スポンサーサイト

--.--.-- --:--|スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

キス以外に注目して見る『桜Trick』 (桜Trick:第一話考察)

2014.01.13 17:09|桜Trick
桜Trick (1) (まんがタイムKRコミックス)桜Trick (1) (まんがタイムKRコミックス)
(2012/08/27)
タチ

商品詳細を見る


今回は、アニメ『桜Trick』について考えてみたいと思います。
特に注目するのは作中の「キス以外」の部分です。
色々なところで話題になっているように、「キス」が非常に印象的な作品ですが、
『桜Trick』はそればかりの作品というわけではありません。

一話の中に現れていた「三つの柱」とでも言うべき、キス以外の要素を提示していきます。
そのため今回は考察というより、紹介の色が強いかも知れません。
全文を通して、後の内容がはっきりと分かってしまう決定的なネタバレはないので、
アニメで初見の方は見所の紹介だと思って気楽に読んでいただければ幸いです。

また脚注には、その要素が後に実際に絡んできたと考えられる箇所を原作から例示しておきます。
既に原作をお持ちの方は、そのページを確認していただければよりよく分かると思います。

それではアニメ一話の内容を、キス以外の部分に注目して振り返ってみましょう。



○キス以外に注目して見る『桜Trick』:一話に見出す三本の柱


(1)春香の優に対する頑張り

まずは、春香と優の関係に注目してみたいと思います。
アニメ『桜Trick』は、高校入学前夜、春香が決意を新たにするところから始まります。

「明日から高校生かぁ… 私…ちゃんと友達できるかな…」

――優ちゃんに相談してみよっかな…
 ううん 優ちゃんに頼ってばっかじゃダメ!
 もう高校生になるんだから! (1話、1巻3ページ)


春香は何でも優に頼ることを止めて、高校生として頑張っていこうと考えるわけです。
この始まり方を見た時点では、春香は作中で優離れしていくのではないかとも予想できます。
優に頼り切りだったこれまでとは決別し、高校入学を機に新しい日常へと向かっていく。
そのような物語として、『桜Trick』の今後を期待することができるのです。

しかし、その予想は外れであると早々に告げられることになります。
優に頼るまいとして電話をかけるのを止めた春香は、
直後に優からの電話を受けて、そこで色々と世話を焼かれて、明らかに喜んでいるのです。
これまでのように優に頼らないという目標から導かれる、
優から相対的に離れるという選択肢はここで早くも否定されることになります。

けれどもこれで、春香の計画が頓挫したというわけではありません。
彼女は優から離れることはできませんが、別の方法で頼り切りの関係から脱け出ようとします。
入学式で校長が話している最中、春香は次のように考えます。

――もう高校生かぁ… きっとあっという間の三年間なんだろうな…

「あっ 寝てる…」

――私はまだまだ側にいたいんだよ 優ちゃん

 今でも覚えてる 初めて優ちゃんに会った日のこと
 優ちゃんに会うまで 私 一人だったんだよ
 だから今度は 私が返す番だね
 部活とか文化祭とか体育祭 修学旅行も 
 いっぱい いーっぱい 楽しもうね (1話、1巻14ページ)


これまで頼らせてくれて、支えてくれていた優に対して、お返しをしようと決意するのです。
ここが『桜Trick』という作品の、一つのポイントであると思います。
これまで優に世話になりっぱなしだったらしい春香が、
限りある高校三年間の中で如何に優に「お返ししていくか」。
そうした意味での「春香の優に対する頑張り」が、描かれていくものの一つなのです注1
優のことを考え、春香が色々と行動していく姿に注目して、視聴してみてはいかがでしょうか。
それは春香の成長の現れとして、また二人の関係の新しい形として提示されていきます。


(2)変わることとの対峙

次に、物語の舞台に注目してみたいと思います。
『桜Trick』は、三年後の廃校が決まっている「美里西高校」を舞台にしています。

我が校は三年後には東校と合併し 廃校となります
 よってみなさんは西高最後の一年生となるわけですが」 (1話、1巻14ページ)


やがてなくなってしまう学校で、春香たちは過ごしていくわけです。
この特殊な舞台設定が、不可避な変化を意識させるのに一役買っています。
卒業や環境の変化に伴い、友人との関係もいずれ変わっていってしまうかも知れない。
そういった寂しい雰囲気が、作品の中でふとした瞬間に思い出されていきます。
現に一話では、春香が空き教室で不安にかられています。

――思わず逃げ出しちゃった ここ空き教室?
 変わっちゃうのかなぁ… 私と優ちゃんも この教室みたいに
 前はちゃんとそこに在ったのに (1話、1巻16ページ)


このように、この学校で過ごす限り、来たるべき変化というものに対峙せざるを得ません。
やがて変わってしまう学校は、自分たちが変わってしまうことを意識させてしまうのです。
こうした「変わることとの対峙」が、作品の柱の一つであると思います注2
近い将来の変化を前にして、今どのように行動し、今をどう過ごしていくか。
例えば、春香と優は「特別」な関係になって歩んでいくことを選びました。
何てことのない日常の裏にある、この一種の寂寥感も作品の要素であると言えるでしょう。
先程は、春香が優に頼り切りの関係を変えていこうと決意していた点を取り上げましたが、
『桜Trick』には、それとは逆に変わることに立ち向かっていく側面もあるのです。


(3)特別な関係の外側

最後に、春香と優を取り巻く人物たちに注目してみたいと思います。
『桜Trick』は、春香と優の特別な関係が中心に据えられた作品ですが、
二人の関係は辞書通りの意味で「特別」であり、必ずしも「普通」ではないということが、
彼女たちの関係の外側の人物たちによって度々強調されています。

一話ではゆず(と楓)が、二人に対して自分の「普通」を提示していました。

「腕組みやなの?」
え… しないでしょフツー 高校生にもなって
「ゆずちゃんは 楓ちゃんを同性として意識しすぎ!」
「アンタらはお互いを異性だと思ってんだ?」 (1話、1巻12ページ)


このように、そもそも腕組みすらしないというような他者が近くに存在するのです。
春香たちの関係は、こうした外部の存在によって絶えず「特別」なものに定義され続けていきます。
親しい二人がキスをすることは、この作品の中の世界では当たり前という設定にはされていません。
こうして春香たちに対して提示される、「特別な関係の外側」に位置する人物たちこそ、
春香たちの関係の裏で描きこまれていくものであると思います注3
彼女たちがどのように春香と優に対して関わって、どのように変化していくか。
ゆずや楓を初めとする外部の人物たちの立ち回りや漸進的な変化が見所の一つになっています。
『桜Trick』を見るときは、「キスをしない面々」にも注目してみるといいかも知れません。



以上の三つが、『桜Trick』という物語には欠かせない要素なのではないかと思います。
もちろん、春香と優の「キス」は、これらを超える最大の注目点です。
当初、関係が変わっていくことを恐れて、「特別な関係になるために」行われたキスは、
次第に「特別な関係だから」行われるようになり、そこからさらに「特別な関係」とは何なのか、
二人は結局どのような関係なのかということが改めて問われていくことになります。
キスの意味と二人の関係の変容は、この作品に触れるなら必ず直面するテーマでしょう。
けれども今回は、敢えてそれ以外の部分に注目して一話を振り返ってみました。
春香の優に対する頑張り、変わることとの対峙、特別な関係の外側。
物語の冒頭で既に現れてきていた、こうした要素を心に留めておくと、
アニメ『桜Trick』がより魅力的な作品として見えてくるのではないかと思います。



 注1 例えば、春香は優がやりたがったことの実現のために奮闘します(1巻57-65ページ)。
 注2 特に、コトネとしずくは関係の変化と対峙せざるを得ません(3巻23-25ページ)。
 注3 楓の考え方は最も分かりやすく変化しています(1巻36ページ→2巻97ページ)。
    また三巻は、美月が卒業の前に気付き、変わっていく姿を描いています(3巻57-92ページ)。


スポンサーサイト

テーマ:桜Trick
ジャンル:アニメ・コミック

プロフィール

天秤

Author:天秤
天秤と申します。
アニメや漫画など、好きなものについて考えたことを書き込みます。
よろしくお願いいたします。

カレンダー

12 | 2014/01 | 02
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

カテゴリ

最新記事

最近のつぶやき

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

アクセスカウンター

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

RSSリンクの表示

リンク

QRコード

QR

  • ページトップへ
  • ホームへ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。