スポンサーサイト

--.--.-- --:--|スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

卒業、挑戦――同じところに立ついちごと美月 (アイカツ!第六十三話考察)

2013.12.28 17:13|アイカツ!
KIRA☆Power/オリジナルスター☆彡KIRA☆Power/オリジナルスター☆彡
(2013/10/23)
STAR☆ANIS

商品詳細を見る

第63話「紅白アイカツ合戦!」が放送されました。
美月が久々に登場した箇所が最大の見所であったと思いますが、
西島サブ子とかあめちゃんとか、各所のおふざけも光っていた気がします。
ちょっと面白かったのは、ぽわぽわプリリンの三人ですね。
三人は今回、紅白アイカツ合戦の応援隊を務めていましたが、
物語の中でずっとさくらをセンターに配置していました。

勝敗発表はリーダーであるおとめにより行われましたが、
さくら推しで活動していたのではないかと窺い知ることができます。
冒頭の三人による応援VTRを見てみましょう。

「第64回、紅白アイカツ合戦!」

「応援隊の、ぽわぽわプリリン、有栖川おとめと」
「北大路、あ、さくらとぉ~」
「神谷しおんです!」
「紅白アイカツ合戦は大晦日の、夜7時15分から」
「あ、ごらん」
「くださ~い!」 (63話)


ここで三人が北大路劇場で勝負しに行っていることが分かります。
例えばおとめは「らぶゆー」を自己紹介のときに差し挟めそうなものですが、
そうしていないのに対し、さくらは最初から最後まで全力で北大路劇場です。
紅白アイカツ合戦は、大御所である西島サブ子が出演していることから分かるように、
現実の紅白と同様に、幅広い世代が視聴する恒例番組であると推察できます。
それゆえに、歌舞伎を楽しむ層のいるお茶の間にもアピールできる、
さくらを特に目立たせる形の応援にしたと考えられます。

この辺りに、ぽわぽわプリリンの物語裏での活動を見出せて楽しかったですね。
打ち合わせ段階で三人が話し合うなどした結果、
さくらがセンターの方がいいという風になったのではないかと思います。



○『アイカツ!』第63話①:いちごの側からの「仲間」という言葉


今回は何と言っても美月の久々の登場シーンが印象的だったので、
その場面に注目して、色々と考えてみたいと思います。
いちごたちは会場で美月と再会し、彼女が今何を考えているのか聞くことになります。

「新たにやりたいこと?」
「プロデュースよ」
「やっぱり……」
「わたしたちのユニット、トライスター、そしてスターアニス。
 あなたたちと過ごした日々は輝いていた。
 でも、先輩として、もっと上手に後輩のあなたたちを導けたんじゃないかって思ってたわ。
 そう考えるうちに、プロデュースに興味を持ったの」
「じゃあ、美月さんはプロデューサーになるんですか?」
「今はまだ分からない。一つ言えるのは、アイカツを盛り上げたいということ。
 その気持ちは一緒よ。だから、ドリアカに行っても私は――」

仲間! ですよね?

「――ええ」 (63話)


ここで美月が何か言おうとしたのを遮って、いちごが「仲間」と言っています。
これは、美月といちご、双方にとって意味があることであったと思います。
美月が何と言おうとしたかは分かりませんが、彼女が何を言おうとしていたとしても、
それが遮られて、いちごの側から「仲間」と述べ、美月が答えたことが重要なのです。

まず、美月にとっては、いちごが変わらず「仲間」と言ってくれたという意味を持ちます。
プロデュースという新たな道を見つけ、ドリアカに今は在籍している美月は、
ミスターSのように「寝返り」とは言わないまでも、
別のところに行ってしまった存在であると考えられてしまうことがあり得ます。
それにも係らず、いちごは自分の側から「仲間」と言ってくれた。
このことは新たな挑戦へ向かう美月にとって、非常に温かい意味を持っていたように思います。

aikatsu05.png
 「仲間」と言われた後の美月の表情はすっきりした感じ。

次に、いちごにとっては、美月が自分たちを「仲間」と認めてくれたという意味を持ちます。
「仲間」という言葉は、自分と相手が一緒であること、同じ舞台に立っていることを思わせるものです。
いちごが「仲間」と言って、美月がそれに答えたとき、
いちごは美月にそういった存在として認められたと考えることができます。

物語の一年目において、美月の横に立つということはいちごの大きな目標でした。
特に第45話では、美月がいちごとはまだ違う位置にいることを直接告げています。
スターアニスのメンバーで、プールに遊びに行ったときのことです。

「あの、また一緒に何か……。 
 スターアニスでも何でもいいんですけど、私、また美月さんと――」
「またいつかね。覚えてる? 私の言ったこと」

――星宮いちご、あなたは太陽になれるかも知れない。

「私が太陽じゃないから……ですか? 太陽っていったい……?」
「いちごを見て思った、私たちは違うって。違う輝きをしてる。
 でもまだ足りない。そんな光では月に負ける。同じ空では輝けない
「追いつきます。負けないくらい強く輝いて、太陽みたいになります!」
「待ってる。それじゃあ行くよ!」 (45話)


ここではいちごがアイドルとして、まだ美月とは違うレベルにいることが示されています。
美月と再会して、いちごが「仲間」と言った後、少し不安げに答えを待つのは、
こうした美月の厳しさを思い出していたからではないかと思います。

いちごにとって美月は、簡単には隣に並ばせてくれない先輩です。
追いつこうとしても、自分からどんどん先に行って、離れていってしまう。
この関係は、美月がスターライト学園から去った後も変わっていません。
自分の知らないうちに、いつの間にか新たな道へと進もうとしている。
だから、美月がいちごの言に首肯したとき、いちごは安堵の表情を見せたのではないでしょうか。
一連のやり取りは、美月が自分と同じところにいることを認めてくれたという意味を持つのです。

aikatsu04.png
 「仲間」を肯定された後のいちごの表情は本当に嬉しそう。

結論として、いちごの方から「仲間」と言ったことは、双方にとって意味がありました。
美月にとっては、新たな挑戦に向かう自分を、変わらず「仲間」と言ってくれたという意味、
いちごにとっては、美月が自分たちと同じ舞台にいることを認めてくれたという意味です。
例え離れているとしても、このときの「仲間」という言葉が二人の心を灯し続けると思います。



○『アイカツ!』第63話②:卒業、挑戦――同じところに立ついちごと美月


先程取り上げたいちごの美月のやり取りで、
物語は二人が「仲間」として同じところに立っていることを強調していたと思います。
それでは、どのような意味で二人は「同じところ」に立っているのでしょうか。
もちろん、美月が述べたように、「アイカツを盛り上げたい」という同じ気持ちを持つという意味で、
美月と後輩たちは同じところに立っていると捉えることができます。
しかし、特にいちごと美月の場合には、そればかりではないと思います。
思うに二人は、憧れから卒業して新たな挑戦をしていくという点において共通なのです。
このことについて、以下では説明していきます。

以前、第50話の記事の中で、いちごは美月から相対的に卒業したと述べました。
すなわち、一年目でいちごは一途に美月を追いかけていましたが、
自分のやりたいことを考えた結果、最後には渡米することにするのです。
まだ美月が学園を離れるとは知らなかったのにもかかわらず、彼女はそう決めました。
そこに、美月や、彼女のくれた太陽という目標からの、いちごの「卒業」を見ることができます。
憧れの力は大きなものですが(47話)、いちごはただそれだけを追うというのを止めるのです。

美月がスターライト学園を辞めたのも、このいちごの卒業と並べて考えることができます。
つまり、いちごにとってアメリカ行きが、美月からの卒業という意味を持っていたように、
美月にとって学園を辞めることは、織姫(マスカレード)からの卒業の意味を持ちます。

憧れの力でもって頑張ってきた二人は、一年目の終盤に、それぞれそこから旅立っていくのです

二年目は、卒業の後、二人が自分の道を歩み出していくところから始まります。
すなわち、いちごは更なるアイカツの道に、美月はプロデュースの道に向かって行くのです。
卒業を経ているために、それはこれまでとは全く異なる新しい「挑戦」と言えます。
いちごは美月や、太陽という目標を追うわけではありませんし、
美月もスターライト学園でトップアイドルとして活躍するのではありません。
これまでとは違う形で、アイカツに関わり、その中で挑戦していくことになります。


大切な誰かから「卒業」し、新たな「挑戦」へと向かって行く。


他ならぬこの点において、いちごと美月は「同じところ」に立っているのではないでしょうか。
いちごが「仲間」と言い、美月がそれを肯定することで示されたのは、
別々に光っている太陽と月が、それでいて同じ空に在るということであったと思います。
今後の二人の物語は、「卒業後の挑戦」の物語なのです。



 注 もちろん、美月やマスカレードはそれぞれの大切な憧れであり続けるでしょう。
   一年目の終盤に二人が経験したのは、あくまで「相対的な」卒業に過ぎません。
   二人は憧れることを「止める」のではなく、憧れから相対的に「離れる」のです。



○関連記事

  楽しませるは、楽しい (第62話考察)
  自ら輝く太陽として ――「太陽」という目標からの卒業 (第50話考察)


スポンサーサイト

テーマ:アイカツ!
ジャンル:アニメ・コミック

楽しませるは、楽しい (アイカツ!第六十二話考察)

2013.12.20 17:40|アイカツ!
COOL MODECOOL MODE
(2013/12/21)
STAR☆ANIS

商品詳細を見る

昨日、第62話「アイドルはサンタクロース!」が放送されました。
そらの「誰かを元気に、ハッピーにしたい」という気持ちを前回に引き続き描きつつ、
メインの十一人が、まき割りを初めとしたアイカツに励む姿を描いた豪華な回であったと思います。

注目すべき点としては、久々にヒカリが登場していたことです。
それも、極めて特殊な登場の仕方をしていたと思います。
つまり、折角の登場にも係らず、彼女は本編にほとんど絡んでいませんでした。
両校のアイドルが多数描かれている巨大ケーキ作りの場面にすら、全く姿を見せていないのです。
二回だけさらっと登場して、「まぶしっ」とだけのたまっていきました。

けれども、この奇妙な最低限の登場は非常にヒカリらしくもあったと思います。
というのも、彼女のアイカツの現場はいちごたちとは別のところにあるからです(8話)。
巨大ケーキ作りの場面にすら描かれないのは、このためであったと考えられます。
彼女はいちごたちのアイカツから一歩離れた存在として、それを眺めるのに徹するのです。
かつてトライスターのオーディションの際にも、こうした登場をしていました(33話)。

少し離れたところから、いちごたちのアイカツを見つめるアイドル。
最近は、そういった立ち位置から、特にいちごを評価する役割を担っているように思います。
今回は、ケーキの頂上で輝くいちごに対して「まぶしっ」と評価していましたが、
一年目の最終回でも、いちごを「いい負けっぷり」だったと評価していました(50話)。
ヒカリは「地下の太陽」として、「太陽」であるいちごを評価していく人物なのです。

蘭とのライバル関係もありますし、彼女からは今後も目が離せないなと思います。



○『アイカツ!』第62話:楽しませるは、楽しい


さて、今回注目したいのは、当初アイドルたちが「楽しむ」ものとして提示されたパーティが、
非常にナチュラルに、いつの間にか、アイドルが「楽しませる」ものに転化していたことです。
話の始まりの時点では、クリスマスパーティは次のように語られていました。

「今や世間は、そらちゃんキター! って感じの、すっごい盛り上がり!
 アイドルとしても大注目だけど、デザイナーとしてもすごい才能の持ち主、だって!」
「うれしい」
「ドリアカ、キター! って感じだね。みんなよく頑張ったね。
 クリスマスパーティは思いっきり楽しんじゃって」 (62話)


クリスマスパーティはティアラの言うように、アイドルが「楽しむ」企画として登場しています。
そこで過ごす時間は、アイドルが「ハッピーになる」ための時間なのです。
しかし、話が進むに連れて、「楽しませる」、「ハッピーにする」側面が強調されていきます。
巨大ケーキを作ることについて、そらはインタビューで次のように語っています。

「そらちゃん、特大ケーキだそうですね」
「はい、ケーキを大きくしたいと思ったのは、
 その方が、みんなを元気に、ハッピーにできると思ったからです。
 そこで、ケーキをデザインした、天羽あすかさんのところへ相談に伺いました」

「ケーキを大きくしたいのは何故?」
「クリスマスパーティは、一年に一度しかありません。
 だから、パーティに参加するみんなにも、テレビで見てくれている人たちにも、
 最高に大きなハッピーを届けたいんです」 (62話)


クリスマスパーティをデザインする立場に就任したそらは、
それを「みんなを元気に、ハッピーに」する機会として捉えているのです。
パーティがきいによってプロデュースされ、そらによってデザインされることになったことで、
「楽しむ」「楽しませる」に、「ハッピーになる」「ハッピーにする」に変化しています。

いちごも、こうしたそらに追随する形で、前者から後者へと移動していきます。
実際に、彼女は当初、そらによって「ハッピーになる」人物として描かれていました。

「そらちゃん、ありがとう!」
「え?」
「小さいときね、クリスマスケーキがすっごくおいしくて、
 食べるたびに小さくなるケーキがさびしくて、
 食べきれないくらい大きかったらいいのになあって思ってたんだ。
 超巨大ケーキ! 夢が叶っちゃった!
「よかった」
「え?」
「わたしがケーキを大きくしようと思ったのは、ううん、
 クリスマスパーティをデザインしようと思ったのは、そういう顔が見たかったから。
 自分が作った服で、誰かを元気に、ハッピーにできたらいいと思って、
 わたしのブランド、「Bohemian Sky」を作った。
 この世界を楽しく、幸せにするためのものなら、どんなものでもデザインしたい。
 ドレスもケーキも、パーティも。デザインに境界線、ボーダーなんてない」 (62話)


ここでいちごは、パーティの参加者の一人として、
そらのパーティのデザインによって「ハッピーになった」アイドルとして現れています。
超巨大ケーキを作るというアイデアに、お礼を言う立場で登場するのです。
彼女も当初は、パーティに招待されて「楽しむ」、「ハッピーになる」側でした。

しかし、この後いちごも、「楽しませる」、「ハッピーにする」側へ反転していきます。
いちごちゃんドールが届かないと気付いた段階でのことです。

「作ればいい。ケーキだって作れたんだから、いちごちゃんドールだって必ず作れる」
「うん! そうだよ!」
「作ろう!」
「みなさーん! まもなくステージの時間でーす!
 ファンの皆さん、既にお待ちです。準備よろしくお願いしまーす!」
「どうしよう、もう時間がない」
「みんなで作ったクリスマスケーキ。今日のアイカツ、クリスマスパーティは、
 ここにいるみんなでデザインしたパーティ。だから、絶対あきらめたくない
わたしもあきらめてないよ!
「いちごちゃん……」
「そうだね、わたしもそう思った!」 (62話)


ここでいちごも、そらの気持ちに乗っかって一肌脱ぐ側に回ります。
ファンを「ハッピーにする」ために、ケーキに飛び込む決意をするのです。
そらにハッピーにしてもらっていたいちごが、
今度はそらと一緒にみんなをハッピーにする側に立っていることが分かります。

第62話ではこうして、アイドルたちが「楽しむ」、「ハッピーになる」側から、
「楽しませる」、「ハッピーにする」側へといつの間にか移っています。

重要なのは、この立場の転換がいつの間にか行われているということです。
前者から後者へと、いちごを初めとするアイドルたちはいとも容易く跳躍してみせます。
これは彼女たちにとって、「楽しむ」ことも「楽しませる」こともあまり変わらないからです。
そらの述べたような「誰かを元気に、ハッピーにしたい」という気持ち。
これを持っているからこそ、アイドルは「楽しませる」ことで「楽しむ」ことができます。
誰かを「ハッピーにする」ことで、自分が「ハッピーになる」ことができるのです。
実際に、ケーキの頂上に飛び込んで、誰よりもみんなを楽しませたいちごは、
誰よりも楽しそうな笑顔で、「メリークリスマス!」と言って見せました。

第62話が描き出したのは、まるで「サンタクロース」のように、
誰かに「ハッピーを届ける」側になるアイドルたちの姿ではなかったでしょうか。
彼女たちにとっては、「楽しむ」と「楽しませる」の間にボーダーはありません。
ゆえにサンタクロースになるという大事業は、いとも容易く達成されていくのです。
思えば、クラスメイトのために巨木を伐採しに行ったとき(12話)も、
アメリカでツリーの星になったとき(52話)も、いちごは最高に楽しそうでした。
誰かの幸せのために動いて、自分も幸せになれるアイドルの姿が、
クリスマス回における共通のテーマであったと考えられます。



○前回の記事

  そらだけの「Bohemian Sky」という道 (アイカツ!第六十一話①)
  きいだから代弁できること (アイカツ!第六十一話②)


テーマ:アイカツ!
ジャンル:アニメ・コミック

きいだから代弁できること (アイカツ!第六十一話考察②)

2013.12.16 14:00|アイカツ!
COOL MODECOOL MODE
(2013/12/21)
STAR☆ANIS

商品詳細を見る

前回に引き続き、今回も第61話について考えていきたいと思います。

  前回: そらだけの「Bohemian Sky」という道

続きとは言え、そらではなくきいを扱う独立した記事なので、
前回の記事を読んでいなくても問題は特にないと思います。
当初はこちらの記事だけアップする予定だったのですが、
『Kira・pata・shining』のステージを幾度も見直しているうちに、
そらについても語りたくなったため、二分割の記事になりました。
ため息が出るほど、最高にかっこよかったから仕方ない。

さて、今回はきいに関係する、次の問いから出発していきたいと思います。
すなわち、今回そらが「Bohemian Sky」を立ち上げるに当たり、
きいが非常に活躍していたのは何故かという問題です。

思うにここで第61話は、きいがデビューした第55話と結びついています。



○『アイカツ!』第61話:きいだから代弁できること


まずは、そらのブランド立ち上げに際して、きいが活躍していたことを確認します。
そらから悩みを聞いた後の、次のセイラときいの会話を見る限り、
当初より、そらの悩みはきいが解決するものとして提出されていました。

「珍しいな、きいが考え込むなんて」
「そらちゃん、デザイナーになったらすっごく活躍できると思う!
 だから、そらちゃんに悩みがあるなら力になりたいんだ
「さっき、これをつけたあたしたちを見たとき、すごく嬉しそうだった」
「うん」
「作ったものがあたしたちに似合って、嬉しかったのかな?」
「そうかも! ブランドの衣装も、そういう風に楽しく作って欲しいよね」
「ああ」
「でも、どうすればいいのかな。パソくん、何か分かるかな」
「そらと話してみるのはどうだ?
 きいのプロデューサーの力があれば、きっと助けになれる!」 (61話)


そらの助けになりたいと表明するきいに対して、
セイラが、きいのプロデューサーの力があればきっと助けになれると述べています。
ここから、きいが問題を解決すべき人物として表れていることが分かります。
そして実際に、きいは後半でそらの悩みを解決するキーパーソンとなりました。
デザイナーを志すきっかけとなった、ミミさんとの思い出について聞いた後の場面です。

「きれいだったんだね」
「え?」
「そらちゃんがミミさんにあげたアクセサリ。
 そのアクセが、ミミさんにおしゃれの魔法をかけて、
 ミミさんは新しい自分になりたいって思ったんだよ
「だから、世界に飛び立ったんだな」
「何でいなくなっちゃったんだろうって思ってた。そんなこと、思わなかったよ」
「ブランドだって、そらちゃんのままでい続けて、自由に作れば上手くいくよ!
 そらちゃんの衣装で元気になる人、絶対いる! ミミさんみたいに!」 (61話)


そして、そらは「Bohemian Sky」で新たな世界へと向かって行くわけです。
きいがミミさんの気持ちを代弁して、そらの衣装が元気を与え得ると示したことが、
そらの悩みを払拭する契機になっていることが分かります。

このようにきいは、非常に重要な役割を演じ切っています。

それでは、何故きいがこの重大な役割を演じたのでしょうか。
更に言えば、何故きいはミミさんの気持ちを代弁できたのでしょうか。
ヒントは、ミミさんの次の言葉の中にあると思います。

「魔法か……。アクセサリも衣装も、おしゃれって魔法なのかもしれない。
 新しい自分になりたいときに、元気をくれる魔法。うん」
「わたしはこういうの作る人になりたいなあ。
 わたしもなりたい自分になれる?」
「そらのままでい続ければきっとなれるわ」
「どうして分かるの?」
今のあなたに、元気をもらったから」 (61話)


この、おしゃれが「魔法」をかけてくれるという感覚。
ミミさんが覚えたそれは、きいこそ最も共感できるものです。
彼女も、母親に髪をまとめてもらって、おしゃれにしてもらったとき、
いつだって元気になることができたのでした。

「ほら、見て」
「きいじゃないみたい!」
「きいよ。こっちが本当のきいなの。
 眠っていた本物のきいを、魔法で目覚めさせたのよ
「へえ~!」

「それからはね、お仕事でいないとき以外は、いつもママが髪の毛を結んでくれたんだ」
「そうだったんだ」
「うん! きいが段々元気になったのは、それからなんだ。
 髪の毛をきれいにしてもらいながら、ママとおしゃべりしてるとね、
 気持ちが落ち着くっていうか、悲しいことがあったときも、
 あの時間がきいに元気をくれたんだ」 (55話)


このように、きいは「おしゃれの魔法」を実際に体験してきました。
だからこそ、そらの作った髪飾りから元気をもらって、
再出発したミミさんの気持ちを、きいは代弁することができたのです。
髪飾りを受け取って世界に飛び立ったミミさんのように、
きいも母親の作った37号を頭に、新しい世界へと踏み出したアイドルでした。

今回、そらの悩みを解決するに当たり、きいが重大な役割を演じた理由はここにあります。

第55話では、きいのママと同じく、きいのことをかわいいと認めていたセイラが、
「そんなママは、きいに元気でかわいくいてもらいたいと思ってる」と、気持ちを代弁していました。
それに対して今回は、ミミさんと同じく、おしゃれの魔法にかかったことのあるきいが、
「ミミさんは新しい自分になりたいって思ったんだよ」と、気持ちを代弁するのです。
そうして互いに声をかけ合いながら、それぞれの「新しい世界」へと進んでいくのが、
ドリームアカデミーのアイドルたちであると言えるのではないでしょうか。



○関連記事

  今傍にいる友人として、アイドルとして (アイカツ!第五十五話)


テーマ:アイカツ!
ジャンル:アニメ・コミック

そらだけの「Bohemian Sky」という道 (アイカツ!第六十一話考察①)

2013.12.15 11:42|アイカツ!
COOL MODECOOL MODE
(2013/12/21)
STAR☆ANIS

商品詳細を見る

第61話「キラ・パタ・マジック☆」が放送されました。
風沢そら初登場の回であり、また久々に星座アピールが出た回でもありました。
どんどんレベルアップしていくステージの演出の中でも、
星座アピールが出る回の盛り上がりというのはいつも格別な気がします。
平時に結構ふわふわとしているそらの、あのかっこよさと言ったら!
ステージを何度も見返す中で、何度ため息をついたか知れません。

さて今回は、第61話について特に二点考えてみたいと思います。
一つ目はそらに、二つ目はきいに関連することです。
この記事では前者に関係する、次の問いを扱うことにします。
すなわちそらが選び取った、「Bohemian Sky」という道はどのような道であったのでしょうか。
この問いからスタートして、そらが提示したことを考えてみたいと思います。
長くなってしまうので、きいについてはまた別の機会に語ります。
もしよろしければ、少しの間お付き合いいただければ幸いです。



○『アイカツ!』第61話:そらだけの「Bohemian Sky」という道


今回の話の中で、そらに関連して気になったのは次の場面です。

「言われてみれば、どうしていいか、悩んでると思う。
 わたしはね、今まで作りたい服を自由に作ってきた。ほとんど趣味みたいにね。
 でも、ブランドを立ち上げたら、そうはいかなくなる。
 新しい衣装を定期的に発表する責任が生れる。
 例えアイディアがなくたって、作らないといけないよね。お仕事だから」
「アイドルが風邪を引いても、ステージに立たないといけないのと同じか」
「うん。それがわたしにできるかなって思うし、あとこの前二人のステージ見たんだけどね、
 スイングロックのプレミアムドレスを着たセイラは、すごくロックでかっこよかった。
 きいちゃんはマジカルトイのバラエティタイルコーデだったよね。
 きいちゃんのかわいいところが、すごくよく出てた」
「ありがとう」
デザイナーには、そういう風に衣装でアイドルの魅力を引き立てる責任もある。
 それができるかなってことも、考えちゃうかな」 (61話)


ここでそらは「自由」「責任」を問題にしています。
今まで「自由」に衣装を作ってきた自分が、デザイナーの「責任」に耐えられるのか。
これは『アイカツ!』全体のテーマに通じる問題であると思います。
「自由」と「責任」は、『アイカツ!』がこれまで描いてきた、
「楽しいアイカツ」「真剣なアイカツ」に繋がってくるからです。
けだし一年目では、前者をいちごが、後者を美月が特に体現しました。

すなわち、一方でアイカツは、アイドルたちが「自由」に、
やりたくてやっているからこそ、「楽しい」ものであり得ます。

そしてカツドウを楽しんでやるからこそ、アイドルはその中で最高に輝くことができます。
このことは例えば、いちごが第53話よりセイラに対して示してきたことでした。
そこでセイラは勝ったのにもかかわらず、いちごの方が「輝いていた」と評します。
それはいちごが「楽しい」と感じていたからに他なりません(第53話)。
前回ぽわぽわプリリンが提示したのも、そうしたアイカツの側面でした。
つまり、おとめのやりたいことこそアイカツであると明確に語られるのです(第60話)。

また、他方でアイカツは、アイドルたちが仕事として、
「責任」を持ってやらなければならないからこそ、「真剣な」ものであり得ます。

そしてカツドウに真剣に取り組むからこそ、アイドルはファンに応えることができます。
このことは例えば、美月が初登場より一貫して描き出しています。
彼女はトップアイドルとしての責任を意識して、誰よりも真剣にカツドウに取り組み、
その果実としての圧巻のパフォーマンスで常にファンを満足させてきました。
上の引用部でセイラの言っている、「風邪を引いても休まない」という「責任」を、
美月は作中で実際に果たしてみせたアイドルでもあります(第49話)。

このように、そらの言う「自由」と「責任」というのは、
アイカツの持つ二面性に対応していると考えることができます。
重要なのは、そのどちらかを肯定してみせるというわけではないことです。
楽しむことも真剣にやることも、「どちらも重要である」ということが、
いちごと美月、二人のアイドルによって提示されてきたことであると思います。

第61話でのそらの決断も、この延長で捉えることができます。
すなわち彼女は今回、「自由」を放棄したのでも、「責任」を拒否したのでもありません。
ブランドを立ち上げて、「責任」と向き合う立場を甘受しながらも、
その中で「自由」であろうとする道、
そらだけの「Bohemian Sky」という道を彼女は選び取るのです。

そこでは「自由」も「責任」も「どちらも」抱かれていると言えます。

結論として、第61話でそらが提示した「自由」「責任」という問題は、
アイカツの「楽しさ」「真剣さ」に対応していると考えることができます。
この二面性を、これまでとは異なった領域において改めて示して見せたのが、
「Bohemian Sky」を立ち上げた、そらというデザイナーであったのではないでしょうか。
彼女は誰かを衣装で元気にしたいという気持ちでもって、どちらも選んでいくのです。



  続き: きいだから代弁できること(アイカツ!第六十一話②)


テーマ:アイカツ!
ジャンル:アニメ・コミック

歌詞に注目して聴く『jewelries』 ――シンデレラガールズらしい恋愛ソング

2013.12.13 17:00|アイドルマスター
はじめに


今回は、祝!シンデレラガールズ二周年ということで、
彼女たちの歌う『jewelries! 001』シリーズについて考えます。
この作品は発売から既に二か月以上経過していますが、
出先で何度も聞くうちにふと色々と気付いたことがあったため、
二周年の記念に今こそそれをまとめてみたいと思うのです。

とりわけ注目するのは、三つの『jewelries 01』の先鋒を務めている、
『Nation Blue』『アタシポンコツアンドロイド』『Orange Sapphire』です。
これらの三曲の歌詞について考えてみて、気付いたことをまとめていきます。
それぞれ一曲だけでも色々と想像の膨らむ内容ではあるのですが、
三つ並べることで見えてくるものもあると思います。

例えば、この三曲はどれも恋愛と解せるような二人の関係を描いた作品です。
『Nation Blue』は「キミ」との関係、
『アタシポンコツアンドロイド』は「ご主人様」との関係、
『Orange Sapphire』は「あなた」との関係を描いています。
けれども、それぞれの具体的な内容は三曲三様です。
まずはそこに注目してみます。

また特に主張したいのは、この三曲が凛・卯月・未央の持ち歌である、
『Never say never』、『S(mile)ING!』、『ミツボシ☆☆★』の中で歌われているイメージに、
それぞれ近いものを表わしているのではないかということです。

このイメージの類似から、『jewelries』の先鋒三曲の持つ、
「シンデレラガールズらしさ」について考えることができると思います。
次にその点について論じていきます。

それでは、この三曲を今改めて鑑賞してみましょう。
もしよろしければCDを傍らに、少しの間お付き合いください。



①『Nation Blue』:「前を向く」イメージ


THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER Cool jewelries! 001THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER Cool jewelries! 001
(2013/09/25)
渋谷凛(CV:福原綾香)、高垣楓(CV:早見沙織) 他

商品詳細を見る

まず、クールの面々が歌う『Nation Blue』の歌詞に注目してみましょう。
この曲は終盤、三回目のサビよりただならぬ過去の転機を想像させます。

夢を追った 僕たちは それがそこにあると信じてた
青い光は 淡く 笑顔と涙映し

諦める事無く 前を向いて 自分信じてね
いつもキミを見てる


ここの「夢を追った 僕たちは それがそこにあると信じてた」という部分や、
「涙」という語から、何らかの誤算や挫折があったことを窺い知れるのです。
この曲は、そうした事件の「その後」の段階を描いたものであると考えられます。
かつて「キミ」と一緒に「夢を追った」であろう語り手の「僕」は、
今は「いつもキミを見てる」状態に留まっています。
何らかの出来事を通じて、「僕ら」の間に変化があったことが暗示されているのです。

けれども、その誤算や挫折が詳しく語られることはありません。
『Nation Blue』の強調点は、その転機ではなく「その後」の「僕」の願いの方です。
曲の中では、少しずつ言葉を変えながら、次のようなフレーズが繰り返されています。

あの日見た景色が 光るBlue Topazのように
今も輝いて 僕ら照らしてる
速く速く速く もっと走れるから信じてね
思う事の強さ それが最後のDestination


何かがあった「その後」、「キミ」に更に前に向かって行って欲しいという「僕」の願いが、
「速く速く速く もっと走れるから信じてね」という語りかけに見て取れます。
似通った「キミ」へのメッセージは、冒頭から末尾まで、五回に渡って繰り返されています。
ここで特徴的なのは、「キミ」の「前を向く姿」を願って終わっているところです。
その結果として「キミ」にどうなって欲しいのかということについては語られていません。
二人の「夢」の中身よりも、そこへ自信を持って駆けて行くことの方に力点があるのです。
この「前を向く姿」を強調しているという点が、凛の『Never say never』を想起させます。

愛に包まれて 気付いた いつも沢山の笑顔ありがとう
ずっと ずっと 真っすぐに 見つめて
振り返らず前を向くよ だけどいつまでも見守っててね
強く そう強く あの場所へ 走り出そう

どこまでも走ってゆくよ いつか辿り着けるその日まで


これは『Never say never』の最後の部分です。
ここでも、「前を向く姿」を描くところまでで終わっていることが確認できます。
同じように、「あの場所」の中身よりも、そこへ走っていく姿の方が強調されているのです。
それどころか、『Never say never』の歌詞には、
ところどころ『Nation Blue』と対応しているのではないかと取れる部分が存在しています注1
『Never say never』の「振り返らず前を向くよ だけどいつまでも見守っててね」に対する、
『Nation Blue』の「諦める事なく 前を向いて 自分信じてね いつもキミを見てる」などです。
片や「僕」の側からの歌、片や「キミ」の側からの歌として聞いてみても面白いかもしれません。

結論として『Nation Blue』は、二人の関係の「その後」とでも言うべきものを描いています。
またその中で強調される「前を向く姿」は、『Never say never』にも見出すことできます。



②『アタシポンコツアンドロイド』:「跳躍する」イメージ


THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER Cute jewelries! 001THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER Cute jewelries! 001
(2013/10/09)
島村卯月(CV:大橋彩香)、小日向美穂(CV:津田美波) 他

商品詳細を見る

次に、キュートの面々が歌う『アタシポンコツアンドロイド』の歌詞に注目します。
この曲は冒頭より、初めての恋愛感情であたふたと動揺するアンドロイドの姿を描いています。

どきどき 恋しちゃったの スキスキご主人様 ルン
セルロイド眼鏡がラブリー
家政婦 地味ドロイドが 恋してるなんてバカな
あなたは たぶん 気づかない


この「どきどき 恋しちゃったの」という箇所から、
この曲が家政婦のアンドロイドの恋の「はじまり」を描いた曲であることが分かります。
実際に、直後には「きゅんときた瞬間に 何かはじまったの」と続いています。
そしてここから一貫して、『アタシポンコツアンドロイド』は、
恋が始まったことによる心のドキドキを描き尽くしたものになっています。
かなりコミカルでありながら、どこか共感できる心の中の大騒ぎが印象的です。

この歌で注目すべき点は、言うまでもなく、
心情の語り手である「アンドロイド」の少女です。
曲中では、彼女に起こった急激な変化が、次のように言い表されています。

ニンゲンになっちゃったかも?(びっくり!)
ミラクル来るってこんなの?(ちゅるるるるるる)
今日からやっかいな恋する女の子なんです


恋を知ることのないはずの、ただの家政婦アンドロイド。
その彼女が「ミラクル」によって、恋の「はじまり」を初めて体験したときの変化が、
「今日からやっかいな恋する女の子なんです」という部分で象徴的に示されています。
こうして描かれているのは、アンドロイドから人間の少女へと「跳躍する姿」です。
この「跳躍する姿」は、卯月の『S(mile)ING!』を想起させます。
そこでも、一人の少女が瞬間的に「跳躍する姿」が扱われていました。

憧れてた場所を ただ遠くから見ていた

隣に並ぶ みんなは まぶしく きらめく ダイアモンド

スポットライトに Dive!
私らしさ 光る Voice!
聞いてほしいんだ おっきな夢とメロディ


これが『S(mile)ING!』の冒頭の部分です。
ここでも、アンドロイドが人間の少女へと跳躍していたのと同じように、
遠くから見ていた状態からみんなに歌を届ける今の状態へと跳躍していることが分かります。

この「跳躍する姿」というのは、ある意味で最も「シンデレラ」のイメージに合ったテーマと言えます。
シンデレラも、灰かぶりだった少女がお姫さまへと跳躍する物語であると考えられるためです。
『アタシポンコツアンドロイド』は三曲並べてみたときに、
かなりエッジが効いている、吹っ飛んだ曲であると思われがちですが、
そう考えてみると最も「シンデレラ」ガールズらしいと言えるのかもしれません。

結論として『アタシポンコツアンドロイド』は、恋の「はじまり」を描いています。
またその中で強調される「跳躍する姿」は、卯月の『S(mile)ING!』を彷彿とさせるものです。



③『Orange Sapphire』:「いっしょにいる」イメージ


THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER Passion jewelries! 001THE IDOLM@STER CINDERELLA MASTER Passion jewelries! 001
(2013/10/02)
本田未央(CV:原紗友里)、諸星きらり(CV:松嵜麗) 他

商品詳細を見る

最後に、パッションの面々が歌う『Orange Sapphire』の歌詞に注目します。
この曲は一貫して明るい雰囲気で「あなた」との関係を綴っていきます。

明日は何をしよう(cha cha cha)
明日はどこへ行こう?(cha cha cha)
やりたいことがありすぎてホント 困っちゃう

いっしょに 叶えちゃおう(cha cha cha)
全部ね、叶えちゃおう
その胸に たくさんのハッピー 感じてくれるかな?


弾けんばかりの「あなた」への気持ちが、こちらまで伝わってくるようです。
恋愛にまつわる心のてんてこまいを描いている点では、
『アタシポンコツアンドロイド』に似ているとも考えられますが、
「明日は何をしよう」という部分、「いっしょに 叶えちゃおう」という部分には、
既に「Mr.boy friend」との恋愛の「真っ最中」であることを感じられます。
少し前の「もうすこし シンデレラパワー 信じたいから」という箇所からも分かるように、
語り手は現在、夢のような日々の中にいるのです。

このように『Orange Sapphire』は、『アタシポンコツアンドロイド』とは種類の異なった、
恋愛による心の弾みを語っていると考えることができると思います。
曲の中で、最も特徴的な部分を以下に引用してみます。

いっしょにお花見しようね
いっしょに花火へ行こうね
いっしょにお月見しようね
いっしょにスキーにいこうね
いっぱいドキドキしようね
いっぱいワクワクしようね
いっぱい夢を見ようね

約束よ♪


「いっしょに」という言葉と、「~しようね」という呼びかけ。
二回目のサビの後のこの波状攻撃は、印象に残りやすい部分であると思います。
「あなた」と「いっしょに過ごしたい」という気持ちが率直に述べられています。
ここを初めとして曲中でずっと強調されているのは、誰かと「いっしょにいる姿」です。
この「いっしょにいること」の重視は、未央の『ミツボシ☆☆★』に繋がります。
その中でも誰かとの「繋がり」が象徴的な言葉とともに歌われていました。

燃やせ友情!パッションはミツボシ☆☆★

なやみゴト尽きない時代だ
そばにいてくれる友達に感謝

「どんな時も仲間がいるから」
なんて照れちゃう事
真顔で言えちゃう

夢に夢見た 大フライト
手をつないだら
大気圏突入も 怖くない


『ミツボシ☆☆★』の冒頭の部分です。
上に向かって行くに当たって、横の繋がりが大切であると描かれていることが、
「手をつないだら 大気圏突入も怖くない」という部分に表れています。
強調されるのは「友達」、「仲間」と並んで「いっしょにいる」ということです。
もちろん、恋愛と友情では全然異なると考えることもできるでしょう。
しかし、誰かと「いっしょにいる」ということを大切に思う語り手の気持ちに注目すれば、
『Orange Sapphire』と『ミツボシ☆☆★』の抱くイメージは似ていると捉えることができます。
隣にいる人を歌い、その人への気持ちを綴り上げるのがこれらの二曲なのです。

結論として『Orange Sapphire』は、恋愛の「真っ最中」を描いている曲です。
またその中で強調される「いっしょにいる姿」は、未央の『ミツボシ☆☆★』にも見出せます。



おわりに


さて、歌詞に改めて注目してみることで、三曲がそれぞれ、
二人の関係の「その後」、「はじまり」、「真っ最中」を描いているということが分かりました。
その意味で三曲は、三色それぞれの二人の関係を描いていると言えるように思います。

また、それぞれ「前を向く姿」「跳躍する姿」「いっしょにいる姿」を描いている点で、
どこか『Never say never』、『S(mile)ING!』、『ミツボシ☆☆★』に通じる内容になっていました。
ここから、三曲もまた、シンデレラガールズらしい曲であるということが改めて分かります。
というのも、その中で描かれる「前を向く姿」、「跳躍する姿」、「いっしょにいる姿」というのは、
これまでにも様々な形でシンデレラガールズのアイドルに託されてきたものだからです注2
例えば、先日完結したコミックスの『ニュージェネレーションズ』は、
凛・卯月・未央の、そうした三つの姿を描いたものではなかったでしょうか。

そういったテーマを、三曲は主に恋愛という領域において表現している。

三曲の「シンデレラガールズらしさ」は、この点にこそ見出すことができます。
『Nation Blue』、『アタシポンコツアンドロイド』、『Orange Sapphire』は、
他ならぬ「シンデレラガールズの歌う」、恋愛ソングであると言えるのです。



 注1 ちなみに、どちらも遠山明孝さんが関わっている曲です。
 注2 ゲーム中でどのように現れているかということについては、以前の記事を参照してください。



○関連記事


 凛・卯月・未央の持ち歌から考えるシンデレラガールズ ――新世代性、シンデレラ性、多様性
    ゲームシステムの話も交えつつ、シンデレラガールズについて考えました。
 『お願い! シンデレラ』から考えるシンデレラガールズ ――拡散するアイドル
    765プロのアイドルと比較しつつ、シンデレラガールズについて考えました。


テーマ:アイドルマスターシンデレラガールズ
ジャンル:ゲーム

お互いに、少しずつ変わって (吉田丸悠『きれいなあのこ』)

2013.12.07 15:04|百合作品
きれいなあのこ (ひらり、コミックス)きれいなあのこ (ひらり、コミックス)
(2013/11/30)
吉田丸 悠

商品詳細を見る


私のことバカだと思ってるくせに。

大切なあのこを泣かせてしまった。
グループは解散の危機――。
俊英が描き出す、生傷だらけのフツーのアイドル――。(帯より)


先月末ひらりコミックスから、吉田丸悠さんの『きれいなあのこ』が発売されました。
アイドルグループ「絶会」のメンバーである六人の少女たち、
そのそれぞれの人間模様を描いて見せた短編集です。
芸能活動にまつわる対抗心やコンプレックス、
かわいいと見られることへの執着などが、主なキーワードでしょうか。

単に百合作品として二人の関係を描いていくだけではなく、
そうした複雑な心情まで掘り下げて見せている作品と言えます。
感情が爆発する、ここぞという場面は鋭く胸を突きます(30、113、150ページ等)。

今回はその中でも表題作である「きれいなあのこ」に注目します。
この物語を紹介しながら、その内容について考えていきたいと思いますので、
未読の方も既読の方も、もしよろしければお付き合いください。



○『きれいなあのこ』:お互いに、少しずつ変わって


(1)感想を交えつつ「きれいなあのこ」あらすじ

まずは、「きれいなあのこ」の内容を軽く確認しておきましょう。
この短編は、アイドルグループ「絶会」に所属する真鈴と、そのクラスメイトの加代の物語です。
小さい頃から子役として芸能界にいたため、「処世術」(8ページ)ばかり上手くなった真鈴は、
ささいな事に感動し、またすぐに次のささいな事を見つける、清純な加代に惹かれていきます。
そしてあるとき真鈴は、その感覚を率直に加代に伝えます。

「一応「リアルJK」とか「天然清純派」とか
 そーゆー感じで売ってんだけどさ
 だからあんまりハデなおしゃれもできないし 彼氏とかも作れないし
 でもねーリアルJKだったら彼氏くらいいるよねえー?
 髪だって茶パとか金パにしちゃってさー
 だから「天然清純派」なんてクソくらえとか思ってたの
 でも谷本さんはそーゆーのとは違う気がする なんていうか……
 きれいな水とか 光とか 空気とか そんな感じ 谷本さんは私の理想なの
 谷本さん ずっとそのままでいてね……」 (14-16ページ)


けれども、真鈴は加代のいないところで、いつもの「処世術」を使ってしまいます。
すなわち、加代を「バカ」と言われて、一瞬言い返そうとするのですが、
すぐに思い直して「いい笑顔」で答えてしまうのです。
ここの真鈴が答える直前の一瞬間の描写が極めて秀逸です。
何かを言い返そうとしたのを引っ込めて、いつもの笑顔で肯定する。

それが真鈴の口の動きだけで分かるようになっています。

「あらー あなたここのお嬢さんのお友達?」
「あ はい……」
「昔っからあそこのお父さん問題あってねェ 前にも事件起こしたのよ
 娘さんもいい子なんだけどねェ
 ちょっと頭弱いっていうか おバカさんっていうか……あらやだ!」

……そうですね
「ねー家柄って学力に影響すんのねェ」 (22-23ページ)


けれども、このやり取りの一部始終は実は加代に聞かれていたのです。
加代が親戚の元へと引っ越していくまさにそのとき、
真鈴が加代の好きだったドラマの決め台詞で送り出した直後、加代は感情を爆発させます。
一度読んだ方には言うまでもないと思いますが、この場面は確実に胸に刺さります。
コマ送りでゆっくりと進む時間、真っ白な背景、その中で表情が全てを持っていくのです。
文章の引用では一割も良さが伝わらないので、是非実際に見てみて欲しいと思います。

「じゃあうち行くね! メールするね!」
「うん」
「また遊びに来るね!!」

「チェリーの下で会いましょう! あばよ!!」


あたしの事バカだと思ってるくせに!!」 (27-30ページ)


そのまま二人は別れてしまう。
加代は遠い東北の地へ、手紙に返信もありません。
そこからラストシーンに繋がるのですが、そこまでは書かないでおきましょう。


(2)お互いに、少しずつ変わって

それではここからは、「きれいなあのこ」という物語について私なりに考えていきます。
結末のネタバレも含みますので、是非一読した後にお読みください。
この短編は結局、どのような二人が、どうなっていく様を描いたものなのでしょう。

最初に、真鈴と加代は「そのままでは一緒にいられない二人」として提示されています。
長らく芸能界にあって世間を知りつくし、「処世術」に慣れてしまった真鈴と、
全然世間を知らず、小さなことに感動できる純粋な加代。
正反対の二人は、決して二人ともそのままで一緒にい続けることはできないのです。

そのことを痛烈に示したのが、上述の一連の事件です。
真鈴は加代が「バカ」と言われたときに、「処世術」で肯定してしまいました。
純粋な加代は純粋だからこそ、それを「処世術」に過ぎないとは考えられません。
真鈴の肯定を本心の肯定としてそのまま受け止めざるを得ないのです。
だからこそ、加代の「あたしの事バカだと思ってるくせに!!」に繋がります。
これは、二人の正反対の性質から引き起された、不可避の物別れだったと言えます。
真鈴は加代に「ずっとそのままでいてね」と言いましたが、
ずっとそのままでは二人は一緒にい続けることはできないのです。

そこで二人が選んだのは、お互いに少しずつ変わることでした。
物語の結びの部分を引用してみましょう。

四カ月後――

「ありがとうございましたー」
「やー木原さんはホントよく働いてくれるねぇ」
「いえ そんな事……」

「懐かしい?」
「いっ…いや そんなんじゃ」
「そんな気になんならまた事務所入りゃいいのにー」
……友達に謝っても謝りきれないような事をしてしまったので
 自分だけ悠々と夢を追うのはなんかいけないような気がして……
 別れてすぐ一度手紙を出した事があるんですけど返事がなくって……
 嫌われたってわかってましたけど」
「いやいやなかなかできる事じゃないよ 強くなったよ真鈴ちゃん」
「……オモテ掃除してきます」
「はーい」

「手紙読んだよ ごめんねあの時あんな事言っちゃって
 いやーあたしも子供だったからねえ!
 でもここしばらくでちょっとは世間を知ったから!
 ちょっとはず太くなったから…… だから……」

アイドルは泣かないの!
「……うん……」 (31-34ページ)


この場面に、二人の「変化」を見て取ることができます。
すなわち、加代は真鈴の「処世術」をそのまま受け止めてしまう原因となった、
「バカ」とすら解され得る純粋さを、「ちょっとは世間を知った」ことで変質させています。

また真鈴に関しては、最後の「アイドルは泣かないの!」と注意される箇所が示唆的です。
彼女は今や実際にアイドルではなく、またアイドルらしくもありません。
加代を傷つける原因となった「処世術」は、芸能界と結びついたものでしたが(8ページ)、
そこから引きあげたことで真鈴も変わったと考えることができます。

二人はそうして少しずつ変わることで、二人で歩いていく道を選んだのです。

結論として「きれいなあのこ」は、片や世間すれ、片や純粋という、
そのままでは一緒にいられない二人の関係を扱った物語であると言えます。
最終的に二人は少しずつ変わって、二人で「これから」(168ページ)へ向かっていきます。


テーマ:漫画の感想
ジャンル:アニメ・コミック

ぽわぽわプリリン三人の流儀 (アイカツ!第六十話考察)

2013.12.06 17:15|アイカツ!
アイカツ! 7(初回封入限定特典) DVDオリジナルデザイン アイカツ! カード マゼンダトリオワンピ トライスターハイヒール トライスターヘアコサージュ (トライスターコーデ3枚セット)アイカツ! 7(初回封入限定特典) DVDオリジナルデザイン アイカツ! カード マゼンダトリオワンピ トライスターハイヒール トライスターヘアコサージュ (トライスターコーデ3枚セット)
(2013/12/03)
諸星すみれ、田所あずさ 他

商品詳細を見る

第60話「ウワサのぽわプリ」が放送されました。
今回は、井津藻見輝(TKYディレクター)やまぐろなど、
これまでに登場した人物が多く再登場した点が見所の一つだったと思います。
特に次の場面は個人的になかなか感慨深い一場面でした。

「悪いね、ファッションショーはガラじゃなくてさ」
「そうですか」
「にしても、さくら変わったよな」
「え」
前は何事にも遠慮がちだったけど、段々積極的になってるっていうか
「それは、おとめさまのおかげだと思います」 (60話)


さくらとルームメイトである三輪皐月が話す場面ですね。
違う道を歩んでいるけれど、互いに相手を認めている感じが出ていて好きです。

さて、今回は第60話の内容を振り返りつつ、大きく分けて二つのことを扱います。
かえでというアイドルについてと、ぽわぽわプリリンの流儀についてです。
この二つが、物語の中で特に提示されていたと私は感じました。



○『アイカツ!』第60話:ぽわぽわプリリン三人の流儀


(1)かえでというアイドル:「誰かを楽しませたい」という気持ち

今回の話では、ぽわぽわプリリンの三人がピックアップされていましたが、
同時にかえでがどのようなアイドルであるかということも提示されていたように思います。
まずは象徴的である、次の本番前の場面に注目してみましょう。

「レディーズ、エーンド、ジェントルメーン!」
「ん?」
「ハーイ! しおんからの贈り物。
 一日限定ぽわぽわプリリンの、一ノ瀬かえでだよ!」 (60話)


ここにかえでのすごさが表れています。
かえでは段ボールから登場してくるわけですが、ここでかえでは、
スタッフを含めてもたった数人しかその場にはいないのにもかかわらず、
ああいう大がかりな「パフォーマンス」を何事もなくやって見せるんですよね。

「誰かを楽しませたい」という一心で。

初登場のときもかえではいちごたちに積極的に手品を見せていましたが、
そこから分かるのは、彼女には「表も裏もないこと」です。
ファンの目が集まる舞台の上だけではなく、練習場だろうが楽屋だろうが、
同じく「誰かを楽しませたい」という気持ちで以て、
平気で「パフォーマンス」してしまえるのが一ノ瀬かえでというアイドルであると言えます。


(2)ぽわぽわプリリン三人の流儀:個人の仕事もみんなでの仕事も

また今回の話では、「しおんのブッキング」という問題を通して、
ぽわぽわプリリン三人の流儀とでも言えるようなものが提示されていました。
それが「個人の仕事もみんなでの仕事も大事」ということです。
実際に劇中では、それぞれを大切にしようと振舞う三人の姿が描写されています。
それぞれを尊重しようとする意識が見出せる場面を引用してみましょう。

「さくらたん! ぽわプリの次の活動は、しおんたんの代役を探すことに決定でーす!」
「はい!」
「ごめん……」
だいじょーぶなのです!」 (60話)


しおんを快く送り出すおとめとさくらの姿に、
メンバーの個人の仕事もしっかり大事にしようとする意識を見出すことができます。
また他方で、個人の仕事に送り出されたしおんの方も、
みんなでの仕事を大切にしようとしています。

「もしもし」
「おとめちゃん、代役見つかった?」
「はい! まだ見つかってないですけど……」
「ええ!」
「でもでも、こっちは大丈夫なのです! しおんたんもお仕事頑張ってください」
「うん、ありがとう」

――代役がまだ決まってないなんて……。
 元はと言えばわたしのせい。何とかしないと……。(中略)


「あ! しおんたんからです! もしもし。
 しおんたん! おとめたちのステージ、見てくれましたか?」
「うん! みんな最高にぽわプリってた!」
「しおんさま、撮影でお忙しい中、代役まで見つけていただいて……」
そんなの当然! だってわたしもぽわプリだから!」 (60話)


個人の仕事に取り組んでいる合間に、常にぽわぽわプリリンのことを気にかけて、
おとめに電話をかけたり、果ては仕事の中で代役探しをやってのけたりするわけです。
ここに、みんなでの仕事もしっかり大事にしようという意識を見出すことができます。

ぽわぽわプリリンの三人は、個人としても活躍しているアイドルです。
第60話でも強調されているように、おとめはスターライトクイーンとして、
さくらは二年生のトップクラスとして、しおんは演技派女優として名を知られており、
それぞれに仕事をもらえる立場にあります。
だからこそ、個人の仕事とみんなでの仕事の間に緊張が生じ得ます。
個人の仕事によってみんなでの仕事に参加できないということが起こり得てしまうのです。

これが現実化したのが、「しおんのブッキング」でした。
三人はそういった現実を、個々の仕事を尊重しつつ、
みんなでの仕事を大切にすることで乗り越えていきます。

一方でしおんを快く送り出し、他方でユニットを思い、実際に行動するのです。
そこに表れている三人のスタンスこそ、第60話の主題ではないでしょうか。

すなわち、「個人の仕事もみんなでの仕事も大事にする」というスタンスです。
基本的にユニットの仕事を中心に活動していた、
トライスターやソレイユがあまり描かなかったことを、
ぽわぽわプリリンの三人は提示して見せたと言えます。

さらに、今回しおんはかえでという代役を立てましたが、
ぽわぽわプリリンはおとめとさくらとしおんの三人であってこそだということも、
物語の中で表現されていたと思います。

「というわけで、かえでちゃんもぽわプリに入ってみない? すっごく楽しいよ!」
「ぽわプリで代役? わたしが?」
「明日のファッションショーなんだけど……」
「なんやえらい急な話やなあ、いきなりで困るやろ、かえで」
「オーケー、やるよ」
「オーケーなんかい! ノリ良すぎるで、かえで」
「だってぽわプリ楽しそうだし、まぐろさん知ってる?
 ぽわぽわプリリン、がんばっプリーン!」 (60話)


おとめによって「ぽわぽわプリリンの活動」とされた、しおんの代役探し。
それは結局、おとめとさくらの二人だけでは完遂できず、
しおん自身の尽力もあって初めて、完遂することができました。

ここに、ぽわぽわプリリンの活動は、三人でなされるということが表れています。
自由に突き進むおとめに、突っ込み役のしおん、しっかりもののさくら。
個性がばらばらなこの三人が揃ってこそ、ぽわぽわプリリンは前に進むことができるのです。


テーマ:アイカツ!
ジャンル:アニメ・コミック

最大のライバルは最高の仲間 (アイカツ!第五十九話考察)

2013.12.02 16:58|アイカツ!
KIRA☆Power/オリジナルスター☆彡KIRA☆Power/オリジナルスター☆彡
(2013/10/23)
STAR☆ANIS

商品詳細を見る

第59話「ちょこっと解決☆チョコポップ探偵」が放送されました。
久々に演技を扱う回で、ステージこそなかったものの、
九人が演じる探偵劇は見応え十分だったと思います。
その中でまず気になったのは、セイラたちが合格した理由です。
何故二人が最終的に合格することになったのでしょう。

監督がセイラを褒め称える、次の場面がおそらくヒントになっています。

「それで、どんな依頼なんだ?」
「実はね、盗まれたチョコレートを探して欲しいんだ」
「盗まれたチョコ?」
「うん。チョコの本場、ベルギーの、伝説的なパティシエが作ったチョコレートが、
 日本に持って来られた途端に盗まれちゃってね。みんなにそれを探して欲しいんだ」
「うん!」
「わかった! あたしたちが絶対見つけるよ! まかせといて!」
「セイラちゃんいいねぇ~。積極的に役に入ってる!」 (59話)


ここで監督は、絶対見つけると言いきって見せるセイラを眺めて、
「積極的に役になり切っている」と評価しています。
この評価は、スワロウテイルのオーディションを受けた、第21話を思い出させます。
すなわち、第21話でいちごとおとめが怪盗役に選ばれたとき、
重視されていたものというのは「何かをしたいという気持ち」でした。
それを必要としている美月のために絶対カードを持ち帰りたい。
そういう気持ちは演技と割り切っていて、役に成り切れていないと出てこない。
だから劇中で、何としてでもカードを持ち帰ろうとした二人が合格したのです。

今回セイラも、いちごやおとめと同じことをしたと言えます。
すなわち引用部でセイラが見せているのは、探偵として、
依頼人のためにチョコを見つけ出したいという意志に他なりません。
これはカードを持ち帰りたいと考え、行動した二人と同じと考えられます。
こうした「気持ち」の重視が、セイラたちの合格の裏には見出せるのではないでしょうか。



○『アイカツ!』第59話:最大のライバルは最高の仲間


今回は、内容を確認しながら、そこで描き出されたテーマについて考えてみたいと思います。
特に注目するのは、九人での探偵劇と、いちごとセイラの掛け合いの二つです。
ここから、第59話のテーマについて、考えてみましょう。

まず、九人での探偵劇が特徴的なのは、それが「みんなで作り上げた作品」であり、
かつ「オーディション」でもあったということです。
正確にはかえでは会議には出席していませんでしたが、
探偵劇はそれぞれが智恵を出し合った結果できあがった作品でもあるという点で、
これまでのオーディションとは一線を画するものとして現れています。

そして九人での劇が「みんなで作り上げた作品」でもあり、「オーディション」でもあったことは、
九人が「仲間」でもあり「ライバル」でもあるという、これまでに強調されてきたテーマと関係します。
つまり、九人は「仲間」として「一つの作品」を一緒に作り上げた一方、
「ライバル」として「オーディション」の中で競っていました。
「みんなで作り上げた一つの作品」でもあり「オーディション」でもあるという、
探偵劇の二重の意味は、アイドルたちの二つの関係にそのまま対応していたのです。

次に、そうした二重の意味を持った「九人の探偵劇」の後に、いちごとセイラの掛け合いが続きます。

「今日は、わたしがドならセイラちゃんがレだったね
「ふふっ、楽しかった! また一緒にオーディション受けよう!」
「うん! ちょこちょこっとね!」 (59話)


この場面は、いちごとセイラが対峙した第53話と対比的です。
いちごとセイラがライバルとして競った後に、次のような場面がありました。

「音城セイラちゃんが星宮いちごちゃんを上回った~!」
「うう~、負けちゃった! でも気持ちよかった~。楽しかったね、セイラちゃん!

「おつかれおつかれ~! よかったよセイラ! いちごちゃんに勝ったね!」
「本当に勝ったのか? なんだか、勝った気がしない。
 あたしの音より星宮いちごの音の方が弾んでた。
 キラキラ光ってて。だからあたし、勝ってない……」 (53話)


勝ったのにもやもやしていた第53話と、勝って「楽しかった」と言えた第59話。
この対比で、基本的にはセイラの成長が浮き彫りにされています。
いちごたちと一緒に活動することを通して、セイラは「楽しむ」ことの重要性を学び、
自ら「楽しかった」と言うことで、かつて感じていたもやもやに決着をつけたのです。

とりわけ第58話では、いちごたちから直接「楽しむ」ことの重要性を教示されています。

ただ、この場面で重要なのは、いちごもセイラの考え方を吸収していることです。
いちごも、「あなたがドならわたしはレ」を目指す姿勢をセイラから改めて学んでいます。
第59話の先の場面に見出せるのは、いちごからセイラへの一方的な影響ではなく、
彼女たち二人の相互の影響であったと言えます。

そしてこの場面も、「仲間」でもあることと「ライバル」でもあることに繋がっています。
つまり、二人は「ライバル」としてお互いに「レ」たろうとする一方で、
「仲間」として活動を一緒に「楽しむ」のだということが表れているのです。

いちごとセイラの掛け合いを通じて提示されるのは、
「競う」アイカツと「楽しむ」アイカツの並立であり、
またそれと対応する、「ライバル」であることと「仲間」であることの並立であったと言えます。

結論として第59話は、二重の意味を持つ探偵劇や、いちごとセイラの掛け合いにより、
いちごたちが「仲間」でもあり「ライバル」でもあることを改めて提示しています。
これまではどちらかと言えば、「仲間」の側面が強調されてきましたが、
ここにきて「仲間」でもあり「ライバル」でもあることが改めて確認されているのです。
最大のライバルは最高の仲間でもあり、最高の仲間は最大のライバルでもある。
それが第59話のテーマであったと言えるのではないでしょうか。


テーマ:アイカツ!
ジャンル:アニメ・コミック

プロフィール

天秤

Author:天秤
天秤と申します。
アニメや漫画など、好きなものについて考えたことを書き込みます。
よろしくお願いいたします。

カレンダー

11 | 2013/12 | 01
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

カテゴリ

最新記事

最近のつぶやき

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

アクセスカウンター

全記事表示リンク

全ての記事を表示する

RSSリンクの表示

リンク

QRコード

QR

  • ページトップへ
  • ホームへ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。