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静香にとってのPと未来の立ち位置 ――アイドルにさせてくれた人と、アイドルであると言わせてくれた人 (門司雪『アイドルマスター ミリオンライブ!2』)

2015.09.27 17:46|アイドルマスター
今回は、先日発売された漫画版『アイドルマスター ミリオンライブ!2』について考えます。
第一巻で静香のステージを見てアイドルになった未来が、
体調を崩した静香の代わりとして初めてのステージに立つ本巻。
静香の想いをみんなに届けたいという一心で頑張り、
アイドルとしての第一歩を踏み出した未来でしたが、
静香はそんな未来に対して同じアイドルとしての複雑な感情を抱きます。
第二巻は、ここから生じた二人の間の溝が、再び埋まるまでを著した作品です。

作中で印象的なのは、Pにファンと名乗り出られたゆえに、
Pのことを意識してステージに臨もうとしている静香を見たときの春香の言葉です。

「ねえ千早ちゃん、私気付いちゃった。」
「どうしたの? 春香。」
私たち普段はただの女のコだけど、
 応援してくれるファンが一人でもいてくれたら…
 その瞬間からアイドルになれるのかもって。」(二巻、165ページ)


これは、なかなかに示唆的な言葉であったと思います。
私には、アイドルマスターという作品のアイドルの考え方が、
直接に示されているように思われました。

つまり、アイドルマスターにおいて、どこからアイドルがアイドルなのかと言えば、
それはアイドルがアイドルを志したときでも、アイドルが初めてステージに立ったときでもない。
アイドルに一人でもファンができたときであるという考え方です。
そのときから、そのアイドルの物語が始まると考えられます。
特に、アイドルがアイドルを志したときからではないことが特徴的です。

だからこそ、アイドルマスターの物語は主に、
Pとアイドルが出会ったときから始まるのではないでしょうか。
それは、アイドルに一人目のファンができた瞬間に他ならないから。
前述の考え方があるからこそ、アイドルマスターの物語は、そこから始まると捉えられるのです。

この記事では、その上で、静香にとってのPと未来の立ち位置を考えます。
春香によれば、静香はPという一人目のファンを得て、アイドルとなりました(二巻、165ページ)。
しかし他方で、静香は未来の言葉を受けて初めて、
自分が「アイドル最上静香」であると言えたのです。

「皆アンコールありがとう!
 杏奈がステージを盛り上げて星梨花が背中を押してくれて、
 皆が声援をくれたから全力で歌えました。
 最後にこのアンコールマイク、どうしても受け取って欲しいの…
 私のいちばんのアイドル…静香ちゃんに。」 (中略)

「未来、私…」
「遅刻だよ、静香ちゃん。」

――私…アイドルになりたいの。アイドルになりたい。

――…違う、私は… 私は!
「アイドル! 最上静香歌います!」 (二巻156-180ページ)


ここで静香は、「アイドルになりたい」という希望を、
「アイドルである」という自認に転換させることに成功しています。
未来のところに駆けていった静香の手首から、時計が落ちてしまうことは象徴的です。
期限内にアイドルとして認められなければならないという、時間を意識した急いた気持ちが、
ここでは、今自分はアイドルであるのだという気持ちの中に溶けています。
未来によって、静香は自分が今アイドルであることを自認して、
期限を意識して焦る気持ちから解放されたと言えるでしょう。

しかし、未来が静香にアイドルであることを自認させたということは、
同時にPはそうはできなかったということです。
この静香の物語においては、この意味でPの存在の重要性が相対化されています。
ゆえに、静香に対してPはどのような立ち位置であったのかという疑問が生じます。
アイドルマスターの物語においては、原則として、
アイドルにとってPが極めて大きな意味を持つ人物として描かれてきました。
そうしたアイドルマスターの物語の一つであるのに、Pの存在を相対化したこの作品は、
静香にとってのPを、そして同時に未来を、どのように描いていたのでしょうか。

以下、このことについて思索を巡らせてみたいと思います。
ここが、この作品において最も特徴的であるからこそ、
この問いを考えることによって、アイドルマスターという作品群の中にあって、
この作品がどのような位置にあり、どのようなテーマを持つかを理解することができるでしょう。
もしよろしければ、この作品を手に、少しの間お付き合いいただければ幸いです。

それでは、静香にとってのPと未来の立ち位置について考えてみましょう。
未来が静香に今アイドルであることを意識させた展開を鑑みると、
まず最初に次のような考えが浮かぶのではないでしょうか。
すなわち、静香をアイドルにする一人目のファンは、Pでなくて未来であったという読み方です。

実際に静香のファンとなったのは、未来よりもPの方が遥かに早く、
Pが一人目のファンであったに違いないのですが、
静香の意識の上で、一人目のファンになることができたのは、
未来に他ならなかったのではなかったでしょうか。
自分をアイドルとして見てくれると、信じられた一人目。

つまり、静香は彼女を取り巻く環境もあって冷静過ぎたために、
Pを一人目のファンとして完全には受容することはできず(二巻、164ページ)、
あの文化祭のステージで「いちばんのアイドル」として呼びかけてくれた、
未来をこそ一人目のファンとして受容できたのではないでしょうか。

だからこそ静香は、初ステージに立ったときでなく、文化祭のステージに立ったときにこそ、
「アイドル最上静香」として、初めてマイクを手に取れた(二巻、180ページ)と捉えられます。
漫画版ミリオンライブ二巻は、未来という本当の一人目のファンを得て、
静香が真にアイマスのアイドルになるまでの物語と言えないでしょうか。

正直に言えば、これが私自身の当初の読み方でした。
Pでなく未来が、静香の一人目のファンとなって、
静香をアイドルにする物語という読み方です。
しかし、今ではこの読み方には不備があると思います。
というのも、春香は、Pにファンと名乗られた後の静香の様子を見て、
応援してくれるファンが一人でもいてくれたら、
その瞬間からアイドルになれるということに気付いています。
春香は、あのときにこそ静香が、アイドルになったことを感じて、
それゆえにそのことに気付けたのだと思います。
仮に静香がPにファンと名乗り出られて、
それを意識してアイドルになっていなかったとすれば、
春香が先の事実に気付く理由はないのです。

とすれば、静香の一人目のファンがPでなく未来であったという私の考えは、
少なくとも正確とは言えないでしょう。
静香はPというファンによって、確かにアイドルになっているのです。
漫画版ミリオンライブが描いたのは、Pが一人目のファンとなって静香をアイドルにし、
未来が別の意味で特別なファンとなり、静香に今アイドルであることを意識させる、
そんな静香の物語であったのではないでしょうか。

それでは、この読み方について説明していきます。

Pがファンとして名乗り出たとき、静香は冷静に「ファンとは違う」と否定してはいても、
Pが応援してくれる存在であることまでは否定できておらず、
彼のことを想ってステージに立った限りにおいて、
春香の言うとおり、Pという一人目のファンを得て「アイドルになれた」と言えます。

しかし、静香にとって「アイドルになる」ことは、
最終的には「皆に愛されるようなアイドル」になることを意味します。
そのため、単にPの立場から応援されるだけでは、
アイドルになれたと考え、自分はアイドルであるとは言えなかったのではないでしょうか。
つまり、アイドルに理解のない人も含めて、
誰からも認められるようなアイドルを大目標にしている静香にとっては、
そういった立場の一人目のファンを得て初めて、
アイドルになれたと意識することができると考えられます。
アイドルを分かっていないような人が静香をアイドルとして認めてくれることが、
静香が自分で自分はアイドルであると言えるためには必要でした。

PはPであるゆえに、アイドルについて知ってしまっているので、
絶対にこの立ち位置には立てません。
Pは、静香の一人目のファンになれたとしても、
静香がアイドルになれたと言えるためのファンにはなれなかったのです。

そして、未来は、まさしくそういう意味での一人目のファンに他なりませんでした。
当初アイドルのことについて全然分かっていませんでしたが、
静香のステージを見て、静香をアイドルとして認めてくれた最初のファン。
だからこそ未来が、文化祭のステージで静香に、
静香が「私のいちばんのアイドル」であることを伝えたことは意味を持ちました。

また、加えて未来は、幼き日の静香がテレビの中のアイドルの姿に憧れて(二巻、79ページ)、
アイドルになったのと同じように、静香の姿に憧れてアイドルになったファンです。
アイドルを知らない未来が、自分をアイドルと認めて、
更に憧れてアイドルになってくれた。
静香は文化祭のステージでの未来の言葉を聞き、このことを改めて意識して、
それゆえに自分のことを「アイドル最上静香」と言えたと考えられます。

結論として、「静香がアイドルになるということ」と、
「静香がアイドルであると言えるということ」の間には差があって、
前者を成さしめたのはPであったのですが、後者を成さしめたのは未来であり、
また未来でなければならなかったと言えます。
静香の物語については、アイドルになるに当たって、この二重の過程があったのです。
そこにおいてPは、アイドルにさせてくれた人という立ち位置にあり、
未来は、アイドルであると言わせてくれた人という立ち位置にあります。

二人がいてこそ、静香はアイドルになり、また、アイドルになったと意識して、
自分は「アイドル最上静香」であると述べることができたのです。



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  手を引く静香の歌としての『Precious Grain』 (第一巻の記事)



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あかりの表情が暗かった理由についての私見 ――いちごのトップアイドルとしての態度に触れて、それでも (アイカツ!第151話考察)

2015.09.22 16:54|アイカツ!
今回は、先日放送された『アイカツ!』第151話について考えます。
ルミナスが、ソレイユに追いつけ追い越せの気持ちで特訓に特訓を重ね、
大方の予想を裏切って学園祭で二位を勝ち取った本話。
勝つことは困難と知りながら、それでも勝つつもりで特訓に勤しむ姿には、
第124話で、スターライトクイーンを勝ち取るつもりで、
練習に臨めなかったときからの成長が見出せたことでしょう。
あのときさくらに学んだ態度でもって、三人は学園祭に臨んでいたと思います。
この記事では、そんな第151話の中で、学園祭後の夜の学園での場面に注目します。
あかりが一人何事かを考えているところに、スミレとひなきがやって来る場面です。
何度見ても、この場面におけるあかりの表情は、尋常でない暗さであったと思います。

aikatsu14.png
 学園祭終了後、一人暗い表情で歩くあかり。

学園祭までは、対照的な尋常でない明るさでスミレとひなきを引っ張っていただけに、
何故そうなっていたか、非常に気になるところではないでしょうか。

この問いについて考えることで、今後あかりが対峙すべき課題が見えてくると思います。
そしてそこから、ルミナスというユニットのテーマや、
第151話で示されていたことについて敷衍して考えていきます。
もしよろしければ、内容を振り返りつつ、お付き合いいただければ幸いです。


(1) あかりの表情が暗かった理由

まず、この場面については、あかりが何故あのような暗い表情であったかを、
きちんと考えてみる必要があります。
あかりはソレイユたちに勝つことを目指しながらも、
それが難しいことは認識しており、
ただソレイユに負けて二位であったということが、
あかりをあそこまで暗くさせるとは考え難いと思います。
それでは何が、あかりをあのような表情にしていたのでしょうか。

あかりが考えていたことは、直後のスミレたちへの言葉から推測することができます。
「だから、きっと大丈夫だよ。この先も、もっと楽しんで、もっと夢を叶えられる」。
『リルビーリルウィン♪』を重ねたこの台詞で、
あかりがこの先もっと夢を叶えて行けるかどうかということを考えていたことが分かります。

よって、これを考える中で、あかりはあの暗い表情になっていたと考えることができます。
では何故、あかりはこの先もっと夢を叶えて行けるかを考える中で、
ああいった暗い表情になっていたのでしょうか。
単純に考えれば、更に進んで行けるかということについて、
不安を抱いたと推測できますが、だとすれば何故そうなってしまったのでしょうか。

というのも、あの場面というのは、ルミナスがソレイユに続く二位になった後の場面で、
あかりがこの先に不安を抱くような場面ではないとも考えられます。
あかりたちは、ソレイユに追いつけ追い越せの精神で頑張ったことで、
二位に入り込むという快挙を達成しました。
そのため単純に考えれば、あかりがこの先に不安を抱くような要素がありません。
直前において、苦しい特訓は成果となって、あかりに示されていたのですから。

それにもかかわらず、私はあかりがああいう暗い表情であったのは、
この先に不安を抱いたからに違いなかったと思います。
そして、この先に不安を抱いたのは、
特訓して頑張って上がってきた自分たちの、まだまだ遥か上に、
自分の目標がいるということに気付いたためです。

あのトライスターを僅差で上回って二位を勝ち取った。
このような好成績を残していたとしても、
自分の目標との差が圧倒的であることに気付いたのであれば、
あかりがこの先に不安を抱くことも考えられます。
あれだけ苦しんで特訓したにもかかわらず、差はまだまだある。
これから更に頑張って、目標に追いつき、目標を追い越すことが本当にできるのか。
一層苦しい特訓に耐え、トップアイドルになることができるのか。
おそらくあかりが抱いていたのは、このような種類の不安です。

つまり、あかりはあの学園祭の舞台を経て、
いちごとの大きな差に改めて気付いてしまったからこそ、
この先更に頑張って、更に上へと辿り着くことができるのかということについて思いを馳せ、
あの暗い表情になっていたのではないかと思います。


そしてここで言ういちごとの差は、おそらく単なる点数の差ではありませんでした。

先ほど述べましたが、ステージの内容に差がつき得ることは、
あかりにとっては想定内であったことであろうと思います。
あかりは、ソレイユやトライスターに勝つことは困難であることを認識していたのです。
よって、ステージにおけるソレイユとの数千点の差だけが、
あかりをあれだけ暗い表情にさせるとは考えにくいのではないかという気がします。
そこでの点数の差以上の要因があったのではないでしょうか。
その差とは、思うに、「アイカツに対する視座」の差です。

これは具体的に、一位を取ったいちごのスピーチの中に表れ、
あかりに現実として突き付けられたように思います。
だからいちごが話している場面においては、他のアイドルは口元に微笑みを湛えつつ、
「うんうん」という感じで聞いていたのですが、
あかりだけは若干ぽかーんとした感じで聞いていたのではないでしょうか。

aikatsu15.png
 あかりだけ、何かに思い至ったかのような、微妙な表情をしている。

この、いちごが語っているときのあかりの表情は、
その語りの中に何かを感じ取っている表情のように見えます。
あかりはいちごが自分とは異なり、自分のこととファンのことだけでなく、
他のグループについても語るのを見て、何か思うところがあったのではないでしょうか。

いちごが学園祭において、他のグループのことについて触れ、
「そんなみんなが、ステージで輝いていたことが、本当に嬉しかった!」と述べたときに表れたのは、
学園祭の企画者としての俯瞰的な視点であり、
アイカツを盛り上げる旗手である、トップアイドルとしての態度に他なりません。
ここにおいて、あかりといちごの間には決定的な隔絶があります。
あかりが幾ら好成績を残し、二位に迫ったとしても、否、
仮にソレイユを越えて一位になっていたとしても、
ここにおいてあかりは依然いちごに大差を付けられています。

こういった態度は、あかりにはまだないものに違いありません。

あかりは二位のスピーチで述べていました。
「この学園祭を計画してくれた先輩方も、本当に、ありがとうございました」と。
ここに表れているように、いちごがアイカツを盛り上げる、
学園祭の企画者(=トップアイドル)として語っていたのに対して、あかりは参加者として語っていました。

この企画者と、企画者でない者という、いちごとあかりの対照は、別のところにも見出せます。
つまり、ミュージックアワードで明らかにされていたのも、
劇場版において自分たちで企画を全て請け負ったいちごたちに対して、
劇中のジョニーの語りから分かるように、特にアイカツマラソンという企画を、
学校側に請け負ってもらったあかりたちという対比であったと思います。

また、このようないちごとあかりの差というのは、懐かしい話を出せば、
第100話の美月といちごの差に相当するものでもありました。
あのステージにおいて、いちごはセイラとともに美月とみくるに勝ったにもかかわらず、
依然美月は揺るぎないトップアイドルであることが物語中で強調されていました。
そこで、パフォーマンスの面では上回ったいちごたちと、
美月の間に依然あった大きな差、すなわちいちごたちに不足していたものも、
やはり「トップアイドルとしての態度」であったと思います。
美月はスピーチで、自分の夢が叶ったこと(自分事)を述べた後に、
アイカツがより盛り上がっていくだろうということを語っていました。
アイカツを盛り上げる企画を起こしたトップアイドルとして、
アイカツ界全体を考える視点で語っていたのです。

これが、自分たちにとってステージがどうであったかということを語り、
関係者への感謝を述べるに留まっていたいちごたちと、
美月の間にあった決定的な差であったと思います。
トップアイドルとして、アイカツ全体を考える態度。
第151話のソレイユは、既にこれを身に着けていたことは言うまでもないでしょう。
第147話で自分たちの企画について語るとき、第151話で一位になった者として語るとき、
三人は確かにトップアイドルとして、アイカツ界全体のことを見据えていました。

あかりは、いちごが劇場版を経てトップアイドルになって後、
初めて繰り出した企画である、今回の学園祭のステージに立ち、
いちごのスピーチを隣で聞いて、この決定的な差に気付いてしまったのではないでしょうか。
それは、パフォーマンスの数千点の差以外のところに表れた、非常に大きな差です。

結論として、学園祭後のあかりの暗い表情は、
一生懸命頑張って二位になってもなお決定的であった、いちごとの差に思い至り、
この先も更に頑張ってより夢を叶えていけるのかどうかということに、
思いを馳せていたためのものであったと思います。

いちごのトップアイドルとしての態度に触れて、
彼女が依然遠大な目標であることを再認識したのです。


(2) 『ブレーメンの音楽隊』を越えて行くルミナス

さて、ここからは多少脇道に逸れますが、
上記のようなことを考えて、憎いなあと思うのが、
ルミナスのブレーメンマーチと『リルビーリルウィン♪』です。
何故三年目最後の大舞台で、このドレスとこの曲であったのか。
他でもない、第151話で示されたテーマのためであったと思います。

私は三年目の物語は、ドレスのイメージの基となっている、
「ロマンスストーリーをアイドルが超える物語」であることを述べてきました。
つまり、林檎を抱く白雪姫(スミレ)は言うまでもなく、
午前零時5分前でも踊るシンデレラ(珠璃)
ふいの事故に挫けずむしろチャンスと捉えたクララ(ひなき)
お別れをしなかったかぐや姫(みやび)等、
アイドルはロマンスストーリーのヒロイン等に重ねられながら、
それを越えて行く者として描かれていたのです。

こうした流れを受けての、ルミナスのブレーメンマーチであったと考えられます。
ルミナスは、『ブレーメンの音楽隊』を越えて行くアイドルたちとして提示されていたのです。
というのも、この物語では、動物たちは当初の目標であったブレーメンには辿り着かず、
道中で安息の家を手に入れてめでたしめでたしとなっています。
一つの見方によれば、一定の目標が達成されたところで、
歩むのを止めてしまう物語と捉えることができます。

第151話は、これとは対照的な物語でした。
つまり、それぞれにどこかで躓いていた三人(≒同じような境遇であった動物たち)が、
三人で手を取り合って学園祭で二位となる快挙を達成する(≒道中で家を手に入れる)のですが、
その位置に安住するのではなく、更に先に進むことを選ぶ話であったのです。

ルミナスは、アイカツ界の先頭集団の一員として認められてもなお、
「この先ももっと楽しんで、もっと夢を叶える」ことを選ぶ点において、
『ブレーメンの音楽隊』を越えていました。
このようなルミナスのテーマがあって、だからこそ彼女たちのドレスと歌は、
「ブレーメンマーチ」と『リルビーリルウィン♪』であったのではないかと思います。


(3) まとめ:いちごのトップアイドルとしての態度に触れて、それでも

あかりは、いちごのトップアイドルとしての視点と態度に触れて、
彼女と自分との間にまだまだ大きな差があることを悟り、
この先更に進んで行けるのかということについて考え、暗い表情になっていました。
しかし、あかりはそこから、それでも更に進んで行くことを選択するのです。
これこそ、第151話が力点を置いていたテーマであり、
三年目の物語が提示した、あかりという主人公の道であったと思います。

aikatsu16.png
 いちごのトップアイドルとしての態度に触れて、それでも――



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 大スターライト学園祭の記事

  トップアイドルを受け継ぐソレイユ――美月が一言も語らない意味 (第百四十六話)
  スターライトクイーンを受け継ぐぽわぽわプリリン――ソレイユに並ぶユニットとして (第百四十八話)
  トライスター、今再び輝く星へ――美月とかえでとユリカであったからこその再結成(第百五十話)


テーマ:アイカツ!
ジャンル:アニメ・コミック

トライスター、今再び輝く星へ ――美月とかえでとユリカであったからこその再結成 (アイカツ!第150話考察)

2015.09.13 17:08|アイカツ!
今回は、先日放送された、『アイカツ!』第150話を考えます。
大スターライト学園祭の開催に際して、
トライスターとして出場しようと決意したかえでとユリカが、
美月にぶつかっていって見事に再結成を果たした本話。
織姫ときっちり話をし、いちごとともに語らい、みくるに応援されて、
美月がかえでとユリカと幾年ぶりの『Take Me Higher』を披露したことで、
彼女の物語は改めて一段落を向かえることができたというような気がします。

この記事では、ここで達成されたトライスターの再結成が、
誰か一人の功績によるものと捉えられるようなものではなくて、
美月、かえで、ユリカの三人であったからこそ迎えられたものであるということを論じます。

第150話におけるトライスターの再結成については、
最初に一歩を踏み出したかえでの貢献が目立っていますが、
実はユリカがいなければ成し得なかったと思います。
ユリカがいなければ、この段階において、
トライスターを再結成するという選択肢自体があったかどうか、
分からなかったのではないでしょうか。

というのも、美月が学園を出た時点で、ユリカがトライスターの解散を選んだからこそ、
今回の再結成があったと考えることができると思います。
仮に解散せずに、かえでとユリカの二人がトライスターとして既に認知されてしまっていたら、
再度三人になることを選択肢にできたかは分からなかったのではないでしょうか。

かえでがもう一度三人でステージに立つことを目指す前提を、ユリカが作っていたと考えられます。

そのように考えると、今日までのトライスターの物語は、
トライスターが美月とかえでとユリカの三人だったからこそ、
紡ぎ得たものに他ならなかったと思います。
三人の特長に基づくそれぞれの行動が、今日のトライスターの再結成へと繋がっていました。
このことについて、順番に振り返りながら考えていきましょう。

第一に、美月についてです。
言うまでもないことですが、美月がトライスターという夢を見なければ、
トライスターの結成は有り得ませんでした。
しかもこれは、順風満帆に実現した夢ではなく、蘭の脱退により挫折しかけた夢です。
美月はかつて、蘭に手紙で次のように語りました。

私、決めたよ。
蘭の心にこれ以上雨が降らないように、蘭にはトライスターを外れてもらいます。
あなたには太陽のもとでかがやいてほしいから!
私の夢であなたの夢を振り回してしまって、ごめんなさい。
いつも、夜空からあなたたちのことをみまもっています。
行く道は違っても、お互い同じ空でかがやきましょう。 (第37話)


そして、いささか消沈していたようにも思える表情と声色で、
そのことを織姫に報告しに行っていたのです。

「らしくないわね」
「トライスターのメンバーは、紫吹ではありませんでした」
「あなたらしくないと言ったのは、人選を失敗したと思っていることよ」
「トライスターとして輝ける三人目を見つけます!」 (第38話)


それにもかかわらず、美月が諦めずに夢を追い続けました。
そして、常に吸血鬼たろうと頑張るユリカと出会ったのです。
トライスターは、美月が諦めずに夢を追いかけ続けたためにこそ実現し得た夢でした。
美月が強くその夢を求め続けることができたのは、一つには彼女の向上心のおかげでしょう。
美月はあのとき既に圧倒的なトップアイドルでしたが、
『Take Me Higher』に歌われているように、更なる高みを目指してその夢を抱きました。
美月がトップアイドルであっても、なお高みを目指そうとし続けるアイドルであったからこそ、
それぞれに輝く三つの星によるユニットは結成できたと言えるのです。


第二に、ユリカについてです。
先述したとおり、美月が学園を出た時点でユリカが解散を選択できなければ、
トライスターの「再結成」は有り得なかったかも知れません。
ユリカが解散を選んだのは、トライスターのファンのことをも考えてのことでした。

「トライスターは三人でトライスターです。
 私たちにとっても、ファンにとっても」(中略)

「私たちが組んだら、誰でもトライスターを思い出すわ。
 美月さんはどんどん先に行くのに、私たちだけ、
 亡霊のように彷徨っているみたいじゃない」 (第79話)


ユリカがこのようにファンのことを考えることができるアイドルなのは、
ほとんど初登場時から一貫しており、
例えば第20話ではそのためにこそアイドルを辞めるとまで言ったのです。

「ファンは、吸血鬼きゃらの私を応援してくれていたの。
 それなのに、あんな姿を見せて、がっかりさせてしまった。
 私、もうアイドル辞める!」 (第20話)


このスキャンダルを乗り越えて、
ファンのためにきちんと吸血鬼であり続けることを誓ったために、
第38話で美月にトライスターのメンバーとして見出されるに至ったと言えます。
そして、今度はそのユリカの特徴が再結成に繋がることになりました。
ユリカが誰よりファンのことを考えることができるアイドルであって、
そのために解散を選べたからこそ、物語が第150話に繋がったのです。


第三に、かえでについてです。
第150話において、かえでが再結成への一歩を最初に踏み出さなければ、
トライスターの再結成は有り得なかったでしょう。
かえでがユリカにもう一度トライスターでステージに立つことを伝えに行く場面、
パラシュートで降下してくる姿が想起させるのは、第33話の彼女の初登場の場面です。
トライスターオーディションというチャンスに際して、かえではアメリカから駆けつけ、
やはりパラシュートでインパクトのある登場をかまして見せたのです。
そして、今回もかえではチャンスに飛び込むことを最初に決意しました。

「私、ユリカと一緒に出たい」
「え?」
「大スターライト学園祭! 私、どうしても出たい。一緒に出て欲しい!」
「分かってるの? 学園祭には三人ユニットじゃないと出られないのよ」
「イエス! 私、トライスターとして出たい」 (第150話)


そして美月に、このチャンスに一緒に飛び込もうと誘うのです。

「大スターライト学園祭……」
「三人ユニットで参加するイベントなんだ」
「この三人で出たいんです。
 美月さん、もう一度トライスターになってくれませんか?」
今がチャンスだと思うんだ」 (第150話)


結果として三人は、『Take Me Higher』が歌うように、
チャンスを逃さないで、大スターライト学園祭に飛び込むことに決めます。
かえでが、チャンスに際しては太平洋だって越えてくることができる、
勇気のあるアイドルであったからこそ、もう一度三人でステージに立てたのです。


結論として、第150話のトライスターの再結成と『Take Me Higher』のステージは、
トライスターが、他の誰でもない、
美月とかえでとユリカの三人によるユニットであったからこそ実現できたと言えます。
トライスターの再結成までの物語は、この三人だから紡げた物語であったのです。



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  トップアイドルを受け継ぐソレイユ ――美月が一言も語らない意味 (第百四十六話)
  スターライトクイーンを受け継ぐぽわぽわプリリン――ソレイユに並ぶユニットとして (第百四十八話)

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スターライトクイーンを受け継ぐぽわぽわプリリン ――ソレイユに並ぶユニットとして (アイカツ!第148話考察)

2015.09.06 11:28|アイカツ!
今回は、先日放送された『アイカツ!』第148話を考えます。
ぽわぽわプリリンが初めて三人でのステージを披露するとともに、
ドリームアカデミーの四人も久々のステージを披露した本話。
ぽわぽわプリリン関連の話として、第60話が思い出される話であったと思います。
しおんだけがステージに立てず、かえでを代役に立ててステージに臨んだあのときとの対比で、
今回のしおんも含めた三人でのステージは、非常にドラマティックなものに映りました。
しかし、他方で第60話と第148話には、
しおんがステージに立つ立たないという大きな差があるにもかかわらず、
ぽわぽわプリリンの流儀とも言えるような、通底する点もあったと思います。

というのも、本番前になってもおとめとさくらだけしかおらず、周囲が心配し始める中で、
おとめとさくらはしおんを信じるというところについては、第60話も第148話も同じでした。

第60話ではしおんが代役を連れてくることを信じ、
今回はしおんがやって来ることを信じたのです。
この信頼は、二つの話の中で全然変わっていません。
これこそが、ぽわぽわプリリンの中心と考えられます。

つまり、第60話でも第148話でも、おとめとさくらはしおんを信じて、
しおんはそれに応えることで、ぽわプリとしてのステージを成功させたのであって、
その意味で「三人でステージを作っていく」ぽわプリのスタンスは通底しているんですよね。
そこにぽわぽわプリリンである彼女たち三人の流儀がありました。

さて、このようにぽわぽわプリリンを取り上げていた本話ですが、
彼女たちはどのようなグループとして描かれていたでしょうか。
私は、主に二つの側面から描かれていたと思います。
特に強調したいのは、ソレイユとの関係です。
以前の記事で述べたように、ソレイユは、美月からトップアイドルを受け継ぐ者として、
かつての美月のようにアイカツを一層盛り上げる企画を提示する立場で登場していました。
これに対して、ぽわぽわプリリンは如何なる立場で現れていたでしょうか。
鍵となるのは、おとめがドリームアカデミーを乱入させていたことです。
このことは、如何なる意味を持っていたと考えることができるでしょうか。

以下、このことについて私見を述べていきたいと思います。
もしよろしければ、これまでのぽわぽわプリリンの活動を思い出しつつ、
少しの間お付き合いいただければ幸いです。



それでは、第148話でぽわぽわプリリンがどのようなグループとして描かれていたかを考えます。
けだし、ぽわぽわプリリンは、第一に美月からスターライトクイーンを受け継ぐグループとして、
第二にかえでのようにファンを驚かせ、楽しませるグループとして描かれていたと思います。

この二つについて、順に説明していきます。


(1) スターライトクイーンを受け継ぐグループとして

まず、今回ぽわぽわプリリンは、ドリームアカデミーの四人を、
ステージに乱入させるグループとして登場していました。
第148話は、ぽわぽわプリリンが三人でステージに上がる様だけでなくて、
ドリームアカデミーの四人とコンタクトを取って乱入させる様まで描いていたのです。
この部分には、ソレイユと同時期から頑張っていて、
彼女たちと別のところで美月を受け継いでいる、
ぽわぽわプリリンの矜持のようなものを見出せると思います。

つまり、ぽわぽわプリリンは、ソレイユの大スターライト学園祭に招かれるだけではなくて、
そこに自らの企画をぶつけていくグループとして描かれていました。
そこにおいて、ぽわぽわプリリンは主催者たるソレイユの隣に並んでいたと考えられます。

ただ単に同じ時期からユニットとして活動しているから、並べたわけではありません。

ぽわぽわプリリンは、ソレイユと同じく、されど別のところで、
美月を受け継ぐグループであるからこそ、
「トップアイドル」を受け継ぐ者として、アイカツを盛り上げる企画を立ててきたソレイユに、
イベントを更に盛り上げる企画をぶつけることができたのです。
ぽわぽわプリリンが美月から受け継いだものとは、
「スターライトクイーン」の立場に他なりません。

ドリームアカデミーの四人の『ハッピィクレッシェンド』は、
第72話から第73話の両校が協力して実施した学園祭と、
おとめがスターライトクイーンとして頑張っていた姿を思い出させるものです。
大スターライト「学園祭」にドリームアカデミーの四人を招いて盛り上げるということ自体が、
おとめに第72話から第73話の経験があったからこそのものとも考えることができます。
セイラたちの乱入は、スターライトクイーンの経験と繋がる案であったのです。

結論として、ソレイユ(いちごたち)は、三人組アイドルが競い合う、
美月を思い出させるような競争的な企画を提示して見せたのに対して、
ぽわぽわプリリン(おとめたち)は、そこにドリームアカデミーも参加させていく、
美月を思い出させるような学園の垣根を越えた企画を提示して見せたのです。

二つのグループは、アイカツを盛り上げる企画を自ら立てて持ち込む、
美月を受け継ぐ者たちとして描かれていたと読むことができます。


(2) 驚かせ、楽しませるグループとして

次に、今回ぽわぽわプリリンは「びっくり箱」のようなグループとして表現されていました。
この表現は、第60話で現にびっくり箱で登場していた、かえでを思い出させるものです。

「レディーズ、エーンド、ジェントルメーン!」
「ん?」
「ハーイ! しおんからの贈り物。
 一日限定ぽわぽわプリリンの、一ノ瀬かえでだよ!」 (60話)


ここでかえでは、アイドルとスタッフ数人しかいなかった楽屋であったにもかかわらず、
びっくり箱から登場するという大がかりなサプライズをやってのけています。
ここに見出せるのは、誰かを楽しませたいというかえでの強い気持ちです。
今回ぽわぽわプリリンは、このかえでのような側面も持つグループとしても表現されていました。

つまり、たくさんのサプライズでもってファンを楽しませていく、
ぽわぽわプリリンの「びっくり箱」の様な姿は、
かつて第60話で臨時にかえでが加入していた、
グループとしてのものであったと読むことができます。
かえでの加入は一時的なものに過ぎませんでしたが、
その過去は、現在のぽわぽわプリリンの姿に確かに見出すことができるのです。

ぽわぽわプリリンは、かえでのように、驚かせ、楽しませるグループでもありました。


全体の結論として、ぽわぽわプリリンは、
美月からスターライトクイーンを受け継ぐグループとして描かれるとともに、
かえでのように驚かせ、楽しませるグループとして描かれていました。
ぽわぽわプリリンのこうした姿は、おとめがスターライトクイーンとして頑張ってきた過去と、
かえでが一時的に加入した過去から繋がるものであったと思います。
その意味で、第148話は、ぽわぽわプリリンの集大成と言っても過言ではないでしょう。

しかし、きっとここで終わりではありません。
だからこそ三人はステージの後、「いつものように」、お祝いをしていたと考えられます。
今回の大舞台も、三人にとってはいつもの三人での仕事に過ぎなかったのです。
最後の掛け声と決めポーズは、これから更に上へと飛んでいくことを仄めかしているようでした。

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三人であるから一層頑張れる三人は、
過去から繋がる今から、更に繋がっていく未来へと、きっと進んで行くのです。



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  前回の記事

    トップアイドルを受け継ぐソレイユ ――美月が一言も語らない意味 (第百四十六話)

  ぽわぽわプリリンに関する記事

    ぽわぽわプリリン三人の流儀 (第六十話)



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