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仲直りと告白の物語 (桜Trick:第二話考察)

2014.01.20 17:00|桜Trick
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今回は、アニメ『桜Trick』二話の、コトネとしずくのケンカの話に注目します。
二人の擦れ違いは何故起こり、また解決に何を必要としたのか。
問題が解決した結果として、二人の関係はどこに帰着したのか。
こうした問いに答えていく中で、この物語が特に描いたものを考えていきます。

先に結論を言ってしまえば、それは二人の「仲直り」の物語でしたが、
同時に関係を進展させる「告白」の物語としても読めるものでもあったと思うのです。
アニメ二話の前半を振り返りながら、このことについて明らかにしていきます。



○『桜Trick』二話:仲直りと告白の物語


まず、コトネとしずくの擦れ違いが何故起きたのかというところから考えてみましょう。
直接の原因は、コトネが何気なく伝えたしずくへの感謝の言葉でしたが、
不和が長引いてしまったのは、しずくがそれ以降コトネと口を利かなかったからです。
それでは、しずくは何故自分の不満をコトネに直接伝えなかったのでしょう。
作中では、彼女の「シカト」は「逃げ」であったと強調されています。

「私だってシカトしまくって申し訳ないとか一応思ってるよ
 でも学校と近いから私の家が好きとかさ
 学校が近ければ誰の家でもいいのかよって感じじゃん
 居候させてくれれば誰にだってキスするんじゃない?」
――ほっぺにキスしてきたから怒ってるわけじゃないんだ
「けどこんなこと考えてるなんて誰にも言えるわけないし」
――私たち 今聞いちゃってるんだけどな…
「しずくちゃんはコトネちゃんとケンカしたままで本当にいいの…?
 嫌な事から逃げてるままじゃ状況は変わらないよ」 (2話、1巻38-39ページ)


ここの、優たちとのやり取りで「逃げ」であるとされていることが分かります。
そして、しずくを逃げさせている「嫌な事」とは、
コトネに自分が怒っている理由を伝えたときに、それを否定されないという可能性です。
つまり、「居候させてくれれば誰でもいいのではないか」という疑惑が、
コトネの返答により確信に変わってしまうことを恐れていると考えられます。

だからしずくは、怒っているポーズを取るだけで直接の異議申し立てをしません。
自分が想っているほどにはコトネが自分を想っていないということを、
はっきりと確定させてしまうことを恐れて「シカト」へと逃げているのです。

あまり明白にはなっていませんが、コトネにも似た事情があったと考えられます。
つまり、しずくに怒っている理由を確認すれば、彼女が自分にキスを許すほどには、
自分のことを想っているわけではないということが確定してしまうかも知れないのです。
それを鑑みて、強引にでも解決へ引っ張っていくことを避けた可能性があります。
コトネはこの話の中で飄々としているように見えますが、いつも通りではありませんでした。

「おはモニ!」
「わー!」
「あ コトネちゃん」
「びっくりしただろ!」
「ねえ コトネちゃん しずくちゃんがいつもと違うんだけど… 何かあったの?」
「んー? 昨日の夜ケンカしちゃって 怒ってるみたいなの てへ」
――なんでケンカしたらこういう反応になるの… (2話、1巻35ページ)


しずくほどでないにせよ、コトネもしずくと同じように普通でない反応を見せています。
ケンカが長引いた直接の原因はしずくの無視でしたが、
その中でコトネもしずくと似たような心情でいたことを、
この場面での「いつもと違う反応」に見出すことができるのではないでしょうか。
もちろん、これだけでそこまでは言うことはできないかも知れませんが、そうだとしても、
後に「しずくちゃんと話せなくなるのは嫌だしね」と述べている(2話、1巻41ページ)ことから、
下手したらしずくと話せなくなるかも知れないと考えていたことは推測できます。

コトネにとっても、しずくと向き合うことが勇気の要ることだったということは確かでしょう。

こうした状況下にあったため、不和の解消には「勇気」を必要としました。
とりわけ焦点となっていたのは長期化の直接の原因となっていたしずくの側の勇気です。

――でも もしかしたら 私と話がしたくて持ってったのかな
 本当は別の理由があって コトネも実は私と同じ事考えていて
 それを伝える為とか …… 違う

 話がしたいの 私だ (中略)

「わ 私は別にキスしたことに怒ってるんじゃない…
 コトネが私の家に居るのは学校が近いからなの?
 それともお母さんが優しいからなの?
 そんな理由で私と一緒に暮らしてるの?

 私の事なんてどーでもいいみたいじゃん!」 (2巻、1巻41ページ)


コトネが「話せなくなるのは嫌」との考えから勇気をもってきっかけを作ったことを受けて、
しずくは自分が「話がしたい」と思っているのを認めて、勇気を出して不満だった点を伝えます。
お互いに真意を確認しようとし、実際に本心を言葉にしたことで二人は仲直りに向かいます。

ただ重要なのは、ここで行われた「仲直り」の結果、
その言葉の表す通り、二人の関係が元に戻ったというわけではないことです。
二人の関係は元に戻るのではなく、元のところから更に先に進みます。
「ノリ」にしてしまえない「唇と唇」のキスを通して、特別な関係に踏み出すのです。

「つかまえた しずくちゃんがなんで怒ってたのかわかった
 しよっか 昨日の「やり直し」」
「待って! 別に学校が近いから私の家が好きってのも
 全然嬉しいから なかった事にしなくていい
 でも今日は 昨日と違う「やり直し」がいい
「唇と唇?」

「しずくちゃんがいるから狭くても好き
 あったかいとこもおばさんも好き
 しずくちゃんがいるからしずくちゃん家が好き」 (2話、1巻42-43ページ)


ただの「やり直し」でもって、元の鞘に収まるというわけではないことが分かります。
二人の関係が「仲直り」の結果、このように更に先に進んだのは、
仲直りの際の言葉が恋愛における「告白」のようなものでもあったからであると考えられます。
すなわち、自分の家を褒める文言に自分のことが入っていなかったことに対して、
「私の事なんてどーでもいいみたいじゃん!」と思ったことを伝えるということは、
はっきり言って、相手にも自分のことを想っていて欲しいということの表現に他なりません。
あなたが私のことを想っていないみたいで嫌だったと述べることが、
どうして好意の「告白」の言葉でなかったと言えるでしょうか。

ここで改めて物語の全体を眺めてみると、このケンカの話の流れというのは、
恋愛を題材にした物語で言う、「告白」の物語の流れに極めて近いことに気付きます。
勇気がなくて、相手に本心を伝えるのを先送りにする。
それでも伝えたいという気持ちを見つけて、相手に告白する。
その告白を契機として、二人の関係は一歩先に進む。
逡巡の後に告白して付き合い始めるというような物語と極めて似た路を辿っているのです。
こうした面を鑑みると二人の仲直りの物語は、「告白」の物語でもあったと言うことができます。

相手が寝ている間に、誤解を生む言い回しで、「頬への」キスとともに行われたという意味で、
コトネのしずくへの好意の表現は非常に中途半端とも言えるものでした。
それを二人で勇気を持ってやり直し、面と向かった明白な告白と「唇への」キスでもって、
特別な関係に至るというのが、仲直りの物語の別の側面であったのです。



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  キス以外に注目して見る『桜Trick』 (第一話)


テーマ:桜Trick
ジャンル:アニメ・コミック

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