スポンサーサイト

--.--.-- --:--|スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

悩みながら歩いていく五人(君と僕。2:第十三話「へそと凛」感想)

2012.06.26 16:21|その他のアニメ
アニメでの最終話に恥じない、素晴らしいお話だったと思います。

春が進路について真剣に悩みます。
こうした悩みは、誰にでも経験のある、「過渡期」特有のものではないでしょうか。
既に子どもではないけれど、大人とも言い難い。
そのような時間において起こる、「大人への」悩みです。

今期は総合しても、この「過渡期」がテーマとして色濃く出ていた気がします。
受験や進路関係のお話はもちろん、前回の要のお話も、
「これまでの関係」から「これからの関係」へ歩み出すものと考えられます。

その意味では今回の話の結論は、同時に二期全体への答えでもあるように思いました。
というわけで、悔いのないようにまとめたいと思います。
追記からお願いいたします。




○進路に関する「二つの立場」

悠太と要の教室に行った春は、机の上の「大学図鑑」を目撃し狼狽します。
進路について「ぼんやり」としている自分と違って、二人はきちんと進路を考えている。
この時点で二人がどの程度しっかりと考えていたかは不明ですが、春にはそう見えたはずです。
ここから、春は進路に関して悩み始めます。

このとき、進路に関して「二つの立場」が明確に表れています。
以下にまとめてみます。

①進路について「ぼんやり」しており、将来の目標を考えられてはいない(春)
②進路についてしっかりと考えており、やがて明確な進路を決定する(悠太、要)


①を「子どものままである立場」、②を「大人へ歩み出した立場」と言うことができるでしょう。

②の立場を表象するものは、「大学図鑑」や「模試」です。
そして、①の立場を表象するものは、「食べ物」、特に「お菓子」だと思います。


物語の冒頭で、千鶴と祐希は模試前であるにもかかわらず、
ラーメンの話や、お菓子目当てで茶道部に体験入部する話をしていました。
これは「大学図鑑」を机の上に置いていた要や悠太とは対照的です。
話題に出ていた「食べ物」が、①の立場を婉曲に示していると言えるのではないでしょうか。
春が幼稚園時代を回想する際に、「いちごマシュマロ」を契機としたことは象徴的です。

ゆえに、物語中では春にとって直接の問題にはなっていませんが、
千鶴や祐希も分類するのであれば①に入れられると思います。

そして「いちごマシュマロ」を持つ春もまた、「子どものまま」でした。
ゆえに、ずっと隣にいたはずの要や悠太の先行を見て焦ります。
このままではいけないと考え、様々な人に進路について聞くわけです。

ただし、以上の二分類は、あくまで春によって行われたということに注意が必要です。
実際に要や悠太が進路についてどのくらい考えていたのかはよく分かりません。
特に悠太は、後の場面で進路に関してはまだ決めていないと述べています。
重要なのは、要や悠太が考えて決定しようとしている立場に「見えた」ことです。

それにより春は、自分も②の立場へと移らなければいけないと考えます。
しかし、いきなり②の立場に「変わる」ということは春には困難なことに見えました。
そのことはメリーとの会話の場面によく表れています。
茶道部を選んだ理由すら「ぼんやり」したものであったのに、
これからの進路をしっかりと決めることが自分にできるのだろうか。
そのような疑問と不安が付きまとっていたのではないでしょうか。

二つの立場の間で春が苦悩することから、今回の物語は始まりました。



○一つに収斂していく二つの立場:「ゆるやかに変わっていく」こと

今回の話が成長物語であれば、春が①から②に変わって終わりとするのが普通です。

しかし、結論はそうではありませんでした。
今すぐに②に変わらなくてもいいことが提示され、
同時に春の中で行われたであろう、自分と先を行く悠太たちという二つの立場の分類も、
曖昧になっていって、結局は一つに収斂していくのです。

具体的に見ていきましょう。

まず、十(つなし)先生が、必ずしも高校三年の時点で、
明確に進路を決定できるのは少数派であり、必ずしも決定する必要はないと述べます。
自分が「何となく」茶の道に至ったことを踏まえて、
高校三年で目的地を大体は決めていた東先生の対極を示します。

さらに彼は、自分の変わったところを、「足がしびれなくなったこと」くらいと言います。
ここに、春が変えなければと苦悩していた、「ぼんやり」と道を歩んでいく状況が、
今でも変わっていないということが暗に示されているのではないでしょうか。


また同時に、変化はあるのだとしても、正座に段々と慣れていくように、
「漸進的」なものであるということも示されているように思います。

春は、自分が②に直ちに変わらなければならないのではないかと考えていました。
それが二つの意味で違うということが十先生により示されています。
まず、②の立場になり、東先生のように進路を決定させておく必要はない。
次に、そもそも急激な変化自体がなく、「漸進的」な変化により人は変わっていく。

以上のことを、春は十先生から学びます。

そして、ラストシーンの春の語りに繋がっていくわけです。

この先が これからが 思い描けない 何も見えないぼくたちだけど
きっと ゆるやかに変わっていく
こうして ちょっとだけ大人になったように


十先生の言葉を受けたからこその語りになっていることが、よく分かります。

また、この語りの「ぼくたち」という部分に注目してみましょう。
これはおそらく春たち五人のことであると考えられます。
当初、春は少なくとも自分と、要と悠太を分けて考えていたのですが、
最後にはいつもの五人へと戻っていっているわけです。

これは冒頭で二つの立場に綺麗に分けられていた五人が、
一つになっていったことを示す「ぼくたち」ではないでしょうか。


まず、春は悠太との二人きりのお茶で、悠太に進路や行きたい大学を聞いて、
「全然決まってないよ」と返され、自分と同じようなことを悠太が考えていたことを知ります。

また、すぐ後の場面で、模試などほとんど気にせずにラーメンを食べに行こうとしていた、
千鶴と祐希が要の家で勉強することにしたことを目の当たりにします。

二つの立場の分類は、これらの行動によって、曖昧になっていることが分かります。
「二つの立場」は、一つに収斂していくのです。
まだこの先を思い描けないけれど、ゆるやかに変わっていく「五人」へ。




○物語の結論:悩みながら歩いていく

既述した春の語りは、春が学んだことであり、今回の物語の結論と言えます。
それは十先生が五人に語ったことと関連しており、
無理に自分を変えなくとも、緩やかに変わっていくということでした。

しかし、だからといって、何も考えずに歩んでいればいいということを、
この物語は示しているわけではありません。


そのことを示しているのが、東先生です。
彼は、春に進路について話を聞かれた後、駆けていく春の姿を見て、少し考えた後で微笑みます。
おそらく、東先生は春が進路について悩んでいることを悟ったのでしょう。
それにもかかわらず、微笑むのです。
そして、この後で春に手を指し延ばすようなことはしません。

ここで、春のように「悩むこと」自体が肯定されているように思います。

このことも、今回の話で提示された重要な点の一つではないでしょうか。

行き先について悩みながら、一歩ずつ着実に歩んでいく。
その結果、行き先が思い描けなくても、歩いている限り、全ては緩やかに変わっていく。


これが、物語の結論であったのだと私は思いました。

テーマ:君と僕。
ジャンル:アニメ・コミック

コメント

非公開コメント

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

君と僕。2 第13話「へそと凛」

『受験に向けての模試を控えているが、まだまだ実感がない千鶴たち。 そんな中、祐希と千鶴が春たちの所属する茶道部に体験入部することになった。 悠太のクラスに報告に行った春
プロフィール

天秤

Author:天秤
天秤と申します。
アニメや漫画など、好きなものについて考えたことを書き込みます。
よろしくお願いいたします。

カレンダー

04 | 2017/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

カテゴリ

最新記事

最近のつぶやき

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

アクセスカウンター

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

RSSリンクの表示

リンク

QRコード

QR

  • ページトップへ
  • ホームへ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。