳しい注意は絶対に必要であったでしょう。
しかし未央は、過剰な期待が裏切られてPに怒っているわけではありませんでした。
未央がPに怒りを振りまいた時点では、確かにそのように見えるのですが。

未央は、美嘉のライブのときのように客が入らなかった現実に対して、
「不満」を抱いたと言うよりは、「不安」を抱いていたのです。
その結果として、Pに不安定な感情をぶつけることになりました。
それをPは、未央は客入りが少なかったことに「不満」を抱いてぶつけてきたと取り違えたのです。
この齟齬が、最悪の結果の原因であったと考えられます。

結論として、Pがこの結果は「十分」と言うのではなくて、
この結果は「当然」という厳しい言い方を最後に取っていたのは、
未央が過剰な期待に基づく「不満」を抱いてしまったと考えていたためであると思います。
厳しい「当然」という語は、未央が本当に、「不満」を抱いていただけであれば、
絶対に必要であり、最も適切な言葉であったかも知れません。
しかし、本当は「不安」で感情をぶつけていた未央にとっては、
この厳しい言葉選びが、決定的に刺さってしまうこととなりました。
未央が逃げ出す最悪の事態は、「不満」と「不安」の取り違えによって起こったのです。


(3) 魔法を持続させる鍵としての「信じること」


以上を踏まえると、この作品におけるシンデレラが、
自身にかけられた魔法を持続させて、輝かしい舞台に到達するためには、
彼女自身がそれを「信じること」が重要であることが見えてきます。
現に未央は、元々抱えていた「自信のなさ」が、「不安」が、
ミニライブの舞台で湧き出てしまったために来た道を引き返したのでした。
自身のアイドルとしての輝きを信じられなくなって逃げ出したのです。
シンデレラの魔法は、彼女自身が信じられなくなった時点で解けてしまう。
逆に言えば、彼女が信じ続けることができれば、それは持続していくのではないでしょうか。
主題歌である『Star!!』においては、次のように歌われています。

SAY☆いっぱい羽ばたく 一人に一コずつ
抱えたこの煌めき 信じているから
晴いっぱい羽ばたく 遥かな憧れにホラ
リアルが近づいてる
Let's go あのヒカリ目指して (『Star!!』)


アイドルは、「信じているから」上へと羽ばたいていけるのです。
そして、アイドルに自身の輝きを信じることができるようにさせるものとは、
まずは、「私どうかな?」、「ねえ行けるよね?」という問いかけに答えてくれる、
傍についていてくれる「キミ」のことに他ならないでしょう(『Star!!』)。
これが誰のことであるべきで、誰のことであるのかということは、
第七話の展開の中に表れていたように思います。

シンデレラの魔法が途中で解けずに持続していくためには、
シンデレラ自身がそれを「信じること」が必要であって、
さらに、シンデレラがそれを信じていくためには、
自らの輝きを信じさせてくれる、手を引く存在が必要なのです。




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テーマ:アイドルマスター
ジャンル:アニメ・コミック

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