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憧れの初ステージに係る「意志」と「緊張」 ――手をとり合うシンデレラ (『シンデレラガールズ』:第三話考察)

2015.02.01 16:51|アイドルマスター
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今回は、アニメ『アイドルマスター シンデレラガールズ』の第三話までを考えます。
第三話は、卯月たち三人が初めてステージに立つまでを描いていました。
ここにおいて一際目立っていたシーンと言えば、一つは、
凛が緊張して動けない状態にあった卯月と未央、
特に未央を、引っ張っていく箇所ではなかったかと思います。
凛はアイドルに最も縁遠かったにもかかわらず、
あの場面ではまるでリーダーのごとく二人に声をかけていました。
このことを鑑みれば、三人の初ステージは、
凛が二人を引っ張ったことで挑むことができたものだったと言えるでしょう。

しかし、それにもかかわらず、私は初ステージまでの展開というのは、
凛が未央と卯月を引っ張る、凛を中心とした物語ではなかった気がします。
そうではなくて、未央と卯月が凛を引っ張り、
凛が未央と卯月を引っ張るという、三人を中心とした物語であった気がするのです。

ここが第三話までの流れの中で、最も重要なことであったと思います。
最後の最後に凛が二人を引っ張るため、そのことが深く印象に残りますが、
そのように二人を引っ張った凛も、二人に引っ張られてこそ、
初ステージに進み出ることができたとは考えられないでしょうか。

次の疑問は、上述の「三人の物語」の側面を浮き彫りにすると思います。
すなわち、何故未央が特に初ステージ前に緊張状態に陥ったのかという疑問です。
三人とも、初めてにしては大き過ぎる舞台に臨むという意味では条件は変わりません。
それでは何が、未央にとりわけ大きな緊張をもたらしたのでしょうか。
この問題に対して、キャラクターの問題にしてしまうことは容易いことでしょう。
つまり、未央は三人の中で本番に弱いキャラクターであって、
それゆえに非常に緊張したということを回答にしてしまうのです。
そう読むこともできないわけではないでしょう。
しかし私は、第三話までの物語が、未央の緊張を性質上の、
所与の問題としてだけ提示しているわけではないと思います。
思うに未央は、美嘉とともに立つステージへの気持ちが三人の中で特に強く、
それゆえに他の二人以上の緊張を感じることになったのです。

美嘉への憧れが未央の本番前の緊張に繋がったのではないでしょうか。
この記事ではこの部分から、第三話の物語を捉え直していきます。



○憧れの初ステージに係る「意志」と「緊張」――手をとり合うシンデレラ


まず、未央が美嘉に憧れていたことが分かるシーンとして、
第三話でライブに向けた練習が始まる箇所を引用します。

「くぅ~! あの城ヶ崎美嘉と一緒にレッスンできるなんて!」(中略)

「ふーん。ま、やってみないと分かんないよね。
 ここはババーンと、アタシにまっかせて!」
「美嘉ちゃん……!」
今日から、美嘉ねーと呼ばせてもらいます!」 (第三話)


上記のように、未央は初ステージのライブに立てるということだけでなく、
美嘉と一緒のステージに立てることについても、希望と期待を抱いています。
未央にとっては、憧れのアイドルと一緒のステージに立つことも重要であったのです。
もちろん、卯月も未央と同様の美嘉への憧れを持っていたとは思います。
しかし、未央については、これが特に強かったことが推測できるのです。
第二話において初めて美嘉と対面したときも、未央は最初に反応し、
かつ、卯月よりも先に美嘉のところに駆け寄っていました。
アーティスト写真を撮影するに当たって、未央が最初に取ったポーズが、
直前に見た美嘉の撮影でのポーズを明らかに真似したものであったことも、
未央の美嘉への気持ちの大きさを言外に語るものであるでしょう。

そして、この特に大きかった美嘉への憧れが、
未央の特に大きな緊張に繋がったのであると思います。
未央は、緊張するにつれ何も語らなくなってしまったので、
あのとき彼女が何を考え、何で足が動かなくなってしまっていたのかは分かりません。
しかし、あの「普通でない状態」の原因の一端が美嘉への憧れであったことは、
第二話のアーティスト写真を撮影する場面で暗示されている気がします。
当初撮った写真が没になってやり直しになった際に、未央は二人と語り合います。

「何か、がちがちだったね」
「うん……」
「何だか緊張して……」
普通って難しい……」 (第二話)


未央は撮影の際に、「もっと普通に」と言われてしまいました。
あのとき普通でないポーズと指摘されたのは、
未央が直前に見ていた美嘉の撮影でのポーズに酷似したものに他なりません。
美嘉への憧れは、未央を「普通」から遠ざけることがここに表れています。
ここを捉えるならば、第三話で未央が普通でない緊張状態に陥ったことも、
美嘉への憧れで説明できる部分があったと考えられると思います。
未央は、憧れのアイドルである美嘉と一緒にステージに立つこと、
その重さを本番前に誰よりも意識して、緊張するに至ったのです。

本番前の卯月も、未央に準ずる緊張感を持っていたと考えられます。
だからこそ本番直前には、凛が冷静に二人を引っ張っていたのです。


ところで、ここで考えてみるべきことは、アイドルへの憧れが、
初ステージ前の緊張感だけをもたらすものであるのかということです。
憧れがもたらす普通でない状態とは、緊張した状態のみに過ぎないのか。
第三話までの物語は、そうではないことを示していました。
すなわち憧れは、一方で初ステージ前の「緊張」をもたらすものとして描かれ、
他方で初ステージに向かう「意志」をもたらすものとして描かれていたのではないでしょうか。
第二話の末尾、初ステージが決まる場面で、未央は次のように述べています。

「こんな簡単に決まっていいのかな?」
「大丈夫、大丈夫。私って本番に強いから、意外といけちゃう気がするなあ
「へー」
ライブかあ、楽しみだな」 (第二話)


未央の根拠のない自信は、実際には「実際のライブ会場で決めてみせたい」、
「上手くやってみせる」という「意志」の表現であったと思います。
仮にこういう気持ちがなければ、練習を始める前から「いけちゃう」と言い切って、
果敢に初ステージへと進んでいくことはできなかったでしょう。
卯月もライブへの憧れゆえに、不安よりも先に期待を抱いています。
第三話の冒頭にも、前向きに進んでいく未央と卯月に対して、
踏み出すのに躊躇する凛という関係は引き継がれています。

「私たちがステージに立てるなんて」
「入って早々の大抜擢。何が起こるか分からない。
 いやー、アイドルってすっごく楽しいよね!」
「はい! 凛ちゃんはどうですか?」
「まだ実感湧かないかな。ステージに立ってる自分がまだ想像できないし。
 アイドルの仕事って、こんな感じで決まっていくものなのかな」
それは分かんないけど、やってみなきゃ分かんないって!
「痛いって」 (第三話)


ここでは明らかに、未央と卯月、特に未央が、凛を引っ張る形になっています。
言うまでもなく、ここで凛の背中を小突く未央は、
本番直前に未央の肩を叩く凛に対応するものです。

本番直前まではむしろ、未央と卯月が凛を引っ張っていたと読めます。

本番直前までは、憧れに基く強い前進の「意志」を持った二人が凛の手を引き、
本番直前においては、凛が憧れに基づく強い「緊張」に囚われた二人の手を引く。

これが、未央の緊張の原因を探ることで見えてくる第三話の物語の全容です。
第三話は、一方で未央や卯月が、憧れが生むステージへの「意志」で凛の手を引き、
他方で凛が、憧れが生む「緊張」によって停止した未央や卯月の手を引いていく、
三人で前に進み、初ステージの舞台に辿り着く物語であったのです。
換言すれば、凛がステージの上に至るには、二人の情熱が必要であり、
未央と卯月がライブに進むには、凛の冷静さが必要であったと言えるでしょう。

輝かしく、楽しく、「最高」であった初ステージ。

それは、三人で手を引き合ってこそ辿り着けた場所であったのです。



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テーマ:アイドルマスター
ジャンル:アニメ・コミック

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