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アイドルを支える三つの言葉 (アイカツ!第97話考察)

2014.09.07 21:25|アイカツ!
TVアニメ/データカードダス アイカツ!2ndシーズン 挿入歌ミニアルバム2 Cute LookTVアニメ/データカードダス アイカツ!2ndシーズン 挿入歌ミニアルバム2 Cute Look
(2014/09/24)
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今回は、先日放送された第97話「秘密の手紙と見えない星」について考えていきます。
もうすぐ始まる三年目のことをおそらく踏まえて、改めてあかりといちごを扱ったこの話。
特にその中で、いちごがあかりに向けて送った言葉に注目します。
作中では、いちごの言葉は、あおいからの手紙を受けてのものと強調されていました。
いちごの「ファン一号」であるあおいのように、いちごもあかりの「ファン一号」として、
彼女にしか送れないだろう言葉をあかりに送りました。

すなわち、あかりの持つ光は、いちごには「ずっと見えている」ということです。
これは、その人の光を最初から見出していた、
ファン一号にしか送り得ないものであったと思います。

あおいの手紙の中身を初めて読んだいちごが、あかりに届けた言葉。
しかしそれは、必ずしもあおいの手紙だけを踏襲したものではなく、
いちごのこれまでの経験を踏まえた、今のいちごだからこその「言葉たち」であったと思います。
以下では、いちごがあかりに送った言葉に改めて注目し、
それがこれまでいちごを支えてきた「言葉たち」であったことを説明します。



○『アイカツ!』第97話:アイドルを支える三つの言葉


まず注目したいのは、第97話ではいちごとあかりの差異を強調しながらも、
いちごを完璧にあかりとは分離させて、
一人でも頑張っていける天性のアイドルとは定義しなかったことです。
すなわち、あかりほどではないにせよ、いちごもあかりのように、
アイドル活動の中で思い悩むということはあったのです。
第97話は、いちごがあかりと異なり、
「天性の才能」があるということの提示から入りますが、
この点をないがしろにはしていません。
いちごがこれまで、あかりほどに思い詰めたことがない理由については、
この「天性の才能」だけでは済ませてはいないのです。
いちごは「天性の才能」ゆえに、落ち込むような事態に至ったことがないわけではなく、
別の理由によって、あかりほど落ち込むことを回避してきたのだと考えられます。
こここそ、第97話の中で最も重要な部分であったと思います。

結論から言えば、いちごがあかりほどに思い詰めたことがないのは、
いちごが壁にぶつかったときには、必ず、
それを聞いてくれる誰かが傍にいたために他なりません。


いちごに天性の才能があったとしても、
思い詰める状況に陥らないわけではないことは、途中の回想に明らかです。
第97話の前半、いちごは自室で自分があかりに何ができるかを考える最中、
これまでに自分が行き詰まった場面を思い出しています。
いちごも、壁にうち当たることがないわけではないのです。

そのアイドル活動で大変だった場面として、次の三つが思い出されています。
すなわち、第一に美月のようにスペシャルアピールを出せなかった場面(第16話)、
第二にライブとCMを両方ともかけ持とうとするも上手くいかなった場面(第32話)、
第三にアメリカにひとりで赴いた場面(第50話以後)です。

これらは、天性の才能を持ち、抜群のポジティブシンキングを有するいちごでさえ、
心理的に壁にぶつかったことを感じた場面であり、
あかりのように思い詰めたかも知れなかった瞬間であったと言えます。
それでもそうならなかったのは、そのときに話を聞いて、
言葉をかけてくれる誰かが傍にいたからです。


実際に第16話においては、いちごが満足にスペシャルアピールを出せなかったことに、
悔しさを覚えてただずんでいたところで、美月がそれを聞き、
その悔しく思った心情を認めてあげています。
また第32話においては、あすかがいちごに対して、
あなたはみんなを笑顔にできるアイドルであると言ってあげています。
それぞれ、件の場面を引用して確認してみましょう。

「どうしたの?」
「何でも、ないです」
「星宮、遠慮はなしって言ったよね」

「悔しいんです! スペシャルアピール一回しか出せなかった。
 明日のライブ、楽しみにしてる人をがっかりさせちゃう」
「きっと、明日は三回出せる。だってあなたはもう、一つの大切なことを学んだもの
「私、何も……」
「できなくて悔しいと思う気持ち。それがあれば前に進める。
 そう、これでいいと思えばそこでおわり。
 でもアイドルは、常に前に進まなきゃ」
「美月さんも、できなくて悔しいって思うことなんてあるんですか」
「もちろん、毎日思ってる。だから、もっと前に進みたいと思うの。」
「すごい! 美月さんはやっぱりすごい!」
「星宮?」
「まだ一日ある。ぎりぎりまで特訓します!
 スペシャルアピール三回出して、みんなに楽しんでもらいたいから!」 (第16話)


「どうしたの? よかったら話してごらん。
 大丈夫、みんなには内緒だよ」
「今、もう一つお仕事があって、アイドルライブなんですけど」
「あら、楽しそう」
「私、まだ全然できてなくて、みんなの足、引っ張っちゃってて。
 このまま一緒に出てもいいのかな、って」 (中略)

あなたはみんなを笑顔にできるアイドルなのよ

「晴れました! 太陽ばっちりです!」
「よし、撮影再開だ」 (中略)

「さっき何か言いかけた?」
「私、ライブ出たい。だから、特訓つき合ってください!」 (第36話)


どちらの場面も、いちごは一人では落ち込んでいて、
美月やあすかの言葉をもらって、復活しているのが分かります。
いちごも、「天性の才能」で何でも何とかできるわけでなくて、
周りからの言葉もあってこそ、前に進んでいくことができたのです。
その意味で、いちごはあかりと何もかも区別されているわけではありません。

第97話では、あおいの手紙の内容にスポットが当たっていましたが、
いちごからのあかりへの言葉というのは、実際には、
今述べた三つの場面でいちごがもらった言葉のコラボレーションです。
美月のように、あすかのように、そしてあおいのように、いちごはあかりに言葉をかけました。
実際にいちごがあかりに送った言葉を確認してみましょう。

何でも聞くよ。何でも!」 
「自分だけの光……。小さくたって私にも自分だけの光があるって、
 星宮先輩に言ってもらったのに、私、輝けないんです。
 何度も跳んで、数えきれないくらい跳んだのに、
 一度もポーズ、決められなくて、どうやってもできなくて、分からなくて、
 多分分かっちゃったのは、私にはアイドルの才能がないってことなのかも。
 私には、自分だけの光なんて……」
「来て」 (中略)

「まぶしいね」
「はい」
「雲一つないね。夏真っ盛りの空」
「はい」
「でもね、雲がなくても星はある」
「えっ?」
「昼間だって、まぶしい夏だって、星は消えないんだよ」
「青空の、向こうの星……」
「うん! 輝きが見えないだけ。あかりちゃんもそうだよ!」
「えっ?」
「例えばそのテーピングだって、疲れてるその顔だって、
 私には輝いて見えるよ。
 一人で頑張って頑張って、苦しい思いが続いてて、
 あかりちゃんには自分の光が見えなくなっているだけ。
 光は消えてないよ。頑張ってるあかりちゃんはすっごくまぶしいもん。
 どれだけまぶしいか、私がちゃんと見ててあげる

――輝きに磨きをかけるのは、あかりちゃんにしかできない。
 でも、見ててあげることはできるよね。 (中略)

「じゃああかりちゃん、やってみて!」
「はい!」
――ダメ、ダメだ……!
「うん! いいね!」
「えっ?」
姿勢はもっと安定させないといけないけど、
 ジャンプの高さは、毎回同じくらいになってるよ
「高さが……」
「あとは一番高いところで、タイミングよくポーズを決める!」
「はい!」 (中略)

「輝いていても、それが自分じゃ分からなくなっちゃうことがあるんだよ。
 きっと誰にでも。ちょっとずつだけど、あかりちゃんは成長してる。味方だよ。
 私はもちろん、擦り傷も、一人で苦しんできた時間も、何もかも、あかりちゃんの味方」
「はい!」 (第97話)

いちごの言葉を確認すると、「何でも聞くよ」、「私がちゃんと見ててあげる」があおい、
「ちょっとずつだけど、あかりちゃんは成長してる」が美月、
「私には輝いて見えるよ」があすかに近いのではないでしょうか。

もう少し噛み砕くと、「私が傍にいる、聞いてあげる」という親友としての告白があおい、
「あなたはこういうことができるようになった」という先輩としての承認が美月、
「あなたは確かにアイドルとして輝いているよ」というファンとしての応援があすかの、
それぞれの言葉を想起させるものなのになっています。
いちごの言葉は、あおいの手紙の内容だけでなくて、
彼女のアイドル活動における経験を全て受けて、紡がれたものと言えます。

あおいの手紙は、いちごが言葉を固める一つのきっかけであり、
必ずしも全てをそこから引き出したわけではなかったのではないでしょうか。

まとめると、いちごの言葉の中には、三つの言葉たちを見出すことができるでしょう。
すなわち、アイドルを支えるものとしての、傍にいる「親友の言葉」(第28話、第97話)と、
憧れの「先輩の言葉」(第16話等)、そして応援してくれる「ファンの言葉」(第4話、第32話)です。
いちごがあかりに送ったのは、この三つを織り交ぜた、
いちご自身を支えてきた「言葉たち」でした。



○関連記事

   あこがれは「最初の」道しるべということ (第九十五話)


テーマ:アイカツ!
ジャンル:アニメ・コミック

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