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全てになり得る合言葉 (きんいろモザイク:第一話感想)

2013.07.09 18:11|きんいろモザイク
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(2011/03/26)
原 悠衣

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ついに待ちに待ったアニメ『きんいろモザイク』が始まりました。
今回は一話の感想も踏まえて、ホームステイの場面を中心に考えてみたいと思います。
原作ではホームステイでの忍とアリスの交流はあまり描かれていませんでしたが、
アニメ一話ではそこが補われ、非常に細かく描かれていました。
その中で特に印象的だった部分について、以下では論じていきます。



○忍の「ハロー」とアリスの「コンニチハ」:全てになり得る合言葉


今回私が注目するのは、忍の使う「ハロー」と、アリスの使う「コンニチハ」です。
まずは、漫画での「ハロー」と「コンニチハ」について確認しておきましょう。
そこでは、ホームステイのときの話はアリスが日本に来た後に、回想という形で出てきます。

「やっぱり日本語で書けばよかったねー」
「文字も書けるの?」
「すっごく遅いけど」
「すごいですねー」
「しのは英語苦手だから ホームステイの時は助かったんじゃない?」
「その頃はわたしも 日本語全く喋れなかったよ」
「そうなの!?」
「アリガトとコンニチハくらいなら」
「私もハローくらいなら」
(しの… 中学生でそれは…)

出会い。「ハロー 大宮忍です」「コンニチハー」
ふれあい。「ハロー」「アリガト」
別れ。「ハロー ハロー」「コンニチハー」
「こんな感じでちゃんと会話になってましたよ」
「なってない!!」  (1巻12-13ページ)


アリスが「アリガト」を忍から学ぶというような変化はありますが、
アニメのホームステイの場面は大体、この場面などを膨らませたものになっています。
重要なのは、「ハロー」や「コンニチハ」、「アリガト」以外を使った会話が登場していないことです。
それ以外にどのような掛け合いがあったのかということはほとんど分かりません。
「それしか話せなかった」から、大体それしか話さなかったように見えます。

それがアニメ一話では、このやり取り以外の会話が描かれることになりました。
実際に忍がかんざしをプレゼントする場面や、一緒にお菓子を作る場面などでは、
二人はお互いの国の言語を使いながらコミュニケーションを行っています。
時に噛み合わないこともありましたが、それでも大体は分かり合える。
この場面が追加されたことで、けだし二つの効果が生まれています。

第一に、アニメならではのテーマが追加されていると考えることができます。
そのテーマとは、以下の場面でカレンがアリスに述べていたことです。

"Maybe we don't speak the same language,
 but we can communicate as long as we try to listen to each other's heart!"
    言葉が通じなくても心は通じるから! (アニメ1話)


お互いの心に耳を傾けようとするなら、コミュニケーションは図ることができる。
日本人の父親とイギリス人の母親を持つカレンだからこそ出てくる言葉です。
アリスは忍と過ごす中で、実際にこれを経験することになります。

というわけで、忍とアリスが自国の言葉を使って仲良くなっていく場面が追加されたことで、
アニメは、「言葉が通じなくても心は通じる」ということを強調していると考えることができます。

第二に、それぞれが母国語で話すシーンが追加されたことで、
原作の「ハロー」と「コンニチハ」による会話が非常に際立っています。

つまり、普段は二人が自分の国の言葉を使っているからこそ、
忍が「ハロー」を、アリスが「コンニチハ」や「アリガト」を敢えて使う場面が、
特別な意味を持つものとして見えるようになっているのです。
二人は「それしか話せなかった」のではなく、敢えて「それを話している」
今回私が最も強調したいのは、他ならぬこの点です。

自国の言葉を使っても大体分かり合えるのに、何故二人は相手の国の言葉を使うのでしょう。
もちろん、自分の知っている言葉は、なるべく相手の国の言葉を使うことで、
もっとお互いに分かり合いたいという気持ちはあったと思います。
最初に会ったときの「ハロー」と「コンニチハ」、
お土産をもらったときの「アリガト」などは、この意識の下に出て来たと考えられます。

しかし、全てをその理由で説明することはできません。
実際二人の場合、その言葉の持つ本来の意味を無視して、
一種の合言葉のように相手の国の言葉を言い合うことがあります。

演出も相まって最も目立っているのが、忍が空港に送られていく別れの場面です。

「お世話になりました」
「また遊びにいらっしゃい」
「はい!」

「ハロー」
「アリガト」
「写真、送りますね」

「ハロー!」
「コンニチハー!」
「ハロー、ハロー!」
「コンニチハー!」  (アニメ1話)


kinniro02.png

二人は自国の言葉で、例えば「さよなら」、「またね」を言い合ってもよかったはずです。
しかし忍とアリスは、敢えて「ハロー」と「コンニチハ」の応酬を選ぶ。
アニメはコミュニケーションに自国の言葉を使う二人を描いているだけに、
ここで「ハロー」と「コンニチハ」が使われることには、特別な意味があるように見えます。

けだし、二人の「ハロー」と「コンニチハ」は、「想いを共有する」ためのものです。
意味を伴わない言葉の応酬は、一緒に作ったお菓子を食べる場面から始まります。
ここで二人は、作ったクッキーを頬張りながら、「ハロー」、「アリガト」と言い合っています。
そのやり取りにより、「おいしいね」というような想いを共有していると読めます。

また、アリスが忍と一緒に寝るために、部屋を訪れる場面も同じように考えられます。

「コンニチハー」
"Can I sleep next to you?"
    一緒に寝てもいい?
「ハロー!」   (アニメ1話)


ここでも「一緒に眠りたい」というような想いを、「コンニチハ」、「ハロー」で確認しています。
普通に会話する場合ではなく、何か想いを共有したい場合に、合言葉が使われているのです。
やり取りされる言葉の中身というより、言葉をやり取りすること自体に意味があります。

以上の点を鑑みると、別れの場面もお互いの想いを共有しているのだと思います。
それではあの瞬間、二人はどのような想いを共有していたのでしょう。

さようなら、また会おうね、ありがとう、楽しかったよ、元気でね――

思うに別れの瞬間には、言いつくせないほどの沢山の想いが浮かんでくるものです。
だからこそ忍とアリスは、他のどのような言葉も取らずに、
誰にも訳出することのできない二人の合言葉を選んだのではないでしょうか。

けだしそれは、意味を伴わない一言であるからこそ、全てになり得る一言です。


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テーマ:きんいろモザイク
ジャンル:アニメ・コミック

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