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学校祭での二つの「異文化交流」 (きんいろモザイク:第八話感想)

2013.08.29 18:34|きんいろモザイク
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アニメは第八話「きょうはなんの日?」が放送されました。
というわけで、学校祭のお話です!
実は私は原作でこの話がかなり好きだったりします。
最後のカレンの劇の何とも言えない感じが好きなんですよね。
アニメ化が決定した頃から、どのようになるのか楽しみにしていました。

今回の話で、印象深かったのは以下の場面です。
勇とその友人・白川湊が忍たちのクラスへとやってきます。

「ふふ いるいる~
 私的には 綾ちゃんは和服で陽子ちゃんはメイドなんだけどなあ」
「あんた怪しいよ!」
「綾ちゃん あーやちゃん!」

「よ 陽子…!」
「もう! 私がびしっと言ってくる!」

「あの~ 撮影の方はちょっと… あっ! 勇姉!」
「じゃーん」 (8話)


ここで勇は、いきなり綾と陽子にカメラを向けて注意されています。
忍と勇は、対照的な姉妹として描かれることも多いですが、
こういう場面を見ると、似たもの姉妹であると感じますよね。
実際、勇の妹たちへの熱意は、忍の金髪少女への熱意に通じるところがあります。
今回は勇が「忍たちのお姉さん」として改めて現れていて、とてもよかったと思います。



○学校祭での二つの異文化交流:カフェ処「和洋折衷」と、劇「白雪姫」


さて、今回は「異文化交流」というテーマに注目してみましょう。
確認するまでもないことかも知れませんが、
「異文化交流」は、『きんいろモザイク』のテーマの一つと言えます。
実際にこの物語は、忍とアリスの異文化交流から始まるのです。
学校祭の話では、その「異文化交流」というテーマが、改めて強調されていました。

「私達のクラスの出し物は喫茶店
 今のところメイド喫茶か甘味処で意見が分かれているわ 二人はどっちがいい?」
「甘味処!」「メイド喫茶!」
「え?」 (中略)

「だったら二つ混ぜちゃおうよ まさしく異文化交流!
「良いですね それなら二人共納得です」 (8話、2巻10-11ページ)


その結果、忍たちのB組はメイド喫茶と甘味処を掛け合わせた、
カフェ処「和洋折衷」を学校祭の出し物として選ぶことになります。
ティーカップに日本茶、湯呑みにコーヒー、ケーキにあんこ、お団子にチョコレート――
まさしく「異文化交流」というテーマに拘った出し物になっています。
また次の場面は、アリスが馴染み始めた頃を思い出させるものです。

「アリスたち お客さん来るから準備して!」
「はーい」
「はい!」
「いらっしゃいませ!」
「あれ? 大人の人たちが来てるよ」
「一般のお客さんですよ」

「いらっしゃいませ お好きな席へどうぞ」
「イラッシャイマセー 日本語むずかしいネ」 (8話、2巻13ページ)


このように、最初は緊張して片言が出ていたアリスですが、
最後には流暢な「ありがとうございました」で客を見送れるようになります。
客との交流の中で、アリスが次第に打ち解けていく姿が描かれているのです。

ところで、学校祭の光景の中には、もう一つ「異文化交流」を見出すことができます。
カレンの所属するA組の出し物である、劇「白雪姫」です。
ベタな題材でありながら、その内容はかなり特殊なものになっています。

「白雪姫が…」
「死んじゃったー」

「またれい 私がその者の魔を断ち切ってしんぜよう!
 は――っ やあっ! ツマらぬものを切ってシマッタ ゼヨ」 (8話、2巻16ページ)


この劇の展開は唐突でかなりシュールですが、
よく考えてみると白雪姫と時代劇を折混合したものになっています。
A組でも、B組と同様に「異文化交流」が行われているのです。
A組がその選択肢を取るまでの過程は描かれていませんが、
白雪姫と時代劇でもめて、折衷案を取ったことが考えられます。
過程がないので何とも言えない感じになっているのですが、
劇「白雪姫」は、学校祭でのもう一つの「異文化交流」であったと言えるでしょう。

kinniro14.png
 (白雪姫の物語の中に突如登場する侍・カレン)

ちょうど前回、A組の光景も作品を構成する要素の一つであると述べましたが、
今回の話では、A組の生徒も忍たちと同様の日常を送っていることが仄めかされています。
クラスごとで進む話であったため、カレンの登場機会は少なめでしたが、
彼女は忍たちの過ごす日常の裏で、別の日常を過ごしていたのです。

そこにも作品のテーマである「異文化交流」を見出すことができます。

結論として、カフェ処「和洋折衷」も劇「白雪姫」も、
「異文化交流」というテーマを抱えるものであると言えます。
学校祭の話は、「二つの異文化交流」を描いたものであったのです。


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テーマ:きんいろモザイク
ジャンル:アニメ・コミック

カレンの過ごすもう一つの日常 (きんいろモザイク:第七話感想)

2013.08.21 17:35|きんいろモザイク
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初見のとき、忍はブーケか何かを持っているのかと思いました。

さて、アニメは後半戦が始まり、七話「はらぺこカレン」が放送されました。
前回夏休みが終わったということもあり、今回は「秋」全開な回です。
忍とアリスの行ったスーパーでは、葡萄や柿が既に売りに出されていました。
内容も、音楽、スポーツ、食欲、勉強と、何となく秋を連想させる話がまとめられています。
七話は前回からの流れを引き継いで、秋であることを押し出した回と言えるでしょう。

中でも思わずくすりときてしまったのは次の場面です。
カレンがクラスメイトからもらった食糧をどっさり持ってくるところですね。

「カレン…何か日本に来て太った…?」
「エ‼ そ…そんなバカナ!?」
「毎日それだけ食べれば太るよ~」
「カレン これを」
「What?」

 食べ物を与えないでください☆ (7話、2巻27ページ)


この後の沈黙とフェードアウト。
その間(ま)が堪らなくて、非常に秀逸だったと思います。
場面を変えるのであれば、いつものようにカットインでもよかったはずです。
しかしそうではなくて、ここでは敢えて無音から滑らかに次の場面へ移行しています。
そしてこの音のない一瞬、忍の「食べ物を与えないでください☆」が迫ってくる気がするのです。
私は耐えられず、原作で知っているネタなのにもかかわらず、少し笑ってしまいました。
これまでカットインが印象的だっただけに、けだし上手く不意打ちになっていました。
もし見直す機会があれば、この「間」に注目してみると結構面白いと思います。



○五人の裏側に見えるA組の光景:カレンの過ごすもう一つの日常


今回は、カレンに注目してみたいと思います。
特に忍がテストに向けて頑張る話で、カレンが如何に動いていたかを見てみましょう。
一言で言って、この中でカレンは話にあまり入ってきません。
図書室で五人で勉強する場面やテスト当日の登校の場面で、
カレンの姿は認められますが、四人の輪の中に入っていない印象を受けます。
テスト当日の登校の場面を引用してみます。

「ハロー グッバイ ケセラセラ」
「だ… 大丈夫か?」
「勉強の成果を見せるときが来たのよ!」
「頑張ってシノ!」
「……… ジュテーム」
「フランス語… だと…?」
「これは期待できない!」 (7話、2巻88ページ)


重要なのは、ここでカレンだけ今一話に付いていっていないことです。
陽子や綾が忍に対してツッコミを入れる中、カレンは疑問符を浮かべています。

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 (おそらくちょっとよく分かっていないカレン:7話)

カレンは忍が勉強すると決意した場面には立ち合い、
忍の変化に驚愕していましたが、ここではちょっと四人に付いていけていません。
アニメを見たとき、ここのカレンの立ち位置に非常に目を引かれました。
彼女はまるで「外部」の人間であるかのように、よく分かっていません。

カレンはテスト終了後でも外部として扱われています。
すなわち、真っ白に燃え尽きた忍に対して三人が声をかける場面でカレンは登場せず、
ただその後の「数日後」のカットインに使われるのみなのです。

kinniro13.png
 (この直前、カレンはクラスが別なので入ってこない:7話)

このように、忍が勉強を頑張る話において、カレンは外部として強調されています。
問題は、この強調が行われた理由をどう読むかということですが、
私は最後の四コマに繋げるために行われたと読みたいと思います。
そこではカレンと、カレンの隣の席の女の子、松原穂乃花の会話が描かれます。

「テスト期間中は教室でお勉強しよう」
「えーっ となりのクラス行くのだめデスか~?」
「おとなしくできたらチョコあげる」
「私 勉強するデス‼」
――このかんじ… (7話)


ここで、忍が覚醒して頑張っている裏側で、
A組でも「別の物語」が展開していたことが示されています。
これこそカレンが外部として描かれていた理由であると思います。
つまり、彼女はA組の生徒であり、試験期間は穂乃花に教室に留められていたからこそ、
少し話に付いていけない場面や、話に入ってこない場面が出て来ているのです。

原作の時点でも、A組でのカレンの姿を通して、
五人の間だけではなく、A組にも日常があることが時々提示されます。
例えば、今回の話で言えば、カレンが食べ物をもらう話はA組の日常を見せてくれます。

「お昼 お昼~♪ おじゃまするデス!」
「そういえばカレンって いつも来るの遅いよね 何してるのー?」
クラスの子達とお弁当食べてから来てるノデ!」 (7話、2巻26ページ)


単に五人での日常があるだけではなくて、
A組にも同様に別の日常があることを、ここは分かりやすく示しています。
カレンは五人での日常の他に、A組での日常も持っているのです。
アニメでは忍が勉強を頑張る話において、カレンが外部として現れているので、
この事実がより明確になっていると考えられます。

ご存知のように、『きんいろモザイク』は基本的に五人の関係を描いていく物語です。
しかし、それなのにカレンは別のクラスに位置づけられました。
ただ五人を描くだけであれば、一緒のクラスでもよかったはずです。
今回の話は、そのことの意味を明らかにしていると思います。
五人での日常とは異なる、「カレンの過ごすもう一つの日常」
それも『きんいろモザイク』を構成する、重要な部分の一つなのです。


テーマ:きんいろモザイク
ジャンル:アニメ・コミック

五人の時間の中の二人の時間 (きんいろモザイク:第六話感想)

2013.08.13 01:13|きんいろモザイク
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アニメ六話「金のアリス、金のカレン」が放送されました。
山登りに夏祭りと、休み中のイベントが印象的な回であったのにもかかわらず、
敢えて間に挿入された短い部分をタイトルに持ってくる辺り興味深いですよね。
「金のオノ、銀のオノ」を基にした、二巻表紙裏の小ネタです。

「アリス! カレン! ああどうしましょう! 二人が… 二人が…!」
「あなたが落としたのは 金のアリスですか? 金のカレンですか?」
「そんな! 私には選べませんっ とても選べない…!」

――何だこれ… (6話、2巻表紙裏)


特に説明もない唐突な展開で本当に「何だこれ…」なのですが、
こうした突拍子もない、結構シュールですらあるネタは、
個人的には『きんいろモザイク』のもう一つの見所であると思うんですよね。

忍たちの暖かな関係と、柔らかい日常の裏にある、もう一つの魅力。
それが時折ぶっこまれる、こうしたネタなのではないかと思います。

kinniro11.png
 (説明も何もなく挿入される金のアリス、金のカレン:6話)

例えば他には、アニメでも使われた話だと、アリスが陽子に腕相撲を挑む話があります。
何故か熊と出会ったときに戦えるようになりたいと考えたアリスが、
その練習を兼ねて腕相撲を挑み、陽子の厚意で勝利する話です(5話、2巻67ページ)。
これにも何故アリスが急にそういうことを考えたのかという説明が全くありません。
ゆえに、その後で戦うときの構えを披露するアリスの姿は特にシュールに映ります。

こうした唐突な展開は、その唐突さゆえに、物語の中に組み込み難いものです。
四コマ漫画という媒体だからこそで映えるネタとも言えるかも知れません。
そのため、アニメは原作を基に物語を編む際に、ここを端折ることもできたと思います。
六話で言えば、山登りと夏祭りの話だけでも問題なく進めることができたはずなのです。
それなのにアニメはそこを使わないどころか、タイトルをそこから持ってきました。
この辺りに、四コマだからできるような突拍子のないネタも含めて、
『きんいろモザイク』であるというアニメの立場を見ることができる気がします。
事実、アニメはカットインを多用し、「四コマらしさ」に拘っている嫌いがあります。

そのように考えると、六話のタイトルも意味のあるものとして見えてくるように思います。



○「五人の時間の中の」二人の時間:作中で両立する二つの関係


今回は五人が夏休みを過ごす中で、他の三人にもちょっと踏み込めないような、
誰かと誰かの「二人の時間」が描かれていたことに注目してみたいと思います。
特に分かりやすかったので、後半の五人で夏祭りに行く話を見てみましょう。
この話の中では、陽子と綾、忍とアリスの「二人の時間」が存在しています。
夏祭りが一段落したところで、最後に全員で花火をする場面です。

「綾ー」
「どこ行ってたの? 花火やらないの?」
「はい」

「いつから痛かったんだ?」
「駅で待ち合わせしてるとき」
「最初かよ! 何で言わなかったんだ?」
「だって… 水差したくなかったし… うっ!」
「ほっといたから沁みるの 次からはちゃんと言うこと!」
「分かったから!」 (6話)


ここで陽子と綾は、「二人の時間」を過ごしています。
それは他の三人ですら、ちょっと入り込むのが難しい時間です。
綾の異変に気付けたのが陽子だけだったという部分に、二人の特別な関係が見出せます。
この場面のすぐ後には、忍とアリスの時間が現れています。

「しの お祭り連れて行ってくれてありがとう!」
「どうでした?」
「すっごく楽しかったよ!」
「私も今までで一番楽しかったです!」
「そうなの? いつもと違った?」
「うーん… 強いて言えば アリスと一緒だったからかも知れません
「しの…! あっ…」
「終わってしまいましたね」
「…夏終わっちゃうね」
「まだまだ花火はいっぱいありますよ」
「うん!」 (6話)


線香花火をしながらする会話は、二人だからこそできる会話です。
山登りの話では、アリスが忍を特に意識していたことが窺えますが、
ここでは忍が、特にアリスを意識していることが分かります。

これもやはり、ちょっと踏み込むのに躊躇するような二人の時間と言えます。

kinniro10.png
 (線香花火をしながら語り合う忍とアリス:6話)

重要なのは、こうした二人の時間が「五人の時間の中に」現れていることです。
「五人の時間の外に」こうした二人の時間は作られるわけではない。

例えば恋愛のように、ある二人の特別な関係がある場合、
それとその他の関係は別々に考えられる傾向にあります。
分かりやすく言えば、例えば仲のいい五人のうちの二人が付き合い出した場合、
一般的に二人の時間は「五人の時間の外に」作られることになります。
そして、五人の関係と二人の関係は別々に考えられるようになり、
大抵二人の関係、二人の時間の方が優位にあると考えられ、優先されます。
特別な関係が存在するゆえに、五人の関係の相対的な価値は下がります。

そうしたことが、『きんいろモザイク』においてはほとんど起こりません。
つまり、陽子と綾、忍とアリスは、それぞれ「二人の時間」を時に作りますが、
それは「五人の時間」と完全に区別されず、「五人の時間の中に」作られるのです。

例えばアリスは特に忍のことが大好きで、時にカレンに対抗意識を燃やしますが、
だからと言って、五人の時間よりも二人の時間を選ぶということはしません。
そもそもその二つに明確な分離がないことが、作品の特徴と言えます。
五人の関係と二人の関係が、彼女たちの中では対抗せず、両立しているのです。

「五人の時間の中に」現れる二人の時間。
それを『きんいろモザイク』の一つの特長として、考えることができるように思います。
山登りも夏祭りも、途中で誰かと誰かの二人の時間を描きながら、
最後は五人でびしょぬれになったり、打ち上げ花火で騒いだりして終わるのです。


テーマ:きんいろモザイク
ジャンル:アニメ・コミック

二人の「おねえちゃん」の物語 (きんいろモザイク:第五話感想)

2013.08.06 19:10|きんいろモザイク
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アニメの主題歌CDが発売されています。
エンディングの『Your Voice』はカバー曲ですが、敢えてこの曲を選んだのは、
アニメが五人の関係の中に一種の「愛」を見出しているからではないかと思います。
歌詞に耳を傾けてみると、「君」と「僕」の「愛」を歌っているわけですが、
忍たち五人が歌っても不思議なくらいマッチするんですよね。

さて、アニメは五話「おねえちゃんといっしょ」が放送されました。
タイトルから分かるように、「二人のおねえちゃん」が活躍する話でした。
忍の姉である勇と、まだ未登場ですが空太と美月の姉である陽子です。
今回は特に陽子に着目して、五話を観賞してみようと思います。



○「おねえちゃん」から「いもうと」への陽子の反転


五話では全体として、陽子の面倒見の良さが分かるエピソードがまとめられていました。
忍、アリス、カレン、綾それぞれに対して、陽子は姉のように振る舞っています。
それぞれについて確認してみましょう。
まず忍に関しては、小学校でのエピソードが顕著です。

「忍ちゃん何してるの?」
「お姉ちゃんを探していまして」
「いねーよ そこには!!」

「迷子になってたのか しょうがないなぁ」 (5話、3巻42ページ)


ここで陽子は自ら声をかけて、迷子の忍を助けてあげます。
そして勇に忍をまかされ、「お姉さんの代わりに私が守らないと」と決意するのです。
カレンの言う通り、「姉御肌」な陽子の姿がそこには見出せます。

kinniro08.png
 (自分が忍を守ろうと決意する陽子)

次にアリスに関しては、挿入された腕相撲のシーンがあります。

「ヨーコ! 腕相撲で勝負だよ」
「アリスと?」
「レディーゴー! ん~っ はいっ! 勝った… 勝ったー!!」
「わ~ 負けた~」 (5話、2巻67ページ)


ここはアリスのけなげさを表わす場面でもありますが、
敢えて負けてあげるというところに、陽子の面倒見の良さを見出すことができます。
頑張るアリスに向ける眼差しは、妹を見守る姉のものに近いのではないでしょうか。

そしてカレンに関しては、陽子は書類運びを手伝ってあげます。
カレンは手伝ってくれた陽子を次のように評価しています。

「ヨーコはここぞという時に助けてくれる なくてはならない人デス!」
「それはどーも」
「いつもはひっそり微笑んでいるケド ちゃんと私達の話を聞いてくれてて
 暗い夜道で出会えたら それだけでホッとできる
 そう! まるでコンビニのような存在…」 (5話、2巻46ページ)


いつもみんなのことを見守っていて、困っているとさっと助けてくれる、
「なくてはならない人」こそ、カレンにとっての陽子なのです。
ここでも陽子の面倒見の良さ、姉御肌なところを垣間見ることができます。
カレンの言葉を借りれば、彼女の半分は「やさしさ」でできているのです。

最後に綾に関しては、身体を気遣ってあげるシーンがあります。

「綾 具合悪いの?」
「ちょっと風邪っぽくて…」
「大丈夫? 熱は?」
「ね… 熱が上がったらどうするのよ!!」
「えぇー!!」

「ほらー マスク付けてなよ」
「あ…ありがと」 (5話、2巻48ページ)


ここでも陽子は、綾の不調に真っ先に気付いて面倒を見てあげています。
しかも少し後の場面で綾に再度確認する徹底ぶりです。
彼女が本当に心配して、気遣ってあげていることが分かります。

以上のように、陽子は他の四人に対して、姉のように振る舞っています。
注目すべきなのは、原作では結構ばらばらであった、
陽子の面倒見の良さが分かるエピソードが集められていることです。

これにより、「おねえちゃん」としての陽子が強調されています。


しかし、ここで終わらないのが『きんいろモザイク』五話です。


というのもこの直後、今度は陽子が妹として強調されます。
つまり、勇に対して妹として振る舞う陽子が描かれるのです。
それは、「おねえちゃん」としての勇を改めて強調し直すということでもあります。

「でも私は長女だから本当は姉ちゃんに憧れるなー 弟も妹もかわいいけどさー」
「ヨーコはイサミのこと勇姉って呼ぶよね」
「うん! まあね」

「陽子ちゃんも妹みたいなものよ かわいいわ」
「ほんと?」
「うん かわいいわ」
「じゃー 勇姉って呼んでいい?」
「もちろん!」
「勇姉!」

「今 何時?」
「え~っとねぇ 十二時五十五分」
「あんたシスコン度上がってない…?」
「そうかな?」 (5話、3巻45ページ)


kinniro09.png
 (勇の妹として頭を撫でられる陽子)

ここでこれまで散々「おねえちゃん」としての姿を描かれてきた陽子が、
くるっと妹の側に回っていることが分かります。
それによって最終的には、勇が「みんなのおねえちゃん」として強調され直すのです。
五話の最後に、写真に写りたがらなかった綾以外の四人が、
勇が覗く携帯電話の画面に順々に映し出されていくことは象徴的です。

勇にとってはみんな大切な妹たちであることが示されています。

結論として、五話はとりわけ勇と陽子を描いて見せた話でした。
途中までは「おねえちゃん」として陽子が強調されていましたが、
最後で彼女がみんなと同じく「いもうと」の側に回ることで、
最終的には勇が「おねえちゃん」として再び現れてくることになります。
五話は「二人のおねえちゃん」の物語であったと言えるでしょう。


テーマ:きんいろモザイク
ジャンル:アニメ・コミック

友達がいるから踏み出せた一歩 (乙ひより『お友達からはじめましょう。1』)

2013.08.03 16:27|その他の漫画
お友達からはじめましょう。 1巻 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)お友達からはじめましょう。 1巻 (IDコミックス ZERO-SUMコミックス)
(2013/07/25)
乙 ひより

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高校生になったんだから、一緒に笑って、一緒に泣ける、友達が欲しい。

 この娘と 友達になりたい  (1巻帯)


乙ひよりさんの連載の単行本が、先日ついに発売されました。
タイトルから分かるように「友達」をテーマにした作品です。
不器用美人の姉・明(あきら)と、元運動バカの弟・遥(はるか)が、
友達と過ごすハイスクールライフをまったりと描いています。

特徴的なのは、明と遥の物語が並行して進んでいくという点です。
二人の物語はほとんど重なることなく独立していて、
それぞれ別のところで展開していきます。
学校での出来事をお互いに話すということはありますが、
二人の物語が交わるということは今のところありません。
いわば、一つの作品で二つの物語を読むことができるのです。
ガール・ミーツ・ガールの物語と、ボーイ・ミーツ・ボーイの物語。

今回は、この作品の紹介も兼ねて、一巻のテーマについて考えていきます。
上述した通り、明の物語と遥の物語はそれぞれ別々に進んでいきますが、
一巻の時点ではほとんど同じテーマを抱えていたように思います。
すなわち、「二人が過去と決着をつけて先に進んでいく」というテーマです。
明も遥も、高校での「お友達」との関わりを通して、一応は前進していくことになります。
具体的に作品の表現を見ながら、この部分を確認してみましょう。



○友達がいるから踏み出せた一歩:高校での新たな日々へ


まず、明の物語から確認していきます。
明は、かつて些細なことで友達から無視されたことが一つの傷となっていました。

突然無視された

「え ちょっ まき?」
「あーっ ほっときな! ほら まきの好きな佐藤がさ
 あんたのこと好きみたいなんだよ まー しっとだわなー」

変なの… 私は佐藤なんかより まきのほうがずっと好きなのに…
結局まきとは卒業まで話すことはなかった…

――うっとおしい
髪 切ろうかな……

高校はとにかくまきと違う学校ならどこでもよかった…
特に夢も希望もない春  (1巻7-10ページ)


まきとの関係の破綻のために明は傷つき、長かった髪も切ってしまいます。
そしてそのほの暗い気持ちのままで、高校へと進学することになるのです。
ここで注目すべきなのは、「短い髪」が明の過去の傷を象徴しているということです。
まきとの関係が壊れたから、明は自身の髪を切るに至りました。
ゆえに、彼女の短い髪は、間接的に彼女の過去を示していると言えます。

このように暗い気持ちで進学した明ですが、千鶴(ちづる)との出会いが転機になります。
常に自分らしく、はっきりとものを言う千鶴は、明にとって魅力的でした。
明はなかなか千鶴に話しかけられませんでしたが、期せずしてその機会を得ます。

「仲良くなりたいのよね?」
「そっ そう!」
「…… 断る!」

「なんで? 別にいいじゃない」
「だって こいつ隣にいたらチビが目立つじゃん!」
「まー ちづちゃん 心までちっちゃくなっちゃったのね…」
「うっ うっせー! 嫌なもんは嫌なんだ!!」

「ごめんね ちづちゃん口以外は悪い子じゃないんだけど…」
「あっ いや… 大丈夫です ちょっとショックだったけど…」

「はっきりしてていい…」
無視されるよりずっといい…  (1巻39-41ページ)


この後、明は千鶴や、彼女の友達であるあみと仲を深めていきます。
そして、彼女たちとの関わりの中で、明は過去から一歩踏み出すことになるのです。
明は家に帰ってから、遥との会話の中で以下のように述べています。

「めずらしーよなー アキが俺より帰り遅いの」
「うん ……」
「何かあった?」
「別に… 何もないけど… また髪伸ばそうかなー
「おっ 何? 好きな人でもできた?」

好きな人…

「なのかな~?」 (1巻63-64ページ)


ここで明が「髪伸ばそうかなー」と言っていることが重要です。
これは明が過去と一応の決着を付けて、先へ進み始めたことを暗示しています。
先述の通り、明は友人との関係が壊れたことを契機に髪を切りました。
それを改めて「伸ばそうかなー」と考えているということは、
過去のことを引きずって、ほの暗い気持ちでいる状態から抜け出て、
これからに向けて一歩踏み出したことを象徴していると読めます。
その一歩は、千鶴たちがいたからこそ踏み出せた一歩です。
以上のように、一巻では明が千鶴たちとの出会いを通して、
過去と一応は決別し、新しい日々を過ごし始めるまでを描いています。



次に、遥の物語を確認してみましょう。
遥はサッカー少年でしたが、事故により運動全般ができなくなってしまいます。

朝起きてサッカーして授業中寝て
昼休みサッカーして授業中寝て
放課後サッカーして帰って寝る日々

あの時までは…

それから
ドラマで何回か聞いたことあるあの言葉を聞いて

「リハビリすれば普段の生活に支障はありませんが残念ながら運動は…」

暇だから勉強しまくったら進学校に受かってしまった。 (1巻67-68ページ)


遥は全く気にしていないかのように振る舞いますが、
内心ではサッカーができなくなったことに大きなショックを受けていました。
その抑え込まれた気持ちは、再会したくなかったかつてのサッカー仲間、
隼(はやと)を前にしてある時ついに爆発します。

「お前さー なんなの? なんでいちいち俺の気分下げんの?」
「… …無理してるから…?」
「無理しちゃいけないのか?」
「体にわりーぞ」
「じゃあ どうすればいいんだ?
 俺は俺をひいた運転手を一生恨んでいくほど嫌な奴でもないし
 誰かのためにってマネージャーやるほどいい奴じゃない…」

お前なんでここにいんの? お前さえいなければ
 何も思い出さずに高校生活がおくれるはずだったのに…

なんでいんだよ…

「そうやって また俺をさけるのか…?」
「は?」
「俺は… お前しか友達がいなかったのに…」 (1巻91-94ページ)


ここで遥は、サッカーに対する複雑な気持ちを全てぶちまけています。
その結果、隼には会いたくなかったということまで本人にぶつけます。
この遥の壮絶な内心の吐露に対して、隼は率直な告白で応えました。
すなわち隼も、遥が離れていくことで負った自身の傷を彼に見せるのです。
この「とてつもなく恥ずかしい青春ごっこ」(96ページ)は、
何かを解決したわけではありませんが、遥の気持ちをかなり軽くしました。

結局なんにも解決してねーけど
色々ぶちまけたせいか なかなかスッキリした気分だ…

…近所のガキにでもやるかな…」 (1巻99ページ)


ここで遥は自分のサッカーボールを、「近所のガキにでもやるかな」と考えています。
これまでサッカーから目を背けながらも、そこから脱却できてはいなかった遥が、
ボールを誰かに譲ることを考えているこの場面は示唆的です。

遥は隼との告白合戦を通して、過去に一応の決着を付けたと考えられます。
実際に遥はこの後、隼とともに康太郎の調理部に参加することにします。
高校での新しい友達と、経験したことのない新しい活動を始めていくわけです。
以上のように、一巻では遥が隼との関わりを通して、
過去と一応は決別し、新しい日々を過ごし始めるまでが描かれてます。



結論として、明の物語にしても遥の物語にしても、
一巻では二人が過去と一応の決着を付け、一歩踏み出すまでを描いています。
言うまでもなくその一歩は、「友達がいるから踏み出せた一歩」です。
特に明の「また髪伸ばそうかな」と、遥の「近所のガキにでもやるかな」が、
それぞれ一歩踏み出した事実を象徴的に伝えているように思います。

乙ひよりさんの柔らかい筆致、穏やかな雰囲気で描かれていく、友達との物語。
一歩踏み出した二人がこれからどこへ向かうのか、今から続きが楽しみです。


テーマ:漫画の感想
ジャンル:アニメ・コミック

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Author:天秤
天秤と申します。
アニメや漫画など、好きなものについて考えたことを書き込みます。
よろしくお願いいたします。

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