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春香と澄の姉妹関係に見る春香の成長 (タチ『桜Trick (5)』)

2015.01.04 16:21|桜Trick
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(2014/12/25)
タチ

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今回は、先日第五巻が発売されました、『桜Trick』を考えていきます。
想えば、昨年の今頃はちょうどアニメの放送が始まった頃でしたね。
アニメは第三巻の途中、美月や理奈の卒業までの内容でしたが、
原作はその後、澄や理奈が本格的に春香たちの関係に絡み始めて、
作品の描く範囲が一層広がるところが、注目すべき点の一つだと思います。
原作でアニメの先を見てみても面白いのではないでしょうか。

さて、今回は第五巻の中でも、「春香と澄の姉妹関係」に注目します。
第四巻で澄の申出を契機に、二人は春香を姉とする姉妹関係を取り結びました。
この二人の関係は、この作品の中でどのようなものとして考えることができるでしょうか。
この記事ではこの問いについて考え、答えを出していきたいと思います。

まずは、二人が姉妹関係なった場面を今一度確認してみましょう。

「春香は澄のこと… みてくれてるのじゃ」
「え? そうかな… 友達ですもん!」
「は……春香」
「ん?」
たまにでいいので澄のお姉ちゃんになってくれませんか
「お姉ちゃん?」
「そ それはじゃなぁ 頭撫でてくれたりとか
 ぱふぱふとか そういう特別な関係というか…

――!! 優ちゃん以外の人と特別なこと…
 でもスミスミ会長は大切な友達だし… 友達が困ってるなら…
 きっと優ちゃんもそうするよ!

「わかった! 私 スミスミ会長のお姉ちゃんになりますよ」 (第4巻43-44頁)


これは、物語上の一つの「転」として読むことができます。
ここまでに描かれてきた春香と優の特別な関係に一石を投じるものとして、
春香と澄の姉妹関係は現れてきたと考えられるのです。
とりわけ、澄との関係は優に内密に結ばれているため、
後に特に美月に疑念を抱かせています(第5巻32頁等)。
ちょうど優が同時期に春香に秘密で理奈の相談に乗る(第4巻59頁から)のと対比的に、
春香と優の特別な関係とは別の、春香と澄の特別な関係が登場するのです。

しかし、春香と澄の関係は、このように「転」の意味を持つだけのものではないと思います。
つまり、この関係は、優との特別な関係を基に成長した春香が、
今度は自身との特別な関係を基に澄を成長させることを描いていると取れるのです。

実際に春香と姉妹関係を結ぶ直前の澄は、生徒会長として、
一人で皆を引っ張っていくことができない性質でした。

――なんてことじゃ 澄…
 美月先輩や理奈先輩のこと思い出してるのじゃ…
 澄にとってのお姉ちゃんたち…(中略)

――撫でられて思い出すなんて…
 もう澄はこの子たちを引っ張っていかなきゃならない立場なのに…
 ええい こんなところでへこたれちゃいかん!
 無理じゃ―― やっぱり無理じゃ――
 引っ張れないのじゃ―― (第4巻42頁)


こうした澄の姿は、かつての春香と重ねられるものです。
つまり、春香は中学までは優に頼りっぱなし(第1巻3頁)で、
特に「自分から実行委員なんてやらない」、
「そういうの苦手」(第1巻67頁)なタイプと優に評価されていました。
そんな春香が、体育祭に際しては優のために実行委員に立候補して、
応援団をやることを美月に直訴します(第1巻64頁から)。

この場面には、優との関係を基に変わった様を見ることができます。

ここで語られている春香の変化と同種のものを、
第4巻から第5巻にかけて澄も経験していると読むことができます。
すなわち、これまで美月たちに引っ張られてきて、
生徒会長として行為するのに心情的な無理があった(第4巻31頁から)澄が、
春香との特別な関係を助けに頑張って変わっていく。
そして澄は文化祭で、生徒会長としての大量の仕事をこなし、
春香に「妹」でなく「先輩」として認められることになります。

「私達はスミスミ会長が最後の文化祭なのに
 なかなか堪能できなそうで せめて
 ウチのクラスのプラネタリウムだけでもと思ってたんですけど…」
「そうじゃったのか… でも大丈夫じゃ
 澄は二年間生徒として文化祭を楽しめたから
 今年は会長の目線で楽しみたいのじゃ」

「澄が春香の妹でいられるのもあと少しじゃな」
――妹!?
ううん 今日のスミスミ会長は私の「先輩」です」 (第5巻114頁)


これは、これまでの頑張りの結果であり、生徒会長として成長した澄の姿に他なりません。
この姿は、実行委員としての頑張りを優や美月に認められた春香に重ねられるものです。

結論として、春香と澄が取り結ぶ姉妹関係というのは、
物語上の単なる「転」ではなくて、かつて優との特別な関係を基に変わることができた春香が、
自身との特別な関係を基に澄を変えていくことを描くためのものと読むことができます。

変えていく立場に転換して「お姉ちゃん」として振る舞う春香の姿に、
彼女がそうできる基礎を作った優との特別な関係を見出せます。



○関連記事

   楓が対峙するべき存在としての「ゆず」 (第3巻まで)

   キス以外に注目する『桜Trick』 (アニメ第一話)
   仲直りと告白の物語 (アニメ第二話)
   かしましい「肝試し」の裏には (アニメ第四話)
   文化祭に見える関係の変化と安定 (アニメ第六話)


テーマ:桜Trick
ジャンル:アニメ・コミック

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